<今月の質問>質問というより不安…子どものいないおひとり様の資産管理
<今月の質問>
子どものいないおひとり様の資産管理について相談させてください。
こんにちは、にゃまの先生。私は、自分が加齢だけでなく事故や脳血管疾患等で認知能力が低下してしまい、自分の資産を管理できなくなった場合、どうしたらいいのだろうと不安です。
私は子どもができないかもしれないと感じた30代から、老後のために経済的な準備を始めました。けれど多少のお金があったとしてもそれを管理できなくなったら?もし夫が生きていて私が先に死んでしまえば考えなくて良かったのですが、もうそのカードもなくなってしまいました。
お恥ずかしい話ですが、実の妹とは子どものころから性格的に合わず、義妹のほうが地理的にも気持ち的にもずっと距離が近いのです。しかし義妹も子どもがおらず体調面でも不安があります。
そういう訳で成年後見人制度を知るためというのも理由の一つとして、区民成年後見人の養成講座にも参加しました。そこで改めて実感したのは私の場合、やはり将来的には弁護士、司法書士などの士業と契約する必要がありそうということでした。
しかし、養成講座に講師として来ていたそれらの士業の方たちの中でさえビジネスを感じてしまう方がいたのです。私の猜疑心が強いだけかもしれませんが。
ある意味、士業の方たちにとって成年後見人は真面目に仕事をしなければ、かなり美味しい仕事です。そして被後見人の資産が多ければ多いほど報酬も多くなる。
ニュースでも被後見人の財産を着服していた弁護士が報道されたりしますが、だからといって、その弁護士の免許がはく奪されるわけでもない。
これは子どもができなくて姉妹仲の良くない私に対する罰なのだろうかと、ときどき、考えることがあります。
今は3匹の猫たちのためにもとりあえず公正証書遺言を作らなくてはと思っています。というか今年の1番の目標です。
ゆみる
にゃまの先生 ゆみるさん、ありがとうございます。ご質問ではないので、私も回答ではなく、なんとなくの意見を書きますね。
<そもそも、子どもは頼れるのか>
私は息子が1人います。だから答えにくいのですが、自分のことを考えても、FP相談の経験からいっても、子どもはあまり当てになりません。
ひとつは親の資産を管理できる子どもの条件が厳しいからです。
まず親子関係が良好であること。子ども世帯がお金に困っていないこと。管理能力があること。あまりに遠いところに住んでいないこと。子世帯が問題をかかえていないことなど。
関係がよくない人に世話は頼めませんし、お金のない人の目の前に大金を置くのはよくありません。また余りにお金のことに疎い人も無理。そして距離が遠いと、じじょうくみ子さんのコラムにもあった「カルフォルニアから来た娘」になってしまいます。問題を抱えていたらそれどころではありませんし……。
だから子どもがいても頼めない人が多いし、逆に相続では利害が対立します。結局、子どもがいてもいなくても自分が管理できなければ他人に頼むしかないと思います。
<兄弟姉妹と仲が悪い場合は?>
兄弟と仲が悪いのもよくあることです。
好きじゃない人にものを頼むのはイヤなもの。あまりこだわらない方がいいです。むしろ姉妹から「何で私(もしくは私の子ども)に頼まない?」 「どうせあなたの財産は私(もしくは私の子ども)のものでしょ!」と言ってくるかもしれません。
その意味で、遺言は早く作った方がいいと思います。
<もう少ししたら、終活・資産管理の制度も整う?>
猜疑心が強いのはことお金に関しては、よいことだと思います。士業でも事件が起こるし、大手銀行、信託銀行や保険会社も問題ありで、とうとう貸金庫まで開けられてしまいました。
他人に頼むにしても、今は玉石混交状態なのですが、もう少ししたら終活・資産管理も介護保険のように制度が整い、地域包括センターが窓口になるでしょうし、いろんなサービスも生まれます。
後見制度はひとつの方法だとは思います。ただ私の親のときに検討しましたが、あまりの使い勝手の悪さで断念しました。士業に頼むと月額3~5万円ぐらい。年金生活ではきついですね。
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★講師 ファイナンシャルプランナー 長野 郁子さんI
現代ビジネスでは記事を連載中。どれも面白いです。
【PROFILE】
1956年 静岡県生まれ。会社員、自営業を経て化粧品通販会社で経理・総務を担当し、取締役をつとめる。2008年に退社しFP資格の勉強始め、2010年 CFP®認定者と1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得。「お金塾.jp」を開設し、現在FPとして活動。ほぼ同時期に区立保育園の非常勤職員(保育補助)になり、2022年退職するまで11年間、0歳児と1歳児のお世話をした。今は区の子育て支援員(ファミリーサポート)をしている。また老後の楽しみとしてボードゲーム「オンリーワン同好会」の運営委員を夫婦してやっている。
著書に「老後の住まい:老後の自立は小さな家から」(Kindle版)がある。新刊出ました!年を取ったら狭い家: 66歳FPの老後住み替え体験記 (こちらから、記事の一部を読むことができます)新刊についてのカリーナの記事はこちらです。
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