「楽しい」「好き」を全身で表現する人は、シミもシワも薄毛も気にならない。
昨日は、夫とクラーナハ展に行き、美術館のレストランでお昼ごはんを食べました。
そのレストランでは、おばあちゃんから若い女性まで、さまざまな年齢の人がきびきびと働いていました。
ちょっと太目のおばさんは、新人さん。20歳以上年下の先輩に「テーブルがちゃんと拭けていない」とサクッと注意され、素直にうなずいていました。どっちもえらい。
一番のおばあちゃんは、いくつぐらいだろう。ずいぶんと高齢に見えました。高見恭子似のお顔でノーメイク。かなり薄くなった髪を後ろで束ね、黒いパンツスーツを着ています。他の人たちは、ワンピースに白いエプロンなので、いちばん、偉い人なのかもしれません。
滑舌のいい上品な東京弁で、小気味よく、にこやか。背中を少し折るようにして顔を近づける接客がやや儀式的でもあり、客を大事にしつつも、おもねらない雰囲気を醸し出しています。接客歴戦のツワモノと見た。
「あのおばあさん、かっこいいな」と夫が目で追いながら言いました。レストランを出てからも夫は、「おばあさんが、よかった」ともう一度言ったので、よほど印象に残ったのでしょう。年齢の高い女性がほめられると、不思議にうれしい気持ちになります。
「どこが、かっこよかったのかな」と、つらつら考えました。
まずは、やっぱり話し方です。瀬戸内寂聴さん、「人生フルーツ」の津端英子さんに連なる耳に心地よい声と小気味よい滑舌。これが、脳の回転の速さと感受性のみずみずしさを示し、「お年寄りだけど大丈夫かな」という不安を払しょくしてくれます。2番目は、姿勢と動作。姿勢のよさと動作の機敏さに比べれば、顔のシワやシミ、薄毛なんてどうでもいいですね。ちゃんとしているのにスッピンというのが逆に若々しく見えました。3番目は、「仕事を好きな感じ」がだれよりも強くにじみ出ていることです。
わたしも仕事の現場に行くと、最年長のことが増えました。こんなに「大好きな感じ」が出ているだろうか。「おばちゃんですみません」とか、「いいのかな、こんなババアで」なんて遠慮と弁解と疎外感と孤独感が混然一体となった気持ちをにじませるのは、金輪際、やめようと思いました。いや、これまでも、にじませてこなかったつもりですが、もっと積極的かつ意識的に「年齢エクスキューズ」とは縁を切ろうと思います。
年齢が高くなればなるほど「好きだから、ここにいる」「楽しくて仕方ない」という「好きさ」「楽しさ」が表に出ているほうが素敵に見える。実は、多くの屈託を抱えて、自分の身の置き所に悩んでいる若者に勇気を与えることもできる。
遠慮なく、「大好き」を表現する。
★今日は、KEIKOさんの「デコボコな日常」が公開されています。視覚障害のある人の暮らしについて知らなかったことをフランクにサクッと書いてくださっています。→時は金なり?
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アメちゃん
あー、この方。覚えてます。
私もクラーナハ展を観たあと、こちらで昼食をとったんですけど
優しい対応ながら、かといって気さくすぎずキビキビとした接客が
印象に残っていました。
高齢の方だなと感じましたが
「おばあさん」の印象は全くなかったです。
きっと、現役で接客しているという意識が外に現れてるんでしょうね。
私は、ここでカレーライスを頂きましたが(おいしかったよ)
お店の雰囲気と接客の心地よさも加わって
とても良い気分で過ごせましたよ。
この美術館へ行く楽しみが増えました。
saki
「好きだからここにいる」が素敵に見える。
おおお!まさしく私がこちらの皆様に同じこと思っています!!
35です。4年前の創刊時から拝見しています。
30過ぎて、もう若くない、40代に明るさを感じない…と惑っていた時に、こちらに辿り付きました。
カリーナさん含め執筆されている皆さん、すごく楽しそうで…。
40過ぎても変わらない、好きなことしていいんだ!
と、当たり前のことが分かって、すごく勇気を与えられてます!!
こちらのサイトのおかげで、40代以降がとてもたのしみになりました。
あと少しでover40、読みつづけます!
カリーナ Post author
アメちゃんさん
わあ。クラーナハ展、行かれたのですね!
そしてやはり同じ方を覚えてらっしゃいましたか。
うんうん。「おばあちゃん」という感じを与えない方ですよねー。
素敵でした。
私は、シチューセットを食べました。おいしかったです(^◇^)
カリーナ Post author
sakiさん
いただいたコメントがうれしくて
フェイスブックでも「こんなコメントをもらった、うれしい」と
書いてしまいました!!(笑)
そんなふうに思っていただけてとても光栄です。
これからもコツコツ更新しますので
おつきあいくださいね。
sakiさんがover40になるときには、
わたしは、over60になっちゃうけど(いやん)
がんばる!