芸能ニュースにひれ伏せ
僕は芸能ニュースが大好きである。その下世話な響きがすでにたまらない。芸能界とは芸に秀でた人たちが活躍する世界である。芸に秀でた人たちはその名を知られ、その一挙手一投足が注目されてしまう。
芸能ニュースの神髄は、そんな芸能界の人たちの、本来の芸能以外のあれやこれやである。
恋愛がらみの愛憎劇や心の弱さにつけ込まれた犯罪劇。そんなニュースで浮き彫りにされるのは人の心の弱さや逆に強さ。そして、愚かさや悲しみだったりする。
ゴダールは「流行歌にこそ真実がある」と語ったけれど、僕は芸能ニュースにこそ、世の中の真実があるような気がする。
一般の人たちが犯す罪について、僕たちは深く詮索できないけれど、芸能人なら「有名税だろう」という名目を振りかざしてどこまでも追いかけられる。上品ぶっては見ても、電車の中吊りを目の端で追ってみたり、食堂の隅のテレビから聞こえてくる芸能ニュースに聞き耳を立てたり、人知れずネットニュースを確認して見たりする。
嫌だ嫌だ、こんなニュースに価値はないとうそぶいてみたところで、そんな言葉に真実はない。
近頃、芸能人と一般人の敷居がなくなってきたからという理由で、いつの間にか芸能人を「さん付け」してブログにあげるようになった。僕もなんとなく気分として、松田聖子さんはなんて書いたことはあるけれど、僕は松田聖子と友だちでもなければあったこともない。もしかしたら、「さん付け」すれば、なんとなく相手を引き寄せて、自分を引き上げるという手練手管が一億総ブロガー時代にいつのまにか広まってしまったのかもしれない。でもまあ、松田聖子は松田聖子だ。知り合いになれる日が来たら、手のひらを返したように松田聖子さんと書けばいい。
さてさて、そんなわけで、芸能ニュース。
やってしまったことを、とやかくいうのはいいじゃないか。
追いつめて、壊してしまわない程度に。芸能ニュースを楽しめるなんて、実はとてもいいことだし、実はとても楽しいことだと思うんだけども。えっと、下世話だけどね。というか、人間なんて下世話なもんなんだから、と思うんだけどね。
怖い話だけどね。
だけど、怖い話だからこそ、昔は「芸能界は怖いところだ」と世の中の親は反対してたんだよ。
勝手に敷居を低くしといて、芸能人も僕らと一緒だって、「なんだよ、そりゃ」と僕は思うのでした。
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
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クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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