祝宴狂想曲（8）マンマミーア！チキチータ！
えーなんやらかんやらありまして、地元のド観光スポットでドベタウエディング写真を撮るという、生涯忘れえぬ恥辱プレイを死ぬ気でやり抜いたザビ男とわたくし、じじょうくみこでございます。撮影もぶじ終わったところで、ドレス＆タキシードというコスプレ姿（！）のまま食事会の会場へ移動することになりました。
ようやく本題の食事会に駒を進めることができて、ザビ男もわたしもひと安心…というところですが、そういえばフォトウエディング代の支払いをしていないぞと思い出し、そのへんをふらふら歩いていたメガネ男子サダカメくんに声をかけると、
「ああ、もうお姉さまからいただいてますよー」
なぬ！
あわてて姉きくえに確認すると、
「ああ、ドレスの件は私が言い出したことだから、くみちゃんは気にしないで。みんな会場に向かったから、急いでね♪」
なんと！
いつもふわふわしている姉きくえが、まさかドレス代をおごってくれるとは思ってもみませんでした。そう聞くと、これまでの面倒なやりとりがぶっ飛んで「あ、いや、なんかごめん」と神妙な気持ちに（げんきん）。
お金の件は後で相談するとして、ひとまず食事会の会場へ。会場はホテル内にあるフレンチレストランと聞いていたのですが、いざ現場で案内されたのは宴会場でありました。しかも、大きく取られたガラス張りの窓から海岸が一望できる絶景部屋です。ホテルスタッフも4～5人スタンバイし、部屋の奥にはウエディングケーキがどどーんと鎮座。おまけに各ゲストの席には引き出物の袋も置かれておりました。
なんで！
これマジでガチな披露宴ですやん(･･;)
ささやかな食事会として企画されたはずが、「ケーキカットぐらいないと」「出し物でもやってもらわないと」「手ぶらで帰すのも申し訳ないし」と準備期間中に話はどんどん膨らんで、気が付いたらこんなことになってしまったらしい。会費制なのに、なんとまあ…。
あっけに取られているうちに、地元の友人たちがこぞってやって来ました。東京のパーティにも来てくれた幼なじみのはるちゃんは、わたしを見つけるなり大爆笑。
「なにそのメイク、ウケる！ 髪、盛ったね盛りまくったね！ てかドレスふりふり～～！」
さすが、女友だちは遠慮がありません。瞬時に東京の友人たちへ写真が送信＆拡散されるの巻。そんなこんなで全員席に着き、ようやく食事会のスタートしたのでありました。
長い道のりでした…
「皆さんお揃いですかね、えっと、じゃあ始めていいのかな？ じゃあ叔父さん、乾杯の挨拶をお願い…ってまだシャンパン入ってなかった！ えっと、えっと、少々お待ちください…」
しょっぱなから姉きくえのテンパり具合が尋常じゃなかった。いや大丈夫だから、みんな顔見知りだから、と声をかけるものの耳に入らないようで、終始落ち着かない様子でカサコソ走り回っております。ええい、しかたがあるまい。
「はい、みなさーん、これからケーキに入刀しますよー」
「前方のスクリーンにご注目くださーい。シマ島について、ご紹介いたしまーす」
「窓際で写真撮りませんかー」
「はーい、それでは花束贈呈でございまーす」
新郎新婦自ら声かけ。
宴のあと、はるちゃんからは「新郎新婦のこなれ感がすごかった」、別の友人には「あんなに食って飲んでしゃべる新郎新婦は初めて見た」とさんざんからかわれましたが、なにしろ二度目ですし、ホーム開催ですし、こちとら朝から恥辱プレイで振り切れてますから何だってできちゃうのです。
それでも何より母上がニコニコと笑っていてくれることが、一番嬉しかったのでした。
「くみちゃん、おめでとう。いい人とめぐり会えて、本当によかったね。私はもう今日は嬉しくて嬉しくて…どうかどうかザビ男さんと幸せになってね」
と泣きながら挨拶されたときは、さすがにグッとこみあげるものが……。
ぐだぐだの進行だったけど、ハラハラしたりもしたけれど、
