11月21日はカレー記念日

カレー記念日

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11月21日はカレー記念日

月亭つまみ

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
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50代、男のメガネは

マーベルは映画じゃない。

『タクシードライバー』の監督、マーティン・スコセッシがマーベル作品について聞かれ「あれは映画じゃない。テーマパークのようなものだ」と発言したことが割と尾を引いている。『ゴッドファーザー』のフランシス・フォード・コッポラが「スコセッシは優しい。私ならマーベルを卑しいと言ってしまいそうだから」と賛同した。もちろん、スコセッシの発言について反発する映画人もいるし、特にマーベルしか観ないという若い人たちは、じじいが何を言っている、と想っていることだろう。

僕自身はもう我が意を得たりの心境だ。なにしろ、マーベルの一連の作品はヒットすることを大前提に、どこでどうアクセルを踏み、どこで急ブレーキをかけ、最後にどんなハンドリングをすれば観客が喜ぶかを緻密に計算しながら作られている。まさにテーマパークだ。テーマパークが悪いわけではない、ということは僕も思うところだけれど、怖いのはテーマパークに慣れてしまうと、小さなご近所の公園で、ブランコに乗りながら空を見上げることを忘れてしまうのではないか、ということだ。

つまり、マーベル作品の最大の特徴は、あの一連の作品群が、高度な号泣スイッチであり感動スイッチを兼ね備えている、ということだ。映画の醍醐味は自分自身の感覚でその作品の奥深くに分け入って感情をつかみ取ってくることにあるのだと思うのだけれど、マーベル作品は努力しなくても、向こうからその感覚を目の前に置いてくれる。しかも、なんだかこちらが努力したように思わせる巧みな技巧が使われていることがシャクに障る。

退屈な映画のなかに、ふいに立ち上る感情を目の前に身体が震えたりするような、気持ちの揺れがマーベルにはない。まるでジェットコースターに乗せられたように、安全装置が働く絶叫マシーンに乗り込むような感覚さえある。だからこそ、そこをコッポラは「卑しい」と切って捨てたのだろう。

『ジョーカー』(DCコミックス原作)のようにアウトサイドに焦点を当てた者でさえ、結局、虐待という根深い社会問題を都合よく利用したストーリーでダークヒーローを生み出すというお手軽な内容になっているように僕には見える。マーベルは映画じゃない。だからこそ、ハリウッドのスターであるはずのニコール・キッドマンやブラッド・ピットが、『キナリ』や『ノマドランド』のようなアート作品を必死に生み出そうとしているのだと思う。

翻って日本の現状はと言うと、さらに目を被うばかりだ。高校生あたりを主人公にした学園ロマンスとアニメ作品ばかりがシネコンのスクリーンを覆い尽くして、しっかりと社会を見つめた作品群はミニシアターの小さなスクリーンに追いやられて順番待ちをしている。

マーベル作品があるのが悪いわけじゃない。あの甘味の濃いクセになる駄菓子のような作品ばかりを観ていると、まともな作品を観る能力がどんどん失せていく。映画を観るには、かの淀川長治先生も言っていたように、教養と知識が必要なのだ。加えて、慣れも必要だ。刺激物ばかり食べていると、素材の味がわからなくなる。マーベルもいい。でも、素材の良さを活かした、素朴な作品もきちんと世の中に送り出す努力を大人は忘れてはいけないのだ。みんなが欲しがるものが主流になれば良い、ということになると、世界の主食はマクドナルドハンバーガーになってしまう。身体に悪いと知っていても、「時どき食いたくなるよね」と思わされている時点で、味覚を破壊されている若者のなんと多いことか。誰かが「マクドナルドばかり食べていると、えらいことになるんだよ」と教えてやらなければならないのだ。

