四十路独女じじょうくみこの「崖っぷちほどいい天気」〜珍獣オンリー、独女はロンリー、来てよ私のヘブンリー。
先日、ひょんなことから小学生の授業を見学したのです。
キャリア教育の一貫として子供たちに人生設計を考えてもらおうというもので、たとえば将来の夢がサッカー選手なら何歳でどこの学校に入って、どんなクラブでどんな成績を残して、何歳くらいでJリーグの選手になって、家族は何人で…といった案配。しばらくすると、私の近くにいたグループから、こんな会話が聞こえてきました。
男子「ねえねえ、つきあって結婚するまで何年くらいかけるもの?」
女子「んー2年くらいじゃない?」
男子「じゃあ遅くとも28までには相手見つけないとな。30まで結婚しないなんて、ありえないよなあ」
女子「なんで30なの? 別に30代でもいいじゃない。まあでも結婚は20代かなあ。(おもむろに女生徒立ち上がり)せんせーい、
38歳とかで結婚だとマズいですかあーー?」
(ノ-_・)/|)‥‥…>>━→ >>-(゚ロ゚)→トスッ
おお〜う
完全に油断しておりましたので、わたくしざっくり斬られた気分です。悲しくて悲しくて
おにいさま……涙が……とまりません……
最近GYAOで『おにいさまへ…』の無料放送を食い入るように見ておりますので、つい。『おにいさま』ご存じでしょうか。ベルばらでおなじみの池田理代子が70年代に連載していた、お嬢様学校の壮絶ドロドロ愛憎マンガでございます。
サン・ジュストさま……薫の君……宮様……ああ、どうして私なんかがソロリティ・メンバーに。おにいさま、奈々子はもう、たまりません……
おっと失敬。私がいたのはソロリティじゃなくて珍獣パラダイスでした。そして私は奈々子じゃなくてくみこなのです、ごきげんよう。
さて、あんなことやこんなことがあって20年ぶりにスタートした会社員生活ですが、ダメ社員エジマックスの助っ人として呼ばれた私は、本来ならばエジマックスが人事異動でいなくなった時点でお役ご免のはずでした。ところがこの珍獣たち、「ハケンさんに仕事を頼めるらしい」と味をしめたようで、その後も職場残留が決定。エジマックスにつきっきりだったこれまでと違い、いろんなメンズと仕事をすることになったのです。
思えば20代の会社員生活は、目の前のことで手一杯。30代のフリーランス生活は、食べていくので精一杯。40代にして初めて、自分ではない誰かをサポートするという新しい扉が開いたわけです。せっかくの初体験なので、そのお相手となるメンズをじっくり観察してみることにいたしました。
たとえば珍獣の長・ワタさんはベビーフェイスのアラサー男子。華奢な骨格で声も清らか、へたするとボーイッシュな女子に間違えられそうな愛らしさがあります。どことなく育ちのよさそうな空気をまとっており、社内の女子には下町のプリンスという、いいのか悪いのかよくわからない呼ばれ方をしていました。
見た目はかわいくてもこの男、珍獣男子を操るだけあって、ただ者ではありません。この人に頼まれる仕事は、指示が的確で全てがスムーズ。問題が起きた時も、その場で回答を出してくれるので業務が滞ることがありません。こういう人の仕事は素直に指示に従っていれば、素直によいものができあがるので大変気持ちがよろしい。
ただしこの男、ただのデキる人ではありません。珍獣男子を自由に泳がせているかと思えば、時々気まぐれにターゲットを決めて、相手が絶句するような無理難題をふっかけます。そうして男子がヒーヒー言いながら必死に働くさまを眺め、ひとりクックッと笑っている姿を何度か見かけたことがあります。ちょっと敵には回したくないタイプです。
あと、その会社のエレベーターでは若手社員がボタン操作を担当するという暗黙のルールがありましたが、ワタさんは必ずボタンの前に陣取り、「代わります」と誰が声をかけても「いやですっ」と全力で拒否。なんなんだ、その情熱。
さて、何事もスマートにこなすワタさんとは対照的に、とにかく型破りなのがマツタケです。この男は、なんといっても居所がつかめません。今日会社に来るのか来ないのか誰にもわからないという、会社員とは思えない自由奔放さ。それが許されているのは、それだけの結果を出しているからだ、と他の部署の人に聞きました。
大胆なアイデアで社長を唸らせたとか、超有名企業に単身乗り込んで商談を成立させたとか、数々の伝説もある様子。特にタフなネゴシエーションが大好物で、「よっしゃ、一発かましてきますわ!」などと嬉々として出かけていくあたりはイケズ京男のDNAか。
そんな豪放磊落キャラなのに、仕事ぶりは意外なほど神経質。こだわりが強い男だとわかったので、一緒に仕事する時は彼のアイデアを形にすることに専念するのですが、作っては壊し、作っては壊し、あまりの粘着質にイライラすることしばしば。でも何度かの逡巡を経てようやく最終形ができあがり、「これで本当にいいんだね。後悔しない?」と念を押すと、涙目になってじっと見つめ
