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<いろんな言葉>人間、死ぬときまでは生きなきゃなんないんですから
「人間、死ぬときまでは生きなきゃなんないんですから」
映画『洲崎パラダイス赤信号』
橋の欄干にもたれる男と女。
所持金は合わせて60円。
女がイライラと「あんた、どっかひとつぐらいアテないの」
男はいじいじと「俺なんか、どうなったっていいんだ。死んじまえばいいんだよ」
「二言めには死ぬ死ぬって。人間、死ぬときまでは生きなきゃなんないんですから」
「うるさいな、行きたいならいっちまえ」
「そう、じゃあ」
女は勢いよく駆け出していくのであります。
甲斐性なし男との浮草のような暮らしだけれど
とにかく生きなきゃなんないのだ。
女は26歳の新珠三千代、キビキビして色っぽい。
やがて飲み屋の住み込みで働き始め
男との腐れ縁も続きます。
川島雄三監督は進行性筋萎縮症に冒されながら
ひたすら隠して51本の映画を撮り、45歳でこの世を去りました。
それを知ると、この台詞の生命力がさらに胸に迫るのです。
by Comet