「わたしの今の姿をよく見てください。これでいいんですか」と言ったジュリー、かっこよ。
こんにちは、カリーナです。
U-NEXTで映画「土を喰らう十二ヵ月」を見ました。
ジュリー(沢田研二さん)は、ずっと昔から、「お正月には樽酒を買ってきて夫婦で飲んで、その樽で白菜を漬ける。これがうまい」とよく語っていたので、テレビのスターからライブ中心になってからの日々の生活が、こんなかたちで作品に生きて本当に良かったと思いました。
中江裕司監督が作品について語る映像を見ていたら、こんなふうに語っておられました。
映画プロデューサーの佐々木史朗氏(2022年没)の紹介で沢田さんと会い、その後、(沢田さんから)連絡があって
「僕をオーディションしてくれないか」と。
「オーディションされるのはきっとこっちだよね」と思っていたら、そうじゃなくて実際に行ってみると、沢田さんは眼鏡をはずされて
「わたしの今の姿をよく見てください。昔の沢田研二を期待して来られていると思いますけど、今のわたしは、こんな姿です。これでいいんですか」と。
「ぜひお願いします」と言うと「この今の姿を画面にさらしたいと思ってます」と。すごい覚悟だな。そしてこんなに誠実なんだと驚いて。ぜひやっていただきたいと思いました。
なに、この胸を打つ、震えるほど誠実なエピソード。
料理を担当した土井善晴氏と中江監督とのやりとりも、また、よかったです。。
映画のはじめのほうに出てくる「赤絵の抹茶茶わん」に行きつくまで、土井氏の好きな河井寛次郎の器にしようと京都の記念館で借りて来たら「脚本を読んだら、ちょっと違うと思った」と言われ、それではと骨董屋をまわって井戸茶碗を持っていったら「主人公はお茶人なの?」と問われ…「恋人の女性に温かい飲み物を出す。古民家にそこだけパッと映える赤絵の茶碗」に至るまで、監督も土井氏も妥協がなくてすばらしい。
そして映画のなかに出てくる若竹煮が、映像史上最高においしそうで、ナマズの絵の描かれた大鉢に柔らかそうなたけのこがたっぷりとよそわれ、そこに、そこに山盛りと言っていいぐらいの木の芽!!
わたしはいつもスーパーでパック入り198円で買って、2,3枚を手のひらでパンと叩いてのっけていたから、あの鷹揚で贅沢な木の芽の量にやられてしまいました。
ああやって、たくさん乗っけて食べたい。
北のベランダで山椒を育てようかな。
野菜もスタッフが実際に育て、山とその畑に、その時期にあるもので料理を作ったそうで、料理の場面の撮影は、ほとんど1回だけ。丁寧ながらも勢いよく作ってわっと食べる。その嘘のないリズムもよかった。
料理をする老いた手。男女を問わず、その手は、手の本領発揮という感じがして、たのもしくて美しいと思いました。↓たけのこの場面。ガっとつかんでわっと乗せる木の芽。
今週もオバフォーはコツコツと更新します。時間のあるときに遊びに来てください。待ってまーす。