◆◇やっかみかもしれませんが…◆◇ 第74回 ダイアンの津田さん考
ミカスさんとカリーナさんと雑談していて、最近のダイアンの津田さんの活躍ぶり、ヤバくない!?(←ヤバいの使い方!)という話になった。
かなり以前からダイアンびいきで、現在7歳の愛犬の名前もあの「ゴイゴイスー!」が出典だというカリーナさんは、現在の津田さんのあまりの無双状態に、最近は「スー」というなまえの由来が恥ずかしくて言いづらいと言っていた。重ねて、ダイアンの漫才が好きで、ラジオも好きで、東京に進出してからも応援してたけど、津田さんは緊張しぃだから最初の頃はハズしてばかりで心配していたのに、まさかこんなになるとは思わへんかったっ!と、まるで津田さんの親戚のネエちゃんのような口調。しまいには、ユーキャン、大丈夫かな?とコンビ間の格差まで慮るほどである。
わたしも、爆笑オンエアバトル育ちなので(←芸人のネタ番組のおもしろさに開眼したという意味で)、わりと初期からダイアンの漫才を見てきた。M-1の決勝で思うような破壊力を出せずに敗退する姿を目にしたときは「あー、ダイアンはすっごく面白いのに!」とじりじりしたクチだから、現在の活躍はうれしい。うれしいが、最近の津田ブームがあまりにすごいので、一歩引いてダイアンを見てしまう。そして、東京進出前の【アメトーーク!】の「マイナー部活芸人」で、部活での輝かしい実績(確か県で優勝したと言ってた)を引っさげ、爪痕を残す気満々で登場し、フェンシングの実演までしたのに、あまり笑いにはつながらず、明らかに混乱と焦りを見せていたときの津田っちがやけになつかしい。
現在のブームがあの頃の「不発弾頭 津田」をバックボーンにしているのは多くが知るところだ。気合を入れて登場→空回りしてウケない→慌てる焦る→なおさらうまく行かない→苦しまぎれに逆ギレして大声を出す というのを見ている側がほぼ知っているからこその最近の津田ブーム。ブームになると、ネガティブな展開や表情が丸ごと愛される要素として加点されるようになるのだなあと驚くばかりだ。
で、それを踏まえて、津田さん自身は今の自分のブームについて戸惑っているんじゃないか、不安じゃないのかと、親戚のネエちゃんの友達的なエリアで思ってしまうわけである。そりゃもう、まぎれもなく老婆心で言ってる。そしてできれば言いたい。このままガンガン行きなよと。なんなら背中をバシバシ叩きたい。すごい嫌がられるだろうけど。
いろいろなことが奇跡的にうまく行くという事態が、期間や程度の差こそあれ、人にはまれにあるように思う。うまく行くという言い方がアレなら、妙に体調がいい、というのでもいい。歩く道々の信号が全部青だとか、めんどくさい説明がよどみなくできたとか、相手の要望に見合った結果がすぐに出せたとか、なぜか今日は咳が出ない、足が軽くて思いのほか歩けたとか、まあ、そういうこと。それが一定期間続くとき。
続くとちょっと調子に乗りたくなる。でも「禍福は糾える縄の如し」ということわざに思いあたる。この意味は、禍があってもそればかりってことはない、福もあるからやさぐれずにやって行こう、が主流かもしれないが、ってことはですよ、福があっても調子に乗るな、そのうち禍があるぞ、との表裏一体なわけで、ラッキーなことが重なれば、わたしのような小心者は「こんなことがいつまでも続くわけはない」と、つい、履いてもいない褌の紐を引き締めたくなるのである。
でも、それってどうなんだろう。うまくいっているときは調子に乗って、たとえ後日、多少なりとも足元をすくわれることになっても、金銭と健康に被害が及ばないレベルなら、そのまま乗ってもいいんじゃないか。スピードを出せるのに、常にブレーキに手を置いている人生ばかりやっていると、自分が思ってもみない場所(たとえ脳内でも)に自分を連れて行くことはできないかもしれない。
だから津田さんも、ブームの持つエネルギーを活かしておもいっきりジャンプすればいいんだ。とんでもない場所に着地できるかもしれない。たとえジャンプにしくじっても、津田さんには、番組の収録中にトイレに行きたくなったとき、嫌がらずに代わりにそれをMCに言ってくれる頼もしい相方がいるじゃん、とか思っています。ミカスさんのおすすめで見たIKKOさんとの韓国旅で最後に津田さんは「自分は変わらない。変われないんですよ」と言っていたけれど、それはあのときのあの状況の自分だから言ったこと、だ。どんどん変われ。変わっても、あの独特のうろたえ顔と可愛げがあれば、カリーナさんは変わらずに応援してくれてると思うよ。たぶん、だけどね。
by月亭つまみ