第214回 思い出のあの店この店

つまみ:
こないだ、20代のとき4年間暮らした阿佐ヶ谷に行ったんだけど
当時住んでいたアパートはとっくになくなってるものの
近辺は意外と変わってなくて、昭和の郷愁に浸ってきました。
それで思い出したのは、駅からアパートに行くまでの細い道にあった
個人商店(のちにファミマになり、それももうない)のこと。
大島渚似のおじさんがいて
雑誌を発売日前日の夜に売ってくれたんだよね。
まだ荷ほどきしてないシティーロード(ぴあより好きだった情報誌)を見て
これ、買えるんですか?と聞いたのがきっかけだった気がする。
以来、なぜかほかの雑誌もフライング販売してくれるようになった。
でも、毎回「ホントはダメなんだから隠して持って行って」と
うるさいっていうか、恩着せがましかった。
1日早いお得感が勝って、元気に「はーい」って返事してたよ。
まゆぽ:
大島渚似のおじさんとシティロード、
目にうかぶような昭和(後半)の風景だし
発売日を待ってる雑誌なんて今はもうなくて
全部が懐かしいなあ。
思い出の店で最初に思い浮かぶのは
神保町にあった居酒屋「酔の助」です。
2010年代に毎年、12月30日に、
つまみさんも一時メンバーだった読書会
おもしろ本棚のどん詰まり忘年会をやってたの。
毎年恒例だったから12月に入ると予約の電話するんだけど、
「もしもし、30日に予約をお願いしたいんですが」って言うだけで
「ふふふ、おもしろさんだね」って見抜かれてた。
リーズナブル価格と時間制限なしのところが魅力なんだけど
ガンダーラピザとかつぶ貝のエスカルゴ風とか
おいしいメニューがたくさんあった。
いかにも居酒屋なインテリアだからか、
ドラマ「逃げ恥」のロケに使われたりもしてて、
だんだん有名になって混むようになってたんだけど
コロナの時に閉店しちゃったんだよね。
いつまでも あると思うな 好きな店
って、すごく思ったなー。

雪原 佐藤知津子さん
つまみ:
「酔の助」、検索したら画像は残ってて
確かに、これぞ居酒屋!な雰囲気。
ガンダーラピザ、そそられるなあ。
そして逃げ恥かあ。
そりゃあ聖地巡礼されちゃうかも。
混んでたのに、もうないんだね。
コロナだけが理由じゃないかもしれないけど
もったいなくてやりきれない話だよ。
食べ物系のお店で言うと
これまた昭和なんだけど、20代の頃、神楽坂で働いてて
お昼によく中華のリュウホウとホウリュウに行ったなあ。
龍朋と宝龍なんだけど、いまだにどっちがどっちかわからない。
その、どっちかの冷やし中華、ごまだれで美味しかったんだけど
とにかく量が凄くて、途中までは食べても食べても
いっこうに減らなかった。
ま、必ず完食はしたけどね、大食いだったんで。
一度、下請け業者の若い男の子と一緒に行って
私と先輩がやめろって言うのに
「自分は大盛り以外を注文したことがない」と豪語して
大盛り冷やし中華を頼んだのよ。
そしたら洗面器みたいな器で出てきで全員ビックリ。
若い食べ盛り男子も、途中から涙目になってた。
なんであんな量だったんだろう。謎。
今もなのかな。
そもそも、あれはホウリュウだったのかリュウホウだったのか。
疑問はそこからか。
まゆぽ:
リュウホウだかホウリュウだか、今もある気がするなあ。
ときどきあの辺通るけど、入ったことないんだ。
一度、つまみ記憶確認ツアーしたいねえ。
洗面器サイズが出てくるのは困るけど、見たいし。
食べ物以外のお店を考えてみたら、
OL時代に会社で使う日用品を買いに行った「ピンクベア」が懐かしい。
今でいう「ドンキホーテ」みたいなお店で、
食器洗剤とか布ふきんとか買いに行ってた。
アスクルもカウネットもなかった時代だからね。
外に出たくて率先して買い物係してたなあ。
「ピンクベアに行ってきます」って言うと
課長が「じゃあ隣のコージーコーナーで
みんなにシュークリーム買ってきて」ってお金くれたりして。
ついでに向かいの前田書林で立ち読みして帰ったり。
古き良き昭和の会社風景だわ〜。
どの店もバブル再開発ラッシュでなくなってしまった。
お店の記憶から芋づる式にいろんな記憶が蘇って
今回のテーマ、すごく楽しかった!
あの頃は余白がいっぱいあって、
そういう余分なところが思い出になってるね。
その中にいるとなんでもないことが
後になると熟成していい味になる
漬物感がたまらないわって、
結局食べ物の話になってるよ〜。

















































































