嗚呼あこがれの客室露天風呂、にも罠がある。
前回は爽やかな週末にぞわぞわする話をしてしまい、大変申し訳ございませんでした。それにしてもみなさまのお話をうかがって、カラダに被害が出なくてラッキーだったのだと思い直しました。そして、いまねえさま推薦の『高野聖』を読んで、ヒルの雨に比べたら毛虫のシャワーなどかわいいものだ、ああ存分にシャワーかけてくれたまえよと、そのような心持ちになってまいりました自浄くみこでございます。
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世界がオレンジ色に包まれた、生涯忘れえぬ悪夢について語ろう。
さて。2回にわたってトホホな旅話を書きましたので、今回はガラリと趣向を変えて
宿話です。
やっぱ旅ですね
今回の旅では、岐阜の下呂温泉に1泊いたしました。下呂といえば草津、有馬と並ぶ日本三名泉のひとつとして知られる、開湯千年を超える名湯中の名湯。とくに美肌の湯として、あまりにも有名ですよね。
なんて知ったかぶっちゃいましたが、今日知りましたスイマセン。何しろ寝台特急に乗れなかった反動で始まった旅。ひとまず犬山城をめざそうと東京を出て、いざ登城が終わってさてどうしようと地図を見て、少し先まで行ってJRに乗り換えれば下呂温泉に行けるようだ、せっかくだから温泉つかっとくか〜なんてノリで、何も知らずに決めてしまったのでした。
ひとまず電車で移動しながら、空いている宿はないか探してみることにしました。ところが、その日はあいにく金曜日。ほとんどの宿は満室で、空いていても値段が高すぎて手が出ません。やっぱり休前日だしムリか、このまま帰るか路線変更するしかないかな…と考え始めていたら
アヤメ「1泊2食付きバイキングプラン税込8,000円というのがあるよ」
くみ「おお、なんとリーズナブルじゃないの」
アヤ「バイキングは120種類、大浴場と展望露天風呂あり、送迎バスあり…あ、ちょっと待って、ランクアップで露天風呂付客室13,000円てのがある」
くみ「え? 露天風呂がついてるの?」
アヤ「そうらしい」
くみ「あの客室露天風呂? あのテラスにお風呂が付いている、ワンランク上の贅沢なひとときを約束してくれる、あの素敵すぎる客室露天風呂??」
客室露天風呂といったら、普通3万円はくだらないと思っておりました。それが2食付き1万ちょっとで泊まれるなんて、そんなことがあるんですか。
くみ「内風呂に毛が生えたもんじゃないのー。写真の雰囲気はどう?」
アヤ「それが写真載ってないんだよね」
くみ「え、1枚も?」
アヤ「そう。露天風呂付客室としか書いてない」
目玉になるはずの露天風呂について、写真はおろか説明もないとは、これはあやしい。とはいえ客室露天風呂。一度は泊まってみたい、露天風呂付きの部屋。星の見える客室露天風呂で、大切なひとといっしょに今宵忘れられないひとときを…と思い続けて早やウン年。
くみ「…………チラッ」
アヤ「…………コクッ」
はい、ぽちっと予約完了〜♪
なんだかんだいってわたしたち、完全に「金曜日なのに露天風呂付き客室が安く取れちゃった幸運」に目がくらんでいたのでありました。
それにしても、この既視感はなんでしょう。いきあたりばったりの旅。老舗の温泉街。ピークに空いていた素敵プラン。前にも似たようなことがあった気が…
ってGWにやっちまったばかりでした。伊豆にあった、摩訶不思議な温泉宿。くわしくはこちら
山また山、ダムまたダムの旅路をへて
到着した下呂温泉は川沿いに旅館が建ち並ぶ、山の中の静かな温泉地でありました。
ところで最近いくつかの温泉地に行って気づいたんですが、老舗温泉地にある大型旅館の多くはいま、企業努力を重ねて立て直すか、つぶれて廃墟になるか、買収されて新しいタイプの宿に生まれ変わるか、いずれかの選択を迫られていますね。
なぜか座り込むチャップリンのブロンズ像が…
なかでも目立っているのが最後のケース。古い旅館をリノベーションして、いつ行っても料金が同じ通年均一の料金設定で、1泊2食付き5000〜7000円ほど。食事はバイキングながらなかなかのクオリティ、もとは一級旅館なのでお風呂はもちろん遊興施設も充実。今回の宿も、どうやらその手のリノベ旅館のようでした。
この奥に何があるのか。迷わずいけよ、いけばわかるさ
こういうタイプの宿は当たりはずれが大きいんだよな、と一瞬警戒しましたが、エントランスはアジアンリゾート感覚あふれる爽やかな雰囲気。フロントスタッフの応対もていねいで、これは期待できるかもとワクワクしながら、いよいよ客室へ足を踏み入れたのです。すると、
10畳はあろうかという和モダンな居間のむこうに
同じくらいの広さのベッドルームがあった!
