11月22日はカレー記念日

カレー記念日

落ちてゆく 枯葉のごとし 抜け毛かな

11月22日はカレー記念日

Jane

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.56 まだ読み終わっていない本

30代の7年間、都立の看護学校図書室の司書をしていた。バリバリ前世紀、図書室には、ワープロはあってもパソコンはなく、貸出は、個人情報ダダ洩れのカード方式だった。

阪神淡路大震災も、地下鉄サリン事件も、この職場時代の出来事だった。CREAという雑誌が主催していた「コラムグランプリ」という賞に応募してみたのも、ここで働いていた1997年だ。

受賞の連絡は、図書室の電話にかかってきた。まだ携帯電話は持っていなかったが、応募の際に職場の電話番号を書いた記憶がなかったので、受賞の事実より、まずはそのことの方に驚いた。家に電話し、仕事先の番号を聞いたとのことだった。

「いち早くお知らせしたいと思いまして」と電話の向こうの女性が、笑み混じりの声で言い、私は感謝の言葉を繰り返した。電話を切った後、図書室にいた学生に「おねえさん(一部の生徒にそう呼ばれていた)、何?どうしたの?何か当たったの?」と聞かれ、「え~と、ラッキーパンチがちょっと…」と答えたことを妙に鮮明に覚えている。

看護学校の図書室はその性格上、専門的な本や雑誌が多かった。基礎医学の本、病態生理の本、看護マニュアル、看護学生マニュアル、患者とその家族へのケア、老人医療、毎年開催される日本看護学会の各分科会別の集録誌…などなど。司書の資格のみで採用され、医療や看護の知識などまるでなかった私は、初日に自分の職場となる図書室を一回りして途方に暮れた。私、とんでもないところに来ちゃったかも、と。

危惧どおりだった。こちらにある程度の医学的な知識があることを前提に接して来る生徒や教員がほとんどだった。実習先から課題を与えられ、テンパった学生が駆け込んでくる場所、それが図書室だったのだ。すがるような目で、バイタル、ストーマケア、イレウス、カテーテル、服薬指導、プライマリーケア…などなどの本はどこ?と聞かれ、私の方こそテンパった。

司書は二人体制だったが、蔵書点検時以外は一緒に勤務することはなく、私が週に3~4日、相棒のベテラン司書がそれ以外の日の勤務だったので、わからなくても聞く相手がいない。今思い起こしても冷や汗が出そうな日々だった。

その後、定期購読している看護・医療関係の約30の雑誌それぞれのバックナンバー総目次をコピーし、特集記事のキーワード別目録カードを作ったり、書架の見出し板に、循環器や呼吸器などの名称だけでなく、具体的な病名やキーワードなどを入れるようにしたのは、学生のためというより、自分のためだった。

実習の前週金曜日の図書室は、事前学習のためにいつもごった返した。実習で受け持つ患者さんが発表されるのがこの日だったからだ。レファレンス(図書館の利用者が学習・研究・調査などの目的のために必要な情報・資料などを図書館員に求めること)は引きも切らなかった。目録カードケース前と、コピー機の前は特に人が多かった。波が引けると、ノートや付箋紙やペンだけでなく、コピーした文献、財布の忘れ物も珍しくなかった。それはなんだか、情報収集の残滓のように見えた。

 

インターネットがまだ一般的ではなかった時代である。必要な情報を得るためにはそれなりの苦労は当然というのが共通認識だったのだ。いまだに自分が、わからない情報をすぐに、特にWikipediaで見ることに若干躊躇することと、結局は見ることにはなっても、そこにちょっとした狡猾感と、「こんな風に得た情報は記憶に残らない」という諦観めいたものを覚えるのは、あの実習前の図書室の光景が目に焼きついているせいかもしれない…などと思うのは、時代錯誤の懐古主義だろうか。だろうな。

専門書が多い図書室とはいえ、それ以外の一般書もけっこうあった。比率にすると蔵書数一万数千冊のうちの2割程度は非専門書で、自分の在職中にも、小説や漫画、料理関係の本などをけっこう買った記憶がある。「ナースになろうとしたきっかけは?」の質問に、何人もの学生が「『キャンディ♡キャンディ』を読んだから」と答えたこともあって、この漫画も全巻揃えた。