料理はおいしくて、みんな笑顔で、海は輝いて、よい宴でありました。
それにしても、姉きくえの空回りっぷりはいったいどうしたことか。「私も衣装を借りようかなあ、ドレス着たいなあ❤︎」などと夢見る少女発言をくり返していたきくえでしたが、この日は意外にもパリッと黒のパンツスーツ姿。姉のスーツなど見たことがなかったので「どうした、きくえ！？」と意外でしたが、姉は姉なりに今日のためにがんばろうとしてくれたんだなあと思うと感無量。
そして意外なことが、もうひとつ。紆余曲折あったわたしのドレス＆キャバ嬢盛り髪＆ギャルメイクが、なんとゲストに好評だったのです。
びっくり。
東京のパーティに来ていた人にも「東京ではシンプルなデザインだったけど、こっちのほうがドレスらしくていいかも！」と言われ、なるほどこういうハレの席ではこれぐらいぶっ飛んでるほうが非日常感があって喜ばれるのかあ〜と新発見。貸衣装屋の泉ピン子が言うことも、まんざら嘘じゃないんだなあ。
まあ、二度とやらないけど。
疲労困憊
そんなこんなで結婚して4ヶ月。こうしてザビ男とわたしの祝宴ツアーはどうにか幕を下ろしたのでありました。みなさま、8回にわたっておつきあいいただき誠にありがとうございましたm(_ _)m
おかげさまでようやく本格的な島暮らしを始められるわけですが、実を言いますとそれまでの間、わたしはシマ島でなんともいえず悶々とした日々を送っていたのでございます……。来週はそのお話を少々。もう少しおつきあいいただけますと幸いです。
それではみなさま、また来週お会いしましょう～( ´ ▽ ` )ﾉ
祝宴のあれやこれやは、こちらをどうぞ～。
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祝宴狂想曲（6）ケンカをやめて、カメラを止めて、男はみんな外に出て！
Text by じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎
*「じじょうくみこのオバサマー」は毎週火・木・土曜日更新です。
こちらも結婚ドタバタ系。
なぜだか結婚ドタバタが似合うアバ。パーティのBGMにも使いました。
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爽子
疲労困憊、、でしょうねー。
ほんまにご苦労様でした。
わたし、まじ泣きしました。
母上さまああああ。
で？
もう少しお話続くのですか？
嬉しい〜〜。
okosama
じじょくみさま
「大団円を迎える」とはこの事ですね。
じじょくみさんご夫婦もお姉様もお疲れでしょうが、お母様も一安心されてほんと良かったですぅ〜。
チキチータがこれまたハマる(^O^)
takeume
若い頃は「花嫁衣裳着るなら絶対若いうち！」って思ってましたが、
アラフィフとなると別な楽しみ方もあるのかも。。。って思いました。
いや、本人は楽しんでないんだろうけど、
それを見ている周りは楽しい。
これって、自虐して笑いを取る
大阪の笑いの基本ですから！
みんなに笑顔（笑い？）を与えた事で福の神がいっぱい
集まってきたと思いますよー！！
お疲れ様でした(^^)
ﾏｰｷｮﾝ
ホロリと来ました。
勝手なことばかりおっしゃってるのかと思っていたお姉さまのまさかの(失礼!)お心遣い。
マンマの涙のスピーチ。
ご実家もお輿入れ先も本当に素敵なファミリーですね！
アメちゃん
おはようございます！
意外にキャバ嬢盛り髪＆ギャルメイクが好評だった、って
なんか分かる気がします。
それなりに年齢も経験も重ねて
キャラクターも確立されてるから（しかも、じじょくみさんのキャラ、、）こその
盛り髪とギャルメイク。
ほんとうに良かったんだと思います。
ピン子。さすがプロ！全体像がみえてるんですね〜。
私事ですけど
朝からマンションの上の階の住人が
