年をとっているだけで醸し出される、威厳とか、風格みたいな「重々しさ」の弊害。
もう少し若いときは、「年をとると、それなりの風格や威厳があったほうがいい」なんて言っていましたけど、もし、いまのわたしが、当時の自分に会ったら「それが、そうとも言えないのよ」ってこっそり教えてあげますね。
世の中の仕事や役割には、「威厳があったほうがよいもの」「どっちでもお好みでいいもの」「威厳があったらまずいもの」があるんですもん。
「威厳があったほうがいいもの」は、政治家や経営者など「まわりが頼りたくなる」人たち。老舗旅館の女将なんかも客としては安心して頼りたいから威厳があってほしいかな。
「どっちでもお好みでいいもの」には、それこそ、いろいろあると思いますが、家庭の主婦もこれに入るかなあ。「いいとこの奥様」を積極的に演出してもよし、「庶民代表のおばちゃん」でいるもよし。自分の生活状況や好みにあわせて威厳を取り入れたり、取り入れなかったりできると思います。ファッション面でも、そうですよね。意外な人に威厳があるとカッコよかったりするので、この領域は個性で勝負できるジャンルといえるかも。
「威厳があったら、まずいもの」は、みうらじゅん氏やリリー・フランキー氏などサブカル系の人たちがそうですね。こういった男性の長髪・帽子・金髪は「ついつい年齢とともについてしまう威厳から逃れる」ための必需品だなあと思います。アメカジ系やロック系ファッションなんかもそうです。
年をとると「自然についてくる威厳」との距離の取り方が試される。
わたしも、仕事ではとても年上さんなんで、油断していると年下のディレクターから「安心して任せられます」とか「ああ!お願いできますか。さすがです」なんて持ち上げられることがあるんです。そのとき、顔では微笑んでいますが、頭のなかでは危険センサーが激しく鳴り響いています。
ああ。余計な「威厳風のもの」がついている。「気軽に頼める人」でないと敬遠される!と。
過度な「威厳」は商売の敵です。せいぜい「落ち着き」「安心感」までが許容範囲。
日本人には年功序列の精神が染みついているので年を重ねるだけで「威厳のようなもの」がついてくるので油断大敵。だれだって職場で「つねに相手を持ち上げながら仕事をする」のはイヤですからね。安心できるけど気軽で頼みやすいという「理想形」をいかに作るか。課題です。
★今日から、小島葉子さんがファッションやメイクの悩みに丁寧に答えてくれる「今日のこていれ」がはじまりました。コート選びのコツがズバリ!
2週間、月曜から土曜まで更新です。ぜひ、毎日のぞきにきてくださいね。
コメント欄で感想や質問もどうぞ。
★小関祥子さんの「最近、映画見た?」は、ロマン・ポランスキー監督の作品。これ、見たい!