雨がやんだら。
雨が降る中を出かけると、服や靴が濡れてしまう。大雨が降ると、靴の中まで水が入り、一日中気持ちが悪い。ひどいときには鞄の中にまで雨がしみて、大事な本や書類がしわしわになり、破れてしまったりする。
ああ、と思う。あの雨の中を出かけなければ、こんなことにならなかったのに、と思う。昭和の頃なら、アホ社長がいる会社で働いていて、「多少困難なことがあっても、お客さまに迷惑をかけてはいかん。雨がなんだ!風がなんだ!」と言われて無理矢理、雨の中を飛び出していく、なんてこともあったかもしれない。
しかし、今時、一本電話をするかメールをして「雨がひどいので、今日の打ち合わせ、明日にしませんか」と問い合わしたとしても「なんだと!」という人はほとんどいない。万一、いたとしたら付き合わない方が良い。きっと、先々なんらかのトラブルになるのは目に見えている。
まあ、今まで僕はわりとくそまじめだったので、台風や警報が出ていない限り、「ああ、雨に濡れて、大事な本が水浸しになったらいやだなあ」と思いながらも時間通りに人に会うために出かけたりしていた。でも、そんなことに対する「やらなければ」という意識もだいぶ薄れてしまった。よほどのことが無い限り、延期にしてもらえばいいじゃない、と思うようになった。「だって、ちょっと時間をずらすだけで、この雨に濡れなくて済むんだから」という気持ちの方が強くなった。
もちろん、例外はあると思うけれど。僕の場合、例外って何だろう。たくさんの学生が待っている学校の授業は、できる限り行くように努力するなあ。後はなんだろう。段取りに思いの外時間がかかった取材とかは、自分から「辞めましょう」とは言わないな。担当者に「延期すれば?」と打診はするとは思うけれど。
ああ、あとは自分自身でプライベートな日記映画とかを撮っているときは出かけると思う。「それはそれで、何か撮れるぞ」という気持ちになってしまうから。もちろん、危険を冒してまで、という話ではないけれど。
そういえば、映画は特別なのかもしれない。台風で電車が止まっているなか、二駅ほど歩いてどうしても見たかった映画を見に出かけたこともあった。若い頃だけれど。そしたら、映画館が臨時休業になっていて、しばらくぼんやり映画館の前で立ち尽くしていた覚えがある。
今なら、どうするだろう。さすがに台風だと出かけないと思う。思うけれど、激しい台風の中、誰もいない映画館で濡れた服のままハリウッドの恋愛映画なんて見るのもいいなあという気持ちは、いまだに心のどこかにあったりはする。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。サイト:オフィス★イサナ
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