Posted on 2017年10月26日 by つまみ

ゾロメ日記　NO.77　あんな宣言こんな宣言

◆10月某日　三重苦三銃士は私の迷惑です！

１９８０年代、ＴＶが高らかに「カゼは社会の迷惑です！」と宣言してた。ベンザエースのCMだ。

妙に印象的で、以来、風邪をひくたびにこの言葉を思い出すようになった。風邪以外でも、自分のどこかしらに不具合が生じると「○○（腰痛とか結膜下出血とか金欠病とか）は私の迷惑です!」と脳内で宣言し、自分と不具合を少しでも切り離す作戦で（しばしば不可能だが）今日まで生きのびてきたのだった。

なつかＣＭ。いろんな芸能人が言ってた気がする。

小学校の図書室でのパート仕事の日の朝、どうもお腹の具合がしっくりしなかった。４年生に「ネコが出てくるおはなし」というテーマで本の紹介をする日だったので、いつもの３割増しぐらいの気合で、しっくりしなさを無視して家を出た。

朝から図書室の人の出入りの多い一日だった。受入登録待ちの新刊も山積みで、ちょっとめまいを覚えた。本の紹介は、１組が５時間目、２組が６時間目なので、午前中で力尽きるわけにはいかない。昼休みあたりは明らかに身体が重かったが、それもいつもの５割増しぐらいの気合で無視した。

フシギなもので、５～６時間目は不調を感じなかった。なけなしの気合が出払っていたせいで、むしろいつもより落ち着いた本の紹介だったかもしれない（内容は別として…別なのか）。絵本『タンゲくん』の読み聞かせも、特にしくじりはなかった…と思う。いつのまにか身体の重さも気にならなくなっていたので、家に帰って一休みすれば完全復活するんじゃないかと思った。

甘かった。夜から頭痛と下痢と吐き気の三重苦三銃士が来襲してきた。三つ均等に辛いので、どこを苦しがっていいのかわからなかった。うわごとのように「もうダメだ。一生治らないかもしれない…」と弱音を吐くと、夫が能天気な感じで「具合が悪くなるといつもそう言うけど、必ず治ってるから大丈夫だよ」と言うので、一瞬殺意を覚えた。

いいよ、はりきらなくて。

翌日は、悪天候続きの10月には稀有な、とても明るい朝だった。転倒して６月の末から入院している義母がリハビリ専門病棟を経て退院してくる、文字どおり「ハレ」の日でもあったのだが、起き上がることができなかった。

おフトンから失礼します。

 復活したのは、寝込んで丸２日になる夕方だった。おそるおそる口にしたりんごが吉と出た。３日目の朝は空腹で目が覚めた。吉と出てからは早かったが、いったいぜんたいなんだったのだろう。正直、今もぶり返しが怖い。

りんご、エライ！

ちなみに「頭痛　下痢　熱なし」で検索すると、胃腸風邪、秋バテなどと共に、やたらストレス系疾患が出てくる。ストレスからくる自律神経失調症、ストレスからくる胃腸炎…。う～ん、そうなのかな。私の場合、ストレスの理由は家庭の状況や仕事じゃなく、持病や生活習慣病や不定愁訴のような気がする。体調を気にしているストレスで体調が悪くなる感じ。負のスパイラル感ハンパなし。

 義母に関しては、転倒入院後しばらくは、まったく足腰が立たず復活が危ぶまれたが、転院したリハビリ病院でとてもがんばったので、なんとか寝たきりを回避しての退院になった。でも、足腰は入院前より不安定で、家の中でのちょっとした移動も歩行器か手すりが必要だ。

この御方の頼もしさったらない。

そんなわけで、わが家は日に日に手すりが増殖している。夫が廊下から台所の動線に当たる食器棚のヘリにまで付けた。

違和感がすごい。

義母は退院翌々日から週５でデイサービスに行き始めた。勝手に動いてよろめいたりしていろいろ危なっかしいが、なんとか平穏な日が続きますように！頼むよ、ひとつ。

◆10月某日　性格は違います！

自分の持病の定期検診。前回（半年前）と変わらず。悪化してないことはいいっちゃあいいのだが、良くなってもいない。症状がキツくないのでヨシとするかあ。

担当はハキハキした30代（たぶん）の女性医師で、伊調薫似だ。伊調先生にはたまに義母も診てもらっているが、診察終了時に先生が急にあらたまった感じで「それにしても、月亭さんのお義母さん…」と言うので、「なんだなんだ？今日は義母を連れて来なかったけれど、義母も早急に外来を受診させた方がいい系の話か？」と身構えると「…と月亭さんってよく似てますね。お嫁さんってことは知ってますが、顔も雰囲気もそっくり」と言うので脱力した。

うん、やっぱり似てる。

とっさに「顔が似てるとはたまに言われますが、性格は全然違います！」と宣言し、重ねて「義母（はは）はすごくポジティブですが、私はネガティブです！」と、これまたどうでもいいことを高らかに宣言してしまった。それに対しての伊調先生。
「確かに、お義母さんはそうですね。前向きな方です。月亭さん、そこも似ちゃえばいいんじゃないですか」

 いろんな外来を経験したが、診察室で「誰かと似ちゃえばいい」と言われたのは初めてだ。面白い。

by月亭つまみ

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