「じじょうさん、僕はね、すぐに後悔する男ですよ。心配…」
……面白いじゃねえかコノヤロウ
面白いといえば、もうひとり。エジマックスと交代で異動してきたミヤという男子がおりました。その男は精悍なイケメンで、カラダを鍛えているらしい細マッチョ系。社内でファンも多いという噂でしたが、女子にはいつも無愛想で、話しかけても「はあ」「まあ」と短い答えが返るのみ。仕事もひとりでコツコツ緻密に積み上げていきたいらしく、周囲からは正体不明のミステリアス男子と認知されておりました。
しばらくして彼はたびたび海外出張に出るようになったのですが、なぜかミャンマーに行くたび髪が短くなる、という不思議な現象が起きたのです。ヘアスタイルにこだわっていたと思われるイケメンが、ミャンマーから帰るたびにどんどん短髪になるのですから、そりゃ目立ちます。そうしてついには坊主に近くなった時、社内ではいつしか「あいつミャンマーで出家するんじゃないか」と噂されるように。
それ以来、あるスジで彼はひそかに ミズシマ と呼ばれるようになりました。
まだまだ書ききれないので他の男子は機会があればご紹介したいと思いますが、こういう個性的なメンズ、嫌いじゃないです。めんどくさいけど。それはそれでなかなか面白いです。めんどくさいけど。
ただひとつ、残念なことがあります。他部署の女子があこがれるメンズの素顔を、どうして私が見られるのか。それは
わたしが恋愛対象外のオバチャンだから、であります。
(ノ-_・)/|)‥‥…>>━→ ━→ ━→ >>-(゚ロ゚)→トストスッ
おお〜う
まあこっちもね、ひとまわりも年下の男子つかまえてどうこうって気はないですしね、むこうも若くてかわいくて仕事のできるハイスペック女子が周囲にわんさかいるわけですしね、だから女子の前ではカッコつけてる彼らが油断して素顔見せちゃったりするんでしょうけどね。ですけどなんだろうこの、トキメキ物質ゼロの異性間に漂う残念フィーリング。
そうかそうか、40代で会社に入るとこういう扱いになるのかと実感すると同時に、ガッカリしたってことはつまり期待してたってことで、そんな乙女な自分に気づいて「やん」と顔を赤らめてしまったあの日。
おにいさま…くみこ、四十路になっても
涙が…とまりません…!
By じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎
*「崖っぷちほどいい天気」は毎週土曜日更新です。
バックナンバーはこちら。
きゃらめる
業種により様々ですが。
40代ハケンさんの立ち位置って、どーでもいいようでも微妙な気遣いが要るような。
私は40代(50目前)の短期派遣です。
なるべく存在感を消すようにしてますが、
たまにひ弱な20代男子に
《お母さん》としてモテます(笑)
そんなとき、情けねえ会社だと内心は思っていても、大らかに対処しています。
私がもてなくなる時は、ひ弱男子たちが巣立つ時?そのころには、この会社はもう少し業績が上がるかもしれません(笑)
じじょうくみ子 Post author
>>きゃらめるさま
こんにちわ〜♪コメントありがとうございます(*^_^*)
同じ立場なのですね、わ〜嬉しい! おっしゃること、すっごくわかります。私も普段はなるべく気配を消すようにしていました。
40代の派遣社員って微妙な立場ですよね。社内の人間でもないし、社外でもないし。ベテランだけど、立場は下だし。若手社員にとっても、同じ正社員で40代女性だとそうそう気軽に話しかけられない気がしますし。
たぶん昔は事務パートのオバチャンとかが担っていた役割なのかなあ〜と思ったりします。
それにしてもひ弱男子、多くないですか。日本は大丈夫か?とうっすら思ってます(笑)
爽子
ソロリティメンバーズに、強烈に反応してしまいました。
中3のクラスで、大人数の女子で交換日記をしてました。
おバカな私たちは、自分たちのグループをアホリティメンバーズとよんでました。
交換日記も、たわいない日常が綴られ、極秘事項は、ほぼなかったのですが、楽しかったなあ。
受験勉強もせずに…。
いろんな濃い個性のメンズの様子がとても楽しいです。でも、読んでて、ふと、かよわき20代男子が気になりました。完全に、うちのムスコたちが当てはまってるような。
見ても仕方ないけど、会社に透明人間になってついて行きたくなってきました。
完璧おかあちゃんです。
おにいさま、…爽子、もう一度漫画買って読み返します。きっと。
花緒
じじょくみさん、タイトルからして面白いです(笑)
「おにいさまへ…」はタイトルだけ聞いた事があったかな?よく存じませんでした!
