<今月の質問>遺族年金の非課税について教えてください。
<今月の質問>
遺族年金の非課税について教えてください。
にゃまの先生、こんにちは。カリーナです。
私は、今、63歳。3年前に夫が亡くなり、遺族厚生年金を受け取っています。65歳になると私の国民年金に夫の遺族年金のうちの報酬比例分がつくことになると、どこかで読みました。(ぶっちゃけ書きますが、両方合わせて10万円未満です)
で、そのとき、現状の遺族年金は非課税ですが、私の国民年金は課税されると思うので夫の遺族年金分だけが非課税になるのでしょうか?
にゃまの先生 カリーナさん、ご質問、ありがとうございます。遺族年金はザックリいうと、報酬比例分の4分の3と中高齢寡婦加算(65歳未満の遺族基礎年金のない人)の合計です。
そしてカリーナさんが65歳になると、老齢基礎年金とご自分の厚生年金(会社勤めがあれば)が受け取れます。
年金は1制度1年金(基礎年金、厚生年金それぞれ)なので
A 老齢基礎年金+老齢厚生年金①
B 老齢基礎年金+遺族厚生年金②
のどちらかになります。
ただ救済措置として自分の厚生年金がある場合は、まず原則の自分のAの年金を受給した上で、②が①より多ければ差額分が上乗せされます。
従って、遺族年金分は非課税※なので、Aの金額に税金がかかります。65歳以上は110万円の年金控除があるのでそれを超すと所得税、住民税がかかります。たぶんその金額なら税金はかからないかと思います。
※年金は基本的に雑所得で税金がかかりますが、年金控除が65歳以上の場合110万円あります。障害年金と遺族年金は非課税です。
カリーナ なるほど。自分の「基礎年金と厚生年金」がある場合、遺族厚生年金を受け取ることはできないけれども、自分の厚生年金より遺族厚生年金が多い場合は、その差額分が上乗せされるんですね!知らなかった。…って、私は「国民年金しか払ってこなかった族」なので関係なかったー(笑)。ということは、私の場合は、B一択です。65歳以上は、110万円の年金控除があるんですか。なるほど、なるほど。
にゃまの いえいえ、どちらかを選ぶという事でなく、厚生年金を受け取れる人(受給権のある人は)まず原則のAを全額受給し、その上で遺族年金が多い場合はその差額が別途「遺族年金」として上乗せ支給されます。上乗せ分は非課税です。
<金額が下がっても非課税世帯をめざしたかった>
ゆみる 私も夫を亡くしているので、カリーナさんの遺族年金のお話は、遺族年金受給組として少し調べていました。
カリーナ ゆみるさんとは「カリーナとゆみるの往復書簡~夫亡き日々を生きる」を連載していますが、お金の話はあまりしませんでしたね。お葬式にかかるお金の話はしたけれど…。でも、きっとみなさん、少し気持ちが落ち着いたり、落ち着かなくて混乱したままだったとしても、年金なんかのことは調べると思うんですよね。「一体、自分は今後、どれぐらいの生活費があるんだ!?」と。
ゆみる そうですね。私は学校卒業後ずっと家畜のように働いて厚生年金を収めてしまっているので、年金定期便を見る限り年金選択時は自分の年金を選択せざる負えないと思います。定期便に印刷されている金額は一見多そうに見えるけど何も引かれていない金額だし。本音は金額が下がってもいいから遺族年金を選択したいのですが。遺族年金の部分は無税ですから。そうしてほんの少しだけ働いて非課税世帯をめざしたかった。社会保険料も最低ラインになりますし。
カリーナ なるほどー。うちのお姉ちゃんはシングルですが、周囲のお友だちに比較的裕福で遺族厚生年金を受け取っている人が多く、「遺族年金をもらっている人は、非課税だからうらやましい」としばしば言っていました。物知らずの私は、その話を聞いて「いや、それは遺族年金分だけが非課税で、自分の年金は課税されるだろう」と思ってましたが、110万円の年金控除があるから非課税世帯になるんですね。うーん、それは、ゆみるさんやうちのお姉ちゃんが感じる不公平感がわかるなあ。
<介護施設入所やショートステイ利用の金額にも関係してくる>