ベッドの反対側にはソファーとテーブル、そしてテレビがもう1台!!
さらにバス・トイレ別、パウダールームまで…。「まさかスイートじゃないよね?」と思わず予約したプランを見直してしまったくらいの充実ぶりでありました。
そうだ。客室露天風呂はどこだ。
ベッドルームの先にあるテラスに出てみると……
ちゃんとあるじゃないか、客室露天風呂!!
小さいけど。
檜風呂や岩風呂ではないですし、さすがに温泉はひかれていないようですが、大人3人くらいは入れそうなほどよいサイズ。小さいけど。
目の前には石垣、頭上はよしずがかかって開放感は少なめの半露天ですが、日の光を浴びて心地よさそうな雰囲気です。小さいけど(しつこい)
アヤメは「夜暗くなって入りたいから、先に宿の展望露天風呂にいってくる」と出かけていったので、わたしは早速ひとりで待望の客室露天に入ってみることにいたしました。
入浴目線でご覧ください
おおお。これはよい。かなりよい。
チチチと鳥の鳴く声、サワサワ葉っぱがこすれる音、サラサラ水の流れる音、それ以外は何ひとつ聞こえてこない自分だけの時間…。
ここ最高だわ、たまには当たりの宿がなくっちゃねえ〜♪なんて、ゴキゲンでお湯につかりながらウトウトしていたときのことです。
ジャー
ヒソヒソヒソ
どこからか水を流す音と、誰かの話し声が聞こえてきたのです。
どうやら隣の部屋の人が露天風呂に入ってきたもよう。会話の中身まではわかりませんでしたが、カップルらしき2人組が湯船につかっている気配がしてきました。近い。水音が、おもいのほか近い。おそらく隣とうちの露天風呂は、薄い仕切り板をはさんですぐそばに並んでいると思われました。
まいった。いくら顔が見えないからといっても、すぐ隣に人がいるとわかったら気まずいじゃないか。たぶん向こうはわたしが入っていると気づいてないと思われる。さてどうしたものか。音をたてずに風呂を出られるだろうか、それとも向こうが出るまでじっとしていたほうがいいかと逡巡していると、
(*´з)(ε`*)
(*´з)(ε`*)chu(*´з)(ε`*)
(*´з)(ε`*)an(*´з)(ε`*)an(*´з)(ε`*)
おとなりのお〜
カップルがあ〜
すぐそばでえ〜
おっぱじめた 愛を深めていらっしゃるう〜(((((( ;゚Д゚)))))
ふいをつかれて進退窮まり、「ゴホンああウンそろそろ出ようかなあ」などとつぶやきながら、わざとらしくお湯をジャブジャブいわせて早足で部屋に戻りました。
客室露天風呂に、よもやこんな罠があったとは……(しかも昼間から!)