厳密に「一般書」と言えるのかどうかわからないが、神谷美恵子さんの『生きがいについて』という本の存在を知ったのもこの図書室で、だ。

毎年入学してくる、1学年百人の学生の中には、社会人経験者もけっこういたが、ある年度、突出して年長だった、当時40代のKさんに「ナースになろうとしたのは?」とお決まりの質問をしたとき、彼女の口から出てきたのがこのタイトルだった。

学術書籍(非医療)の編集をしていた彼女は、それまでナースになろうと思ったことなど一度もなかったが、この本を読んで天啓に導かれるようにナースになろうと思った、というのだ。

『生きがいについて』は図書室にあったので、彼女が帰った後、早速手に取って開いた。途中まで読んだ。でも、読破には至らなかった。

その後、長い時間を経た2018年、ふとしたことから国立ハンセン病資料館に行く機会があり、そこでまた神谷美恵子さんの名前を聞くことになる。そして、まるでそれに付随するように、直後にEテレ「100分de名著」でまさにこの『生きがいについて』が取り上げられた。

伊集院光さんと一緒にこの番組の進行をしていた島津有理子アナウンサーは、この本がきっかけとなり、医師を志すためにNHKを退職し、現在、医大生だそうだ。

伊集院光さんも、最近出版した『名著の話 僕とカフカのひきこもり』という本で、この『生きがいについて』に言及しているらしい。

そもそも、『生きがいについて』は、わが家にある。

ここまで読む条件がそろっているのに、まだ読み終わっていない。いや、読むよ、そりゃあ、もちろん、読むに決まってる。

by 月亭つまみ

 


Amazon

 


ゾロメ女の逆襲 記事一覧へ


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。また、コメントは承認制となっています。掲載まで少々お待ちください。


コレも読んでみて!おすすめ記事

なんかすごい。

グッドバイ

昭和乙女研究所

映画の思い出vol.1

カレー記念日 今週のおかわり!

お出かけに 欲しいのお洒落な シルバーカー

60代、男はゆっくりご乱心

ダンドリくん

四十路犬バカ日和

ワンオペ生活の大いなるルーティン化

OIRAKUのアニメ

第110回 ONE PIECE FAN LETTER

今週の「どうする?Over40」

「まとまった形で」「時系列で」「思いきり」だれかに話すという自己救済法。

黒ヤギ通信

来年の干支

山あり谷あり再婚ライフ

介護の日は頑固の日?

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.87 かつての竹中直人の芸風の本

ミカスの今日の料理 昨日の料理

ちゃんと楽しそうに:豚なんこつの甘辛煮

かわいいちゃん

大ウサギ

夫亡き日々を生きる

カリーナからゆみるさんへ 2023年5月10日

絵手紙オーライ!

歌を書いてみたくて。。。

母を葬る

(16)一枚の絵

出前チチカカ湖

第201回 最近の宗旨替え

いろんな言葉

That’s Dance!文字起こし 第6回(episode16) やっかみかもしれませんが‥番外編も兼ねて

いどばた。

凹むこと最近ありましたか?

じじょうくみこの崖のところで待ってます

はなやぐお盆、わたしは墓へとタックルした。

ただいま閉活中

お守りが無くなったら

50代、男のメガネは

『レジェンド&バタフライ』で絶望の淵に立つ。

おしゃれ会議室 ねえ、どうしてる?

人生は引き算である

日々是LOVE古着

(終)これからも。これからは。

これ、買った!

くっつかないしゃもじをもう一度買った!

ワクワクしたら着てみよう

最近思うことをとりとめもなく書いてみた♡

わたしをライブに連れてって♪

コンサートwithコロナ

これ、入るかしら?

行き当たりばったりで失礼します

KEIKOのでこぼこな日常

巣ごもりしてたらこんな買い物を…

あの頃、アーカイブ

【エピソード37】最終回記念、私たちのクリスマス!

フォルモサで介護

私が負けるわけがない

お悩み相談!出前チチカカ湖

【File No.41】 私って多重人格!?

ラジオブースから愛をこめて

ノベルティグッズ

着まわせ!れこコレ

冬とウェディングと後れ毛と

このマンガがなんかすごい。

第15回(最終回):マンガよ永遠なれ!

