幸田文を読んで思うこと

映画『PERFECT DAYS』の話ばかりしている。ここでも書いたし、会う人会う人に映画の素晴らしさを語っている。この映画の中で主人公の平山(役所広司)が眠る前に文庫本を読む場面がなんどか繰り返し出てくる。彼は一冊読み終わると、町の小さな古本屋に出かけて、100円均一のコーナーから一冊だけ文庫本を選ぶと、女主人の前に差し出す。すると、彼女はなんとも的確な一言を呟きながら会計をしてくれる。幸田文を差し出せば「幸田文はもっと評価されていいわよね」と呟き、パトリシア・ハイスミスを差し出せば「パトリシア・ハイスミスは不安を描く天才だわ。恐怖と不安が別物だってことを彼女から教わったわ」と呟く。それに答え … 続きを読む 幸田文を読んで思うこと