ちなみに後でよく見てみたら、露天風呂の横にこんな貼り紙を発見。
バイキングの料理はおいしかったし、下呂温泉の泉質最高でしたし、申し分のない宿ではありましたが、「下呂いいね、この宿、大正解だったね♪」とゴキゲンのアヤメには、なんとなく言えないまま現在に至る。きっと客室露天人気にあやかって、ムリやりつけたんだろうなあ。あこがれの客室露天風呂もプライベート空間とは限らないのね、という世知辛い事情を知ってしまった、じじょうくみこでありました…。
☆ お知らせ ☆
持病のテニス肘&腱鞘炎治療のため、今月より月1回ほど更新をお休みさせていただくことになりました。来週7月19日(土)はお休みとなります。すみませんm(_ _)m
By じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎
*「崖っぷちほどいい天気」は毎週土曜日更新です。(不定休あり)
こういうの読んどきゃよかった↓
きゃらめる
おっぱじめ…あ、いや、仲むつまじく名湯を愛でてらしたのですね~
さすがに真っ昼間から盗聴&盗撮はできませんよね(笑)
おつかれさまでした(^-^;
テニス肘、お大事になさってください。
これからお休みの週は、
バックナンバーを読み返して浸ることにしますね。
いまねえ
おお。岐阜飛騨山中毛虫の雨、と来れば迷わず「高野聖」と連想してしまいまして、
いえいえ、蛭も毛虫も例え1匹であってもご勘弁被りたいです。。
いや、確かに「高野聖」ネタで行くならば、かの修行僧も
蛭の雨からの生還のあと、夢見るばかりの滝水に
心身ともにまさしく溶けんばかりの思いにふけるわけですが
・・・じじょくみさん。。。この顛末は美味しすぎます。。
私自身、体験した客室露天風呂というのはこの記事の
お写真にあるこれ、まさしくこのレベルでありまして。。
これまさしく懐かしい「行水」レベルですわね。。
じじょうくみこ Post author
>>きゃらめるさま
こんにちわ!いつもコメントありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
また泣かせるお言葉( ; ; )いたみいりますう〜〜
いろいろありますよね、旅館って(笑)
じじょうくみこ Post author
>>いまねえさま
こんにちわ〜いつもコメントありがとうございますm(_ _)m
そういえば高野聖、そんな展開でしたね!
まさに高野聖の世界を体感してしまったのですね私は…(耽美部分以外)
客室露天風呂、いまねえさまも体験済みでしたか。
客室露天にもピンキリがある、ということが
よーくわかりました。
いつか、いいほうの露天風呂を体験したい!( ; ; )
爽子
*´з)(ε`*)
(*´з)(ε`*)chu(*´з)(ε`*)
(*´з)(ε`*)an(*´з)(ε`*)an(*´з)(ε`*)
あまりにかわいい顔文字なので、生々しさがありませんね。^^*)
こんな狭いところで、ナニをおっぱじめるとは!
またもや妄想の扉があいてしまいましたYO!
大浴場に出かけずに、しずかに温泉につかるつもりが、板一枚へだてたお隣のカップルが大欲情。
ちっちゃい浴槽の中なら、二人の身体が超やわらかい?
いや、浴槽のなかではなくて・・・うぉ・・・E?・・・げげ(以下自粛いたします。
つくづく、おもしろいことにでくわしますね!
それにしても、テニスエルボー。わたしも左ですが、まだ一進一退を繰り返しております。涙。
お察しいたします。
今週末は、さみしいですが、来週の更新楽しみにしています。
じじょうくみこ Post author
>>爽子さま
こんにちわーいつもコメントありがとうございます(=´∀`)人(´∀`=)
顔文字表現に最大の注意を払いましたyo!
そのまま文字で語るとほれ、アレがナニなんで(笑)
いやはや、初めての体験でございました。
客室露天を選ぶ時は、どうぞ両隣の部屋との感覚もチェックくださいますようm(_ _)m
お休みすみません(^^;;
今年はなんだかしつこくてまいってます( ; ; )
ゆきんこ
はじめまして。
四十路の道を歩き始め、早くもけっつまづいてる
バツイチ歴長しの、女子高生のオカンです。
先月から始まった 月のモノの乱に
翻弄され
ホルモン剤治療スタートしております。
不安からくる不眠に途方に暮れてましたが
ブログの面白っぷりに
もう、寝なくてもえーわと
一気に読み進んでおります!
バツイチ独女も底深い孤独と焦りがありますよ(;д;)
1度結婚というものを経験してるからこその寂しさ。
再婚しぃーや!と周りからは簡単に言われますが
再婚相手に巡り会えてセカンド人生幸せ〜なんて
選ばれた人だけよ…
とヒネまくりながら生きております。
更新楽しみにしております。
お肘も養生なさってくださいね。
じじょうくみこ Post author
>>ゆきんこさま
はじめまして、コメントありがとうございます〜(*^_^*)
そしてなんとなんと、寝る間も惜しんで?読んでくださり大変光栄にございますm(_ _)m
2人でいたからもっとさみしい、ということもありますよね。
2人でいるときのほうがずっとさみしい、ということもあったかと思います。
さみしさやひねくれをこねくりまわして
なんとか生き延びてまいりましょう♪
私も励みにしますっ。
よろしかったらまた遊びにきてくださいましね(*^_^*)