夫婦喧嘩は夫婦しか食わない。
ときどき夫婦喧嘩になるのである。そりゃなるわなあ。ずっと一緒にいるんだよ。それでも仲がいいなんて、無理だよねえ。というか、仲はいいほうだと思うんだよね。思うんだけど、ときどきむちゃくちゃ腹が立つこと言うんだよ。
ついこないだも大喧嘩したんだけども、なにが原因かといわれると、もう原因なんてわかんないんだもん。だけども、なんとなく話している途中で、「ああ、これは喧嘩になるな」というのがわかるのね。うん、わかるんだ、これが長年連れ添っているから。長年連れ添っていると、「ああ、これから喧嘩がはじまるのね」というのがわかる。さすがだね、年の功だね。ずっと一緒にいるから、わかっちゃう。
わかってれば、回避すればいいと思うんだよね。ああ、そうだよ。そんなことわかってるよ。回避の仕方もわかってるんだよ。なんとなく、とげのある言い方を相手がしているときに、「ああ、そうですか」なんて返さなきゃいいの。だまって、気づかないふりをすればいい。
さすがだねえ。で、相手の前から姿を消してだね、一生懸命仕事をしてくると。で、なんか甘いもんでも買って帰ってね、わざとらしくなく差し出したりなんかすれば完璧だね。
いやもう、なんでなの? なんでそこまでわかっていて、姿も消さずに、相手のとげのある言葉に「ああ、そうですか」ととげのある言葉で返して、わざとらしく目の前に居座って、「僕のなにが悪いんですかね」的な反応をきっちり相手に見せつける。
えっとまあ、そんなことしてれば喧嘩になるのよ。危ないのよ。そんで、結局喧嘩したら、こっちの予定がずぶずぶになって、相手は意外に平気な顔していきなり買い物に出かけたりなんかして、こちらはなんだか知らないけれども、出かけのヨメのとどめの捨てぜりふを浴びせられて、うまいこと返せずに、腹が立つわ、がっくりするわ、気分があがったり下がったりで、もうどうしようもない。
ほんま、どないしてくれるねん、と思うけれども、意外にこうなると、女は粘るんだよ。いつまでも平気で無視できたりするわけよ。そこいくと男はもう途中から「いやもう、晩ご飯は楽しくおいしく食べたいよね」という気持ちになってるわけよ。もうね、その時点でこっちが弱いのよね。
なので、すきをみて「晩ご飯どうする?」なんて聞いてみる。たまに、これでうまくいくときもあるんだぜ。なのにさ、これが火に油ってことがあるの。その違いがわかんないんだよ、こっちには。
言っとくけどさ、こっちに落ち度は絶対にないんだよ。どう考えたって、相手の妙なこだわりとか、勘違いとか、絶対にそういうのなの。なのにさ、途中から絶対に私は悪くないと思いこんで、絶対に謝るのは相手と決めてるわけだ。
「晩ご飯どうする」と聞いて、帰ってくる返事が「好きにすれば」だよ。好きにすればってなんだよ!と思うけどさ。そんなこと言ったら、もう修羅場じゃねえか。修羅場にならないように、ちょっと気づいていないふりして「あそこの交差点の角に、うまいそば屋ができたらしいよ」とか言ってみるわけ。するってえと、「そんな余裕ありません」とか、稼ぎの話にぐいっと寄せてきたりする。そんなことされると、こっちも「なんだよ、それ!」ってことになるじゃない。
いやわかってるんだよ。回避の方法も、逃げる方法も。だけども、わかっていて、修羅場につっこんでいってしまうんだね、夫婦喧嘩って。おそろしいね、夫婦喧嘩って。「夫婦喧嘩は犬も食わない」ってよく言ったもんだよ。夫婦喧嘩食うのは、当の本人たちだけって落ちなんだけども、夫婦喧嘩してたときのことを思い出して、また気持ちがあがったり下がったりだよ。ほんと、こんちくしょうめ!
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→★
「ネコのマロン」販売サイト
https://store.line.me/stickershop/product/1150262/ja
クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。
そして、こちらが「ネコのマロン、参院選に立つ。」のサイト
http://www.isana-ad.com/maron/pc/
植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
パプリカ
爆笑致しました。
夫婦しか食わないではなく
読者も食いました。
お腹いっぱいです。
ごちそうさまでございました。
おそばがダメなら
うどんはどうでしょう?
これで
て・う・ち(手打ち)
ということで。
uematsuさんご夫妻が
どんなに仲良し夫婦かは
遠く離れた読者にも
妬けるほど
伝わってきますよ。
去年の9月14日の記事にありました
九段下のイタリア文化会館で、イタリアのジャズカルテットのライブに
お二人でまた行かれると良いですね。
今度はコンサートの余韻を
居酒屋でぶちこわさないように。(爆)
uematsu Post author
パプリカさん
手打ちかあ。
なかなか、「これで、手打ちじゃ!」という場面に遭遇しないですね。
ちょっと時間をあけて、普通に会話し始めた時に、普通に返事をする。
そのタイミングを待つしかないのです(笑)。
カミュエラ
ごちそう様でした。
私もお腹いっぱいになりました。(笑)
夫婦喧嘩、回避しようと思えばいくらでもできるものを、あえて「おお、どこからでもかかってこいや!滅多切りにしてやるわ!」気分で声を荒げることがあります。これは私のその日の気分によるものです。(笑)
でも最近はけんかのそもそもの原因さえ思い出せなかったり、気を抜くと自分が腹を立てていた事さえ忘れるようになってきて、けんかが長引かなくなりましたね。(笑)
けんかをして何日も口を利かないなんていうのは、まだまだ若い証拠に思えます。
uematsu Post author
カミュエラさん
いやもう、うちも何日も続くほど若くないです(笑)。
続いて翌朝、早ければ数時間。
でも、その時間が、けっこう地獄なんですよねえ。
たまんないです。
まあ、お互いなんでしょうけど(笑)