ベランダ越しにカーペットかなにかのホコリをはらって
「いいかげんにしろよー」とやさぐれていたので
じじょくみさんの楽しくて心温まる披露宴のお話に
なんかとってもほっこりとした気分にしてもらえました(^^)/ 。
いまねえ
とにもかくにも、終わりよければ全て良し・・お料理が美味しかったこと、お天気に恵まれたこと、
なによりも母上のお喜びにそう締めくくらせて頂いても差し支えはあるまい、と何やらこちらも肩の荷が下りた感満載であります。
かつ、何より発起人？の姉上が姉上なりに尽力された、この機会がなければ日の目を見ることが無かったやもしれぬ姉上の「姉としての責任」を全うしようとするじたばたぶりも微笑ましい。
子供の結婚お披露目の場で招待客の眼前で親として挨拶をする、親にとってもこれは人生最大級の「ハレ」の場であって、これをもってして長い長い子育ての一区切りが宣言されるということなのでしょうね。。
理解はすれど、是非とも自分はそのような場を遠慮したいと未だに（その予定はほぼないが）願う一人の母、いまねえでありますが。。
ところで！
このお披露目協奏曲の前の記事でシマシマでのアウェイ感をつぶやいておられた、そのお話の続きになるのかな？気になってます。
じじょうくみこ Post author
>>爽子さま
こんにちは！コメント遅くなってすみませーん(ｰ ｰ;)
はいーありがとうございました！いやはや、疲れました（笑）
なんでこんなことが起きるんだろうかと、おのれの人生が不思議でなりませんが
楽しんでいただけたのならよしとします？
じじょうくみこ Post author
>>okoasamaさま
こんにちは！すっかりコメント遅れてごめんなさい！
最後までお読みいただき、ありがとうございました( ´ ▽ ` )ﾉ
なんだかんだありましたが、すべては母上に喜んでもらうためですので
ミッションを達成できて満足でございます♪
ABBA、なんかハマりますよね。
じじょうくみこ Post author
>>takeumeさま
こんにちは！コメント遅すぎでごめんなさいm(_ _)m
確かにそうですねえ、このトシでドレスを着るなら
思い切って振り切れちゃったほうがいいのかもしれませんね(￣▽￣)
着てるほうは黒歴史でも、まあ笑いを取れたのでヨシとします。。。
じじょうくみこ Post author
>>ﾏｰｷｮﾝさま
こんにちは！コメント遅くなりすみませんー(ｰ ｰ;)
いやほんとに、姉上は非常におっとりしているので（看護師が務まるのか常に心配）
まさかこんなにがんばってくれるとは本当に意外でした。
食事会の後はみんなでその話でもちきりでした！
当日までは胃がキリキリしましたが、終わってみれば楽しい思い出。
ようやく全てのミッションをこなせてよかったです( ´ ▽ ` )ﾉ
じじょうくみこ Post author
>>アメちゃんさま
こんにちは！コメント大変遅くなり恐縮ですm(_ _)m
集合住宅のご近所ストレスがひとときでも忘れられたなら
わたしも恥をかいた甲斐があったというものですわ！
あと結果オーライではありましたが
ピン子の言うことは聞かないほうがいいかと思います（笑）
じじょうくみこ Post author
>>いまねえさま
いまねえさま、お返事遅くなりまして申し訳ございません！
そうですか、そんなにお嫌ですか、母の挨拶・・・（笑）
うちの母上もそういう照れ臭いことは嫌がるタイプですが、
体が弱くなったせいか、最近はストレートな愛情表現を喜ぶようになりましたし、
母自身もわりと素直に気持ちを口にするようになりました。
母への手紙はさすがに恥ずかしすぎてやりませんでしたが
花束贈呈は思いのほか嬉しそうでしたよ。
いまねえさまも花束で手を打ってもらうのはいかがでしょう。
あと母の挨拶はみんなが待ってる泣きポイントなので、がんばってください(￣▽￣)