【エピソード22】リタイア後の暮らし方
さてさて、聞いた話を形に残すことを仕事にしている
「有限会社シリトリア」(→★)。
普通の人の、普通だけど、みんなに知ってほしい
エピソードをご紹介していきます。
【エピソード22】
ノブオさんは、高度成長時代を支えた猛烈サラリーマンの一人でした。
最愛のパートナーが重い病気を発症されたのをきっかけに、50代後半でリタイア。
家庭人として過ごした60代以降のお話をうかがいました。
●妻の看病で家事の腕を磨く
ノブオさんの奥様が発病したのは平成のはじめの頃のことです。
当時、定年を目の前にしていたノブオさん。
お知り合いから再就職先への誘いもありましたが、
お断りして完全にそれまでの仕事を辞めました。
「それまで家内には本当に大したことはしてこなかったので、
せめて看病というか、そばにいてできる限りのことはしてやろうと」
通院の付き添いはもちろん、買い物やあまり経験のなかった料理まで
家事全般がノブオさんの仕事になりました。
「何が食べたい? と家内に聞いて、買い物に行くようになって。
それが十分にできる時間がありましたから、
料理もできるだけ本を見ながらいろいろ作って食べさせたりしていました。
おいしいと言ってくれると、それだけで十分だったんですけど。
今になって考えると、本当はもっと、専門とまでは言わなくても、
料理の上手な人なんかにお願いして、
ちゃんとした料理をつくって食べさせてやればよかったなと…」
malagatea.comより
●娘との海外旅行
7年間の闘病生活の後、奥様は亡くなられました。
ノブオさんの喪失感は大きなものだったことでしょう。
辛そうにしている姿を見た一人娘のマミさんが、
一緒に海外旅行に行こうと誘ってくれました。
「家内が生前、ヨーロッパに行きたいとよく言っていたんですよ。
国内は、自分の姉と沖縄に行ったり、
親しくしている親戚と金沢方面に行ったりはしていたんですけど、
私と二人で海外に行くという機会はなかった。
一度、連れていってやればよかったな、と。それは悔いが残っていますね」
どこまでも奥様思いのノブオさん、
奥様のことを思い出しながらも娘さんとの旅を楽しまれたそうです。
ご自身は現役時代に台湾や香港への出張を経験していましたが、
観光としての海外旅行は初めてだったとのこと。
「もし一緒に来ていたら、こういうとき彼女だったらどうするのかな
とかついつい思いながらですが、
イタリア、スペイン、ドイツ、北欧などへの旅を楽しみました。
イタリアと北欧は特に好きになりました。
今でもテレビで旅の番組をやっていると、懐かしく思いながら観ています」
4meee.comより
●一人暮らしを楽しみながら
今は娘さんが嫁がれて、一人暮らしになったノブオさんですが、
奥様を看病しながら身につけた家事能力は健在です。
「なかなか料理を楽しむところまではいきませんが、
腎臓を悪くしているので健康な人と同じような食事はできず、
自分なりに工夫しています。午後は買い物に行き、スーパーを2、3軒回ります」
スーパーにもお好きなスーパーがあったり、
野菜はここと決めているお店があったりするそうです。
そのほかにも雨が降らなければ毎朝、歩いて30分くらいの公園までの散歩を欠かしません。
毎日小1時間くらいは歩いていると言うノブオさんです。
「近所に住んでいるので娘はよく手伝ってくれます。
一緒に住もうと言ってくれているんですけど、
自分のことができる限りは、一人で暮らしたいと思っていますね」
優しくて、自己管理がしっかりできて、家事能力の高いノブオさん。
奥様は天国できっと自慢に思っていることでしょう。
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