ゴダールが死んだ。
91歳でゴダールが死んだ。ジャン=リュック・ゴダールがいなくなった。もう、91歳なんだし、大往生なんだと自分に言い聞かせて数日経ったけれど、やっぱりゴダールがいなくなったという衝撃は去ってくれない。
88歳で発表した『イメージの本』が遺作になった。この作品は、古今東西の映画やニュース映像がコラージュされた作品だったが、かなり刺激的な作品だった。ゴダールは90歳を目前にしても現役だということにも勇気づけられたし、正直、こんな感じのコラージュ作品なら100歳まで作品を発表できるじゃないかとも思っていたので、91歳の死はそれなりに衝撃だった。
そういえば、『イメージの本』のカンヌでの記者会見で、「これからも私たちのために映画を撮り続けますか?」という問いに「ウイ」と答えていたじゃないか。と、別に約束したわけじゃないのに悔しさもこみ上げてくる。
しかし、死因はいくつかの病気が重なった故の絶望感だと言うし、合法的な自殺幇助を選んだというのもゴダールらしいと言えばゴダールらしい。
でも、僕は編集しながら、「おお、いいつなぎだ」と顔をほころばせ、「ちょっと、その前のカットを入れ替えてみようか」とキーボードを叩きつつ意識を失ってそのまま昇天するというゴダールの最期をイメージしていたのだ。
いや、そんなのはこっちの勝手な想像なので、それを天下のゴダールに押しつけるなんて間違っているのだけれど、それでもやっぱり、ゴダールには最後の最後まで映画にまみれていてほしかった。なにしろ、彼は映画に選ばれし者なんだから。自分でそう言ってたんだから。
ジャン=リュック、RIP
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。現在はコピーライターと大阪ビジュアルアーツ専門学校の講師をしています。東京と大阪を行ったり来たりする生活を楽しんでいます。