ミカス 出た、非課税世帯 ! 非課税世帯になるか否かは、単に税金がかかる・かからないだけではなく、介護施設に入所する場合やショートステイを利用する際の費用負担軽減にも関係してきますよね。我が家は今まさにそれでやきもきしているところなんです。万が一母が遺族厚生年金を受ける立場になった場合のためにも、年金についてちゃんと勉強しなきゃダメですね。恥ずかしながら、私、年金のみならずお金についての知識が無さすぎます。
ゆみる お金の知識って、実際に必要な立場に近づいたりなったりしないと興味もわきづらいし気付きにくいんですよね。年金や税制度なんてわざと難しくし、わかりにくくているんじゃないかと疑うくらい。義務教育が中学までなのだから中学生でもわかるくらい、やさしく説明されるべきだと思っています。あと驚いたのが居住区の区民成年後見人の養成講座を去年受講したのですが、非課税世帯だと自治体から受けられるサービスの値段がもう全然違うんですよ。
にゃまの 非課税世帯は住民税非課税世帯(均等割、所得割ともになし)のことで、年金生活になってから大事な鍵となります。ひとつは社会保険料(国民健康保険、介護保険料)が格段に安くなる事。ミカスさんも言っているとおり、介護関係の費用や各種優遇政策(給付金など)も非課税世帯か否かで大きく違います。ちなみに住民税は所得税と計算方法が違うので、年金だけが収入の場合、年金控除110万円と所得控除45万円、合計155万円を超さなければ非課税世帯になります。いま与野党で「103万円の壁」の攻防とかいってやり合っていますが、住民税の所得控除に手をつけなきゃ意味ないと思います。
<フリーランスは、非課税にこだわらず働いたほうが健康的>
カリーナ 質問にも書いたように私は年金額が少ないので、「年金5万円で暮らす」みたいなカリスマ節約年金受給者になるか、できるだけ長く仕事で収入を得るかしかないと思うのですが、年金をもらいながら仕事で収入を得る場合、頭に入れておいたほうがいい金額の制限とかありますか?
ミカス それは私も知りたいです!
にゃまの フリーランスの働き方ですが、あまり非課税にこだわらないで稼げるうちはどんどん仕事した方が精神的には健康だと私は思います。
ただし、経費の増額、青色申告(65万円控除)、イデコ(全額所得控除)、小規模企業共済の退職金(全額所得控除)など所得を減らす方法がいろいろあるので、面倒でも活用しない手はありませんよ。
税金のキモは「控除」と「特例」で、これがコロコロ変わるので困るのです。
私も勘違いや間違っていることがあるので、個別具体的なことは関係各所に直接聞いて欲しいと思います。
カリーナ にゃまの先生、ありがとうございます!次回はゆみるさんの不安から始まる、これまた切実かつ誰しも興味津々な問題です。
★いかがだったでしょうか。みなさんからのご質問、待ってます!この機会に尋ねないなんて選択肢はない!(笑)
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★講師 ファイナンシャルプランナー 長野 郁子さんI
現代ビジネスでは記事を連載中。どれも面白いです。
【PROFILE】
1956年 静岡県生まれ。会社員、自営業を経て化粧品通販会社で経理・総務を担当し、取締役をつとめる。2008年に退社しFP資格の勉強始め、2010年 CFP®認定者と1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得。「お金塾.jp」を開設し、現在FPとして活動。ほぼ同時期に区立保育園の非常勤職員(保育補助)になり、2022年退職するまで11年間、0歳児と1歳児のお世話をした。今は区の子育て支援員(ファミリーサポート)をしている。また老後の楽しみとしてボードゲーム「オンリーワン同好会」の運営委員を夫婦してやっている。
著書に「老後の住まい:老後の自立は小さな家から」(Kindle版)がある。新刊出ました!年を取ったら狭い家: 66歳FPの老後住み替え体験記 (こちらから、記事の一部を読むことができます)新刊についてのカリーナの記事はこちらです。
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