Posted on 2026年3月2日 by カリーナ
「保身のために隠ぺいに加担する」と「危険を知っても身を賭して働く」のあいだ。
こんにちは、カリーナです。
昨日の日曜は、いいお天気で、すっかり春でした。暖かくなるとスーの歩調はゆっくりなり、散歩も少しのんびりしたものになります。このところ調子の悪かった柴犬のはるちゃんも、元気そうです。きっと犬も年をとると寒さが堪えるのでしょう。春を喜んでいるみたいにイソイソと歩いていました。
この週末、ひとりで部屋にいると本当に静かで、何ごともなく穏やかです。
でも、パキスタンとアフガニスタンは再び衝突し、アメリカとイスラエルがイランを攻撃し、ハネメイ師が殺害されました。
わたしは、先週、U-NEXTで2019年HBO&Sky UK制作のドラマ「チェルノブイリ」を見ていました。エミー賞を数々受賞した人気ドラマで、チェルノブイリを一気に観光地化したともいわれています。高い評価は耳にしていて、いつか見たいと思っていたのです。
地獄のような映像はしかし美しく、緊迫した内容は面白く、そして終始見るのがつらかったです。毎回、スタートボタンを押すときに「フー」と大きく息を吐いて、意を決して再生し、見続けました。
ペレストロイカ直前のソヴィエト。誰もが連邦政府に忠誠を誓わなければならず、保身のための隠ぺいが細部まで巣くっています。(わたしもそうすると思います。解雇されたり、逮捕されたりするわけですから)。しかし、原発事故後、消防士も原発の技術者も炭鉱夫も、動員された幾多の若者たちも、みな、粛々とつらく危険な任務に命を賭けて臨みます。
事故直後の消防士は事態を理解できる状態になかったでしょうが、その後、動員された人たちは明らかに危険性を理解していたでしょう。しかし、「数日後に必ず死ぬ」と言われるような任務にすら、挙手して臨む人も現れる(原発の職員です)。
わたしみたいな戦争を知らず、福島すら訪れたことのない人間が言うのもおこがましい気がしますが、
この「保身のために隠ぺいに加担する」ことと「危険を知っても身を賭して働く」ことの相反する性質がわたしたちのなかにはある。この二つが共存しているのが、人間なのだとつくづく思わされたのです。
どちらにも、抗いがたい「強制」が働いているのですが、その両方の性質は、きっぱり分かれているわけではない。状況に応じて現れ、葛藤しながら自らが選んでいく。そのどちらにも、ところどころに覚悟や使命感や優しさや忍耐や愛情や…あらゆる人間的な、美徳といってよいものが散りばめられているのです。
チェルノブイリ原発のあったプリピャチでは、全員が避難したあと、犬や猫などのペットが残されます(動物好きには耐えがたい場面です)。全頭銃殺を命じられた男たちは、集合住宅の一軒一軒を回り、犬や猫を殺していかなければなりません。ある一軒には、母犬と数匹の子犬がいました。
「誕生」したばかりの命を前に銃を打てず立ち尽くす若い男、それを見て「自分がやるから外に出ておけ」と命じる年かさの男。若い男が建物を出て歩き出すと、しばらくして響く何発もの銃声。
「弾をはずしたらすぐにもう一発打て。絶対に(動物を」苦しませるな」と、この年かさの男性は最初に言っていました。休憩中、何気ない口調で「アフガニスタンで初めて人を殺した。もう、自分は終わったと思ったが、翌朝の自分は自分のままだった。どちらの自分も、はじめから自分のなかにいたんだ」というようなことを語っていました。兵士たちは、こうやって、平和時なら見る必要のなかった自分の中の闇を見なければならない。退役後、多くの人が苦しむ理由がわかります。
悲惨な事故現場で、戦場で、逃れられない極限のなかで、「優しさ」の線引きは変わっていく。より残酷なほうを引き受けて、残酷さを自らが背負ってやるという「優しさ」に。その「優しさ」が重なる戦場の残虐さの中で、人々はあの母犬と子犬のようにあっけなく殺されていくのです。
ドラマ「チェルノブイリ」を見て、福島原発事故後の現場に遅ればせながら思いを馳せました。そう、遅ればせながら、です。わたしは、ちゃんと考えただろうか。収束に向けて、現場で働いた人たち。さまざまな決断をした人たち。避難を余儀なくされた人たち。それぞれのディテール、それぞれの真実。それぞれの人生。それぞれの慟哭。
喉元過ぎれば…だったなあと改めて思います。いつだってわたしが気づくのは遅いのだけど、遅いなりに考えていこうと思います。
チェルノブイリ原発(現在のウクライナ)の外部シェルターが、おそらくロシアによる攻撃で破損し、放射能漏れを防げなくなっているとIAEA(国際原子力機関)が発表していました。昨年12月のことです。
綿密な取材に基づくドキュメンタリー。読んでみます。
読みました。「チェルノブイリ」を知ろうと思ったきっかけでもあります。
オバフォーは今週もコツコツと更新します。時間のあるときに遊びに来てください。














































































