緊急事態宣言の夜
さっき、安倍首相が緊急事態宣言を出した。あごが丸出しの小さめのマスクをつけて登場して、早口でそう言っていた。それを娘とみながら「マスクが小さい!」とツッコミを入れつつ聞いていた。ちなみに、マスクのサイズで言うと、その後、登場した小池都知事はマスクが大きかった。こちらには「マスクが大きい!」とツッコミを入れた。
緊急事態宣言を出そうというときに、自分の顔のフォルムにピッタリのマスクができない首相ってどうなのよ、と僕は思ってしまったのだった。でっかいマスクから可愛い垂れ目をのぞかせている都知事を見てどういうことだよ、と僕は思ってしまったのだった。
どんなマスクをしていようと、宣言の内容は変わらない。このままだと感染者が8万人になってしまう。なので、家にいてくれ。会う人の数を8割方減らしてくれ。というのが主旨だ。
さすがに緊急事態宣言というだけあって、その内容はなかなかに厳しい。だって、要請された内容を実現しようとすると、生活を保証してもらう必要がある。家で仕事ができる、という人の方が圧倒的にすくないと思う。飲食店で働いていた人は、仕事がなくなり収入がなくなる。不要不急と言われている広告の仕事などをしていると、有事に仕事が無くなるという経験はいやというほどしているので、慣れていると言えば慣れている。慣れてはいるけれど、収入が無くなるという恐怖に慣れることなんてできない。ましてや、不景気な時でも食いっぱぐれがないと言われている飲食店の人が、まさかの食いっぱぐれというのは、ものすごいインパクトだと思う。
そんな中で、仕事もせずに家にいてくれ、と言われて平穏でいれるわけがない。さて、それならどうすればいいのか。一番いいのは安心して失業できるだけのお金をもらうことだ。でも、国は多少の補償はしてくれそうだけれど、その手続きは煩雑そうだし、金額的に安心できる額には絶対ならないという確信がある。
そうなると、ほんと救いがないのですよ。うちは借家だし、仕事はあきらかに不要不急だし、もう一つの仕事は学校の先生で、そっちはすでに5月以降の始業になってるし。慌てても仕方がないと言いつつ、正直、えらいこっちゃなあと思っていたのである。
ということになるのだ。それほど、傷みを伴った話なのだ。だったらさ、ちゃんと顔のサイズにあったマスクをしてくれよ。と僕は思うのだ。いやいや、そんなのはどうでもいい。首相は見た目なんて気にせず、国民に伝えるべきことを真摯に伝えればいいという意見もあるだろう。だけど、どうしても気になるのだ。そのマスク選びの適当さが。マスク不足で選べなかったなんて言わせない。官邸なら、同じ使い捨てのマスクを二日も三日も使わなければならないような状況ではないはず。サイズだって、大きなのと、普通なのと、小さめサイズくらいあるだろう。
だったら、選んで欲しい。選んでください。で、周りもなんか言ってください。「もうちょっと大きい方が」とかなんとか言ってください。そんなことも言えないくらいにイエスマンで固めているのかも知れないけれど、それでも、やっぱり言って欲しい。
いや、なんでこんなことを書いているんだろう。すでに、自粛生活に嫌気が差していらついているのだろうか。う〜ん、そうかもしれない。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。サイト:オフィス★イサナ
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
Jane
ほんと、今回は不要不急の仕事と絶対必要な仕事とがくっきりと示されましたよね。普段から分かっていたことではありますが、こうはっきりされると不要不急の側の人は辛いですね。いや休みたくても休めない重要な仕事についている人も辛いですが。
不要不急の仕事って、その経済的な不安定さを差し引いてもやりたい魅力があったりしますよね。いわば社会の余裕の中で生まれた贅沢を、私達は再び取り戻せるのか。私も不要不急なもの志向の人間です。仕事も殆どなくなり、オンラインでボランティアやっていますが、これまた不要不急な内容のボランティア。布マスク作って寄付するとか、近所の老人の代わりに買い出しに行くとか、有要なボランティアもあるんですけどね。
uematsu Post author
Janeさん
ボランティアとか、たくさんありそうですね。
僕はなんだか少しずつ落ち込んでます。
こういう時こそ、人が見えてくるというか、
そういう事態に直面することが多くて。
でも、人生は続きますからね。
三日月
初めまして。
自治体の非常勤勤務をしています。
私の場合は逆に、感染拡大を受けてやる仕事がなくなったので、「無給でよいから休ませてくれ」と申し出たのです。
やることもないのに職場に出かけ、感染拡大のリスクを拡げた上に、税金から給料を貰う訳にはいかないと。
すると、欠勤扱いとするならば、処分の対象になると言われました。
訳がわかりません。不要不急の労働を控えようと、みずから自粛を申し出たのに…。
正義感ぶっている訳ではありません。
この非常事態に、公務員だけは別枠なのでしょうか。
こんなことを訴えたら私は抹殺されるかもしれませんが、でも、訴えずにはいられません!おかしいです!!
