第24回 本好きの下克上 司書になるためには手段を選んでいられません
『本好きの下克上 司書になるためには手段を選んでいられません』は、香月美夜のライトノベルが原作。(このライトノベルがすごい!2018/2019二年連続第1位)監督は『クレヨンしんちゃん』を手がけた本郷みつる。アニメーション制作は亜細亜堂。10月から始まった本作は、ただいま好評放送&配信中です。
司書として就職が決まった本が大好きな学生、本須麗乃(もとす うらの)は、不幸にも亡くなり、なぜか体の弱い5歳の少女マインとして別世界に転生します。熱に浮かされたマインが目を覚ました世界には、本が無い…。町で目にした一冊の本は羊皮紙の筆写本。話によれば、この世界では本は高価で、一般に売り買いされるものでは無いという。
それは悲しい…本さえあればこの世界でも生きていけるのに…!
そうだ!本がなければ、作ればいいじゃない!とばかりに始めたのが、紙作り。(え?そこから?) 植物を割いた繊維を編んで作ろうとするも遅々として進まず断念。しかしマインは諦めない。前世=麗乃時代に本から得た知識はマインになったあとも活かされ、記録媒体作りのチャレンジは続くのですが、できた!と思ったら、周囲の人たちにことごとく台無しにされるのです。悪気は無いのだろうけれど、マインは、お腹の底から怒りが湧いて、熱が出るほど!
ひ弱な5歳児マインですが、マインドは麗乃。チコちゃん(5歳)もなんでも知っているけれど、マインには実用的な知識があるのです。リンスインシャンプー(ネーミングが懐かしい!)や髪飾りを手作りして家族に喜ばれ、自由の効かない少女ながら、自分の手札と相手の手札を読み、したたかに大人と交渉するマイン。交渉が成立すると、見ている私もニンマリしてしまいます。この世界にない司書という仕事をうみだすために、マインはどんなイノベーションを起こすのか。どんな手段でのし上がっていくのか?彼女の手腕に注目です。
癒しの種類もいろいろです。辛い気持ちに沿いながら、人間ていいなと思わせる癒しもあれば、この世でも知らなかった領域の話が、憂鬱な気持ちを忘れさせてくれる癒しもあります。本作は、脚本が自然で、キャラクターデザインは大人も子どももかわいく、中世風の舞台と音楽が楽しい。用事の合間にちょいと腰かけて見るような、ホッとする癒しを与えてくれる作品です。
お姉ちゃんのトゥーリを演じる声優、中島愛(なかじま めぐみ)は、かつて『マクロス・フロンティア』で全宇宙を癒した歌姫ランカ・リーを演じていました。彼女が、エンディング曲『髪飾りの天使』を歌います。
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あれから(いつから?)アニメーション映画『ONE PIECE STAMPEDE』と『エセルとアーネスト』を見ました。どっちも良かった。ふだんアニメを見ない方も、後者は満足感があるので、ぜひ。
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*アイキャッチ画像と動画は、当該作品の公式HPより