夫婦というレッスン

津端英子さんの一筋縄でいかない個性と行動力がすごい著書「キラリと、おしゃれ」

ハレの日・ケの日・キモノの日

暑くじめじめな7月

眉毛に取り組む。

総集編!眉毛ケアグッズ&お手入れ用品のご紹介

さすらいの旅人ゆりの帰国&奮闘日記

グアテマラ。そこで見た不思議な光景と懐かしい味

新春企画 輝く!カレー記念日大賞2017

輝く!カレー記念日大賞2017

≪往復書簡≫SEX and the AGE 

「女性の健康を守り、5歳若くなる抗加齢医療」だって。ボーっとしてたら、すごいことになってるね。

最近、映画見た?

第12回 「海よりもまだ深く」

Over40からの専門学校 略して「オバ専」

【オバ専インタビュー】今まで知らなかった「責任感」も含めて、人生が大きく変わりました。

じじょうくみこのオバサマー

四十九歳の春だから。

華麗なるヅカトーク

第8回 型、色、数! 嫌なことがあったら、また観に来る!

サヴァランのやさぐれ中すday ♪

in her SHOES ~ おばばは何を考えて? #8

器屋さんのふだん器

ふだん器-38  飛びかんな

2016 みんなのこれ欲しい!

サヴァランの「これ、欲しい!」。

2015 みんなのこれ買った!

【じじょうくみこ】低反発リクライニングソファ、買った!

ブログの言葉

「別冊 どうする・・・」はこんなことを大事にします。(過去記事より転載)

今日のこていれ

「今日のこていれ」最終回。1年間のご愛読に感謝を込めて。

崖っぷちほどいい天気

崖っぷちより愛をこめて〜最終回はカピバラとともに。

アラフ ォー疑惑女子

「もったいないお化け」の世代間連鎖

とみちっちの単身ベトナム&中国

ベトナムって、ハノイって、どう?

晴れ、時々やさぐれ日記

ああ、感謝。巳年と午年のあいだ。

中島のおとぼけ七五調

中島。の気ままに更新「おとぼけ七五調」12

ムーチョの人生相談「ほぐしてハッケン!」

【主夫ムーチョの相談】娘がご飯を食べません・・・。

ミラノまんま見~や!

連載最終回!「駐妻のここだけの話」にしようかと思ったが…災難に遭う!

ウェブデザイナーとの対談

大きな旗は振れないけど、小旗はパタパタと振れるだけ振っていこうと思ってます。

「最高の離婚」ファントーク

<対談「最高の離婚」最終回>ホームから電車に乗ってしまってキスして・・・ロマンチックでしたね。

スパコレ

美味しい缶詰を教えて!

2014 新春企画

どうする?Over 40 新春企画「物欲俗欲福笑い」♪( メンバー編 )

フォルモサ(台湾)の女

あずみの台湾レポート「やっぱり紅が好き!フォルモサの女たち」(13)〜不景気顔卒業します

ゾロメ女の図書館小説

帰って来たゾロメ女の逆襲 場外乱闘編 連載図書館ゴロ合わせ小説  『ライ麦&博 完結編』 後編

青蓮の「マサラをちょいと」

青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.12」

Tomi*さんの最適解

「Tomi*さんの最適解。 ・・・白髪とコムデギャルソンとヤフオクと」  マインド編②

YUKKEの「今日もラテンステップで♪」

YUKKEの今日もラテンステップで ~VOL.13

11月22日はカレー記念日

カレー記念日

落ちてゆく 枯葉のごとし 抜け毛かな

11月22日はカレー記念日

Jane

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

よもじ猫

清掃業界

猫No.79  by 桜子

猫大表示&投稿詳細はこちら!

清掃業界

猫No.79  by 桜子

よもじ猫とは…

全世界初!?四文字熟語と猫のコラボ!

「よんもじ」と猫がペアになって、ランダムに登場します。
ふだん着の猫の一瞬を楽しむもよし、よんもじをおみくじ代わりに心に刻むもよし。
猫が好きな人も、そーでもない人も、よもじ猫の掛け軸からタイム&ライフトリップして、ときどき世界を猫目線で眺めてみませんか。

みなさんの猫画像の投稿をお待ちしています。

投稿はこちらからどうぞ

カイゴ・デトックス 特設ページができました

Member's Twitter


  • カリーナのBILOGはこちら!「ともに生きる。

  • ZOOMでプライベートレッスン、リモート英会話AQUA
  • BLOG版 ウチの失語くん
  • 植松 眞人さんの本がでました♪「いまからでも楽しい数学―先生と数学嫌いの生徒、35年後の補習授業」
  • 「出前チチカカ湖」連載中 まゆぽさんの会社「シリトリア」

Page up