uematsu Post author
三日月さん
前例のない事態のなか、前例主義の職場では対応が難しいのかもしれませんね。
そんなときには、こう対応してくれ、というマニュアルさえあればOKなんでしょうね。
三日月
身内に、重症化する恐れのある者を抱えており、私自身、何としても感染は防がなければなりません。
私の立場は、公務員階級の中の最下層です。代わりはいくらでもいるので、嫌なら辞めろということでしょう。
現在、有給を使って休んでいます。
でもそれももうあとわずか。
実際の仕事再開までの見通しは遠く、綺麗ごとや大袈裟ではなく、今後の自身の生きざまを深く問う日々です。
uematsu Post author
三日月さん
「嫌なら辞めろ」、嫌な言葉だけど、
今まで何回も似たような言葉を投げられました。
僕は自営で数名の社員を抱える生活が30年近く、
フリーランスになってから1年と少し。
ずっと「明日はどうなるんだろう」と思いながら
生きてきました。
いつも悩んで、いつも答えが出せないまま
生きてきましたが、結局は信じた道にかじを切り、
あとは、なるようになる、と楽観主義を決め込むしか、
ないような気がしています。
三日月
「嫌なら辞めろ」
本当に嫌な言葉ですね。
非正規公務員の制度が改悪されてゆくたびに、異議を唱えてこの言葉を投げつけられ、実際辞めていった仲間が何人もいます。
私はそれが悔しくて、そして、代わりはたくさんいるであろうが、私の代わりはいるものか!と、食らいついてやってきました。
しかし今回、これだけ大勢の人々が路頭に迷うかもしれない事態に、規則にないからと言って、甘んじて税金をいただくということに、自分でも驚くほど憤りを感じているのです。
でもこの怒りは行政にはうまく伝わらず、何なら「貴重なご意見ありがとうございました」という反応を返されました。
世がこんな事態でなければ、ちょっとしたコメディですらあります。
uematsu Post author
三日月さん
もう世の中はブラックコメディですね。
「まあ、なんとかなるだろう」というところから「え?こんなことで人類は滅ぶのか?」
というところまで、行く時にはあっという間という感じもします。
でも、たぶん人生は続きますからね。
ブラックじゃなくて、心温まるコメディの登場人物でありたいもんですね。
三日月
先週、8日付のuematsu さんの記事にコメントさせていただきました、三日月と申します。
(以前、カリーナさんのブログにも二度ほどコメントを送ったことがあります←控え目!)
あれから、とりあえずブログを始めてみたり、現在の自治体のあり方をあちこちに問うてみたりしましたが、ブログを書くうち、よし!ここはやはり、いざ切腹!と覚悟が決まったまさにそのタイミングで、
「切腹は待て!在宅でこれやってもらうから!」とのお達しがきました。
そして今朝、カリーナさんがTwitterにのせていらした記事(“書くことで「自分の武器」を知る”)を読み、「あ!これ、ちょうど私もぼんやり考えていたことだ!」と、何だか背中を押してもらえたような気がした次第です。
まだまだ小さな声ですが、続けてみようと思います。
uematsu さん共々、ありがとうございました!!
uematsu Post author
三日月さん
継続は力ですね。
僕も肩の力を抜いて頑張りたいなあと思います。