Posted on by SHOJI
第127回 リヴァイアサン
7月から配信されているNetflixオリジナルの「リヴァイアサン」がとても良い。
スコット・ウエスターフェルドによるSF『リヴァイアサンークジラと蒸気機関』をアニメ化したものだ。
原作は三部と大部だが、アニメシリーズは12話と視聴しやすいボリュームになっている。
遺伝子操作された動物を駆使する英国を含むダーウィニストと、ドイツを主として構成される機械文明を発達させたクランカーとの対立。時空をスチームパンクに変換し、第一次世界大戦の行方が描かれる。
遺伝子操作して生まれたクジラ型の巨大な飛行物体「リヴァイアサン」は最初に目にするとぎょっとする。架空の話とはいえ、忌避感を持つ人もいるだろう。ただ、その違和感を乗り越えれば、文字通り壮大な世界を味わうことができると思う。
次々と曲者があらわれるストーリーは安定していて、面白い。
人間あるところに争いあり。戦争を扱う作品が常にここに落ち着くのが残念でならないが、その渦中でも成長する若者たちが清々しい。英国海軍航空隊所属のシャープとオーストリア公子であるアレックの出会いと絆は、けっしてふんわりとしたものではないが、微笑ましく描かれている。
イントロダクションでは久石譲による郷愁をさそう曲が短く流れる。
この曲がまさに導入として秀逸で、間をあけて見ても、いつでも物語に立ち返れるのだ。