オンライン会議で叱られる人
カフェで大きな声で電話をしている人をたまに見かけるが、僕には無理だ。だって、誰かが隣の席で電話してたら鬱陶しいんだもん。人がやってて鬱陶しいのに自分がやれるわけがない。あと、最近はZOOMなんかのオンライン会議を平気でやっている人もいる。あれもわけがわからない。ちょっと仕事の合間に「本でも読もう」と思ってカフェに入ったのに、隣の席でオンライン会議を始められると、突然自分もそこに参加させられたような気分になってしまう。
というわけで、本日も突然、隣の席に歳の頃なら三十代の半ばというスーツ姿の会社員風のおにいさんがいらっしゃいまして、オンライン会議が始まっております。で、このおにいさんがどうやら叱られている様子で、オンライン会議だというのにわりと黙ったままで時々「はい、そうですね」「いえ、違います」「はい、申し訳ありません」くらいしか話さない。で、数分に一度くらいの割合で「本当に申し訳ありませんでした」とちょっと気合いの入ったトーンで言う。
なんだか、僕まで叱られている気分で、『そんで君はいったい何をしでかしたんだ」と聞きたくて仕方がない。なんなら「私がしでかした○○と○○の件は…」と自ら説明してほしいくらいのもんなのだが、そこまでは話さない。う〜ん、もどかしい。
それにしても、こうやって人前で叱られる姿をさらしていることについて、このおにいさんはどう思っているのだろうか。まあ、君はいいよ、叱られているんだから。でも、その叱られている姿を見せられているこっちはなかなかに居心地が悪いんだよ。ホンマのとこ。
でも、オンライン会議じゃなくても電話で大声でくだらない話を周囲に聞かせる人も増えているし。家の中と外、プライベートとパブリックという区別があんまり無くなってきたのかもしれない。まあ、家の中にいてもSNSでつながって、眠っている家族の隣で赤の他人に人生相談ができる時代だから。それはそれで救われることもあるだろうし、犯罪まがいのことに足を取られることもあるだろうとは思う。一概に否定できないのももどかしい。
ま、どちらにしてもオンライン会議でまで叱られないように頑張れよ、と隣のおにいさんにそっとエールを送る僕なのであった。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。現在はコピーライターと大阪ビジュアルアーツ専門学校の講師をしています。東京と大阪を行ったり来たりする生活を楽しんでいます。