じじょくみさんの職場、いろんなキャラがいて賑やかだったんですね~。
最近TSUTAYAで借りた、「午前3時の無法地帯」というDVDを思い出しました。
忙しい小さなデザイン会社のストーリーで、いろんなキャラの社員がいる話でした。
本田翼、オダギリジョー主演で、とっても面白かったんですよ!
若手男性社員が40~50代女性と20~30代女性で差をつけるのわかります、私も経験しました!
引き続き、楽しみにしています♪
じじょうくみ子 Post author
>>爽子さま
こんにちわー毎週コメントありがとうございます(*^_^*)
てかアホリティメンバーズに爆笑。私もそのメンバーなら入りたい〜!
交換日記ってあの頃すごくはやってましたよね。私も友達とやってたあ〜大人になってそれが出てきて死ぬほど赤面したわあ〜(^^;)
ムスコちゃんたちはいかがお過ごしでしょうか。きっと彼らのまわりには、似たようなオバチャンたちがたくさんいることでしょう。がんばれワカモノ(笑)
じじょうくみ子 Post author
>>花緒さま
こんにちわ♪コメントいつも嬉しいです、ありがとうございますm(_ _)m
「午前3時の無法地帯」大変気になります。TSUTAYAにGO!してまいりますっ!
まあ残念ながら本田翼と違ってこっちはラブストーリーじゃないんですけどね(号泣)
それにしても、みなさん若手男子にオバチャン扱いされている実感あるのですね。。。
この切なさにどう対処されているのでしょうか。独女的にはわりともてあましてしまう案件です(T_T)
okosama
じじょくみさん、こんばんは。
ネタ満載でコメントのターゲットをしぼれません(笑)
「おにいさまへ」予告編みました。こんなアニメ有りました⁉︎ 奈々子、いまどきの小学生より幼いやん…。
じじょうくみ子 Post author
>>okosamaさま
こんばんわ、コメントありがとうございます〜(^^)/
「おにいさまへ」のアニメは91年放送らしいですよ。リアルタイムでは見ていないので、私もついGYAOでむさぼるように見てしまった次第。お時間あればぜひ。いま15話まで公開されています。
奈々子の幼さもさることながら、オスカルにしか見えないサン・ジュスト様、声がアンパンマンの薫の君、お蝶夫人並みのスーパー内巻きヘアの宮様、どう考えても高校生には見えません(笑)
中島
くみさん、おにいさまへの興味が止めどなく溢れ出して涙が止まりません。。。
てか、なんてくどくどと長ったらしい予告編なんじゃ!
GYAOの無料放送ぜひ見てみます。
素敵なもの紹介してくれてありがとうー☆
じじょうくみ子 Post author
>>慶子さま
慶子さま、ああ慶子さま……3分オーバーの予告編なんて…制作チームの涙が…止まりません…!
ってこの涙が止まりませんシリーズ面白いですね(笑)
原作マンガと合わせて、ぜひお楽しみくださいませ!ぐいぐい池田理代子ワールドにもっていかれますから(^^)/
ジャスミン
お久しぶりです
「おにいさまへ…」 きゃー
昔 DVDをレンタルして 見ましたよ~(*^_^*)
思い切りハマりましたねぇ
また見たくなっちゃう!
当時は漫画が入手できませんでしたが
早速 アマゾンで購入しました♪
ありがとうございます!(^^)!
じじょうくみ子 Post author
>>ジャスミンさま
こんにちわー♪お元気ですか〜?コメントありがとうございます〜(*^_^*)
なんと、DVDでご覧になっていたとは!! 40年前の作品なのに、あっという間にもっていかれてしまいますよねえ。あのドロドロワールドに・・・
原作も今読んだら新たな面白さがあるのかも。私も読もうかな♪
okosama
GYAO「おにいさまへ…」7〜12話イッキ見!(明らかにヒマやね)でも…1〜6話目まで配信停止で…涙が…止まりません…。
じじょうくみ子 Post author
>>okosamaさま
おにいさま…6話までが見られないなんて…そんなことわたし、つらすぎて涙がとまりません……
楡の木に…今すぐあの楡の木に行って宮様に…伝えなくちゃ…! (byサン・ジュスト)
いやあ〜おにいさま楽しいですね(笑) GYAOは前にも「おにいさまへ…」を放送していたので、またやるはず…きっとやるはず…それまでもう少しお待ちくださいokosamaさま!!