改めてスコセッシに賛同する。マーベルは映画じゃない。若者には、マーベルを観ても良いけれど、それ以外の映画を見れるだけの教養と好奇心を失わないでほしい、と伝えたい。そして、大人たちには子どもが好きだからと言ってマーベルがあれば商売が成り立つと安易な道に走らないでほしい。これはもっと簡単な言葉で言えば、「恥を知れ」ということになる。

生前、テオ・アンゲロプロスは娘に「頼むから、ハリウッド映画を観ないでくれ」と頼んでいたらしい。「まともな映画を観られなくなるから」と。娘さんはテオの遺作が日本で公開されるときに来日して、「でも、父には内緒で母と一緒にハリウッド映画を観ていました」と告白して観客を笑わせた。ちょっと、いい話のようになってしまうけれど、でも、父であるテオは本気で言っていたのだと思う。娘のために。

マーベルは映画じゃない。テーマパークのようなものだ。これは、マーベル映画を言いえて妙だと心から思う。


植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→

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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。

★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。


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コメント、ありがとー!

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    都忘れ

    植松さん、こんにちは。

    私は、マーベル作品は観たことがありません。

    というよりも、あんまり映画そのものを観たことがなくて…。

    「ゴースト」や「タイタニック」のような、超有名で、わかりやすい作品は観ましたが、洋画は名前と顔がよくわからなくなるので苦手です。(マリーとマリアのような)

    でも、何が一番の問題かと言えば、映画館だと2時間ほどの時間、じーっと座っていないといけないのがツライです。

    ところが、今年の1月の終わりごろから、気まぐれで、Amazonプライムの韓国映画(クライム系)を観てみたら、独特な感じで、暗くて、薄気味悪くて、怖くて、妙におもしろい~!

    韓国映画(クライム系のみですが…)って、ハリウッド映画や邦画とは、全然別モノなのかどうか、比較することも出来ないのですが、自分でもびっくりするほどハマっています。

    もうすぐ100本に手が届きそうです!(笑)

    コロナが落ち着いたら、1度、映画館で観てみたいな~と思っています。

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    uematsu Post author

    都忘れさん
    暗くてじめじめした映画を暗いとこで見るのはいいですねえ。もう、部屋を真っ暗にして見たいくらいです。
    昔の映画は普段みちゃいけない場面があったり、心理描写もなかなか人非人のようなとこに切り込んだりしていて、「こんなの見ていいのかなあ」なんてドキドキしながら観てました。

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    kokomo

    「That’s Dance!」の植松まつりの時には欲張って三つも質問したのに、丁寧に答えてくださってありがとうございました。

    「That’s Dance!」で挙げていらっしゃった映画を聞いて、そうだよなぁ、植松さんがマーベル好きなわけないよなぁと納得してしまいました。偏見かもしれませんが、タヴェルニエ好きとマーベル好きはなかなか両立しがたいのではないかと。もちろん私もマーベル映画は苦手です。

    新田真剣祐さんがもうすぐ活動の拠点をアメリカに移すようですが、報道によると、日本での映画は漫画原作の恋愛ものが中心で、そういう傾向に嫌気がさして、というのが理由の一つに挙げられていました。俳優としての彼がどうこうということや、アメリカでもマーベルが大流行じゃん!というのは横に置いておいて、このような現状で俳優として活動する彼のモヤモヤがわかるような気がしました。

    それから、「That’s Dance!」に再登場お待ちしています。

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    uematsu Post author

    Kokomoさん
    マーベルが大嫌い!という感じでもないんですけどね。まあ、あんまり見たいとは思わないけど。ただ、ああいう刺激物ばかり摂取してると、家でも外でもマイ唐辛子を持ち歩いてる人みたいになっちゃいますからね。

    日本映画が、漫画原作の学園ものばかりなのも、本当に気持ち悪い。漫画原作があるとシナリオが読めなくてもスポンサーを説得しやすいですからねえ。要するに作る方も見る方も努力しなくても面白いものがほしい!ってことなんじゃないでしょうか。
    かなしいけど。

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