いいような、怖いような。「疲れたから、俺んちまで乗せて」の人。
こんにちは、カリーナです。
小雨の降る金曜夕方、スーと散歩していると坂道の上のほうでガードレールにもたれ、たたずんでいる男性がいます。傘もささず、一人。
坂道の途中で止まるのは、よくあることのようで、そんなに多くありません。
坂道ヘビーユーザーのわたくし調査によると、わたしと同じく散歩する犬につきあってじっと待っている場合。高齢の人が疲れて一休みする場合。もう一つは、すぐ近くの学校の生徒や保護者が友だちやわが子を待つ場合。だいたい、それぐらいなのです。
何度も何度も、この坂を上ったり下りたりして導き出したのが上記の3パターン。どうして、こんなことを気にするのかというと、スーは「いつもと違う事象」を警戒して挙動不審になるから。普段は誰もいない公園のベンチに全身黒装束の人が座っているとか、向かい側から全身紫のロングドレスを着た女性が来るとか。警戒してむやみに近づいたりすると怖がらせてしまうので、あらかじめ少し先の様子を観察するクセがついているのです。
さて、坂道です。あの人は3つのパターンのうちのどれだろう。犬は連れていません。疲れたか、体調が悪いのだろうか。
…なんて思っていると男性が、不意に歩きだしました。スタスタと、軽快に。体調が悪いわけではなさそうです。パターン2、消えた。
さらにもう少しすると、その人はもう一度立ち止まって、ガードレールから身を乗り出して坂の下をのぞくようにしています。誰かを探しているみたい。やっぱり、待っているんだ。パターン3だ。
と。
次の瞬間、近づく車に向かって手を挙げたのです。タクシーを止めるみたいに。至極当たり前の行動ですが、当たり前じゃなかったのは、その車がタクシーじゃなかったこと。普通の乗用車。ああ、そうか、そうか。知り合いがピックアップしてくれるのか。
と思ったら、車は少し減速したものの、行ってしまいました。
そして、再び、次の車に手を挙げる。
ヒッチハイク?
なんとまあ、カジュアルなヒッチハイク。
男性は手ぶら、きわめて軽装。「ちょっとそこの俺んちまで乗せて」かな。
残念ながら、次の車も少し減速したものの、そのまま通りすぎました。都市近郊の住宅地では、難しいよね。
そこであきらめたのか、もしくは、乗りたい車種があるのか、もう、手を挙げるのはやめて公園へと消えていきました。もしかして、「俺んち」、その公園の向こうのマンション?
もし、こんなカジュアルで気軽なヒッチハイクが常識になったら、「ちょっとそこまで乗せて。俺、疲れたから」が可能になるのか。ライドシェアの一歩先行く、カジュアルヒッチハイク。おもしろいような、困るような、怖いような。なんか不思議な気がしました。
今日はそれだけ。ひょいと見知らぬ車に手を挙げられる人って、どこか無敵な感じがする。オバフォーは、今週もコツコツと更新します。時間のあるときに遊びにきてくださーい。