あれから5年、思えば遠くに来たもので。
みなさま、こんにちは。天気も気分もぐずつく季節、いかがお過ごしでございましょうか。月に一度のひそかな逢瀬、あなたのじじょうくみこでございます。
それにしてもやれロックダウンだロードマップだと、最近はよくわからない横文字が飛び交いますね。こういう言葉ってなんとなくカッコいい風に聞こえますが、結局だれにも何にも説明していないので
「封鎖、警告でいいんじゃなあーい? そうやってアタイのこと煙に巻くつもりなんでしょっ、このっこのっ」
と心のじじょくみアラートがギャンギャン鳴りまくる今日このごろでございます。
そんなわけで、自分くらいはできるだけクリアな言葉でお伝えしたいと思う次第でございますので、ここにご報告いたします。
エーコホン、
わたくし、じじょうくみこ、
結婚5周年を迎えましたー!
ハードボイルドな四十路婚活を経て半世紀におよぶ独女生活に終止符を打ち、ザビ男ことズジョウ・ザビエル氏のヨメとして遠く離れたシマ島に引っ越して丸5年。おそらくみなさまのなかには「あのパーティーからそんなにたったのか、あっという間ねえ」とお思いの方もいらっしゃると思いますが、わたしの素直な気持ちはこうです。
パカッ(←久しぶりに開いた)
長かった! マジで長かった!
まだ5年なんて嘘でしょって感じなんですけど!
結婚したことはいいの、後悔はしてないの、
ただ離島生活が想像を絶する大変さなの、
どこまでいっても曲者とポケモンしか出てこないの、
見た目はのんびりスローライフっぽく見えてるかもしれないけど、
味方と思っていた人が笑いながら背中刺してきたりとかするの、
いっときも油断できないの、毎日が合戦なの満身創痍なのー!!
…パコッ(←閉めた)
…はい、まあそんなわけで、穏やかな島暮らしをするはずが東京よりハードボイルド感が増すっていうまさかの展開ではありますが、わたくし相も変わらずシマ島で生きております。移住して1年くらいたったころから急激に忙しくなってしまったもので、今回はこれまで5年を振り返ってみようかと思います。
この5年のあいだに、大きな変化がいくつかありました。
いちばん大きいニュースは、実家の母とザビパパがこの世を去ったことです。
3年ほど前に「島にいたって、人生はすぎゆく。」の回で少し触れましたが、自宅療養を続けていた母と、本土の病院を転々としていたザビパパは、そのあとゆるやかに弱くなっていき、最後はふたりともあっけなくいってしまいました。
シマ島に引っ越すことで心配だったのは、やっぱり年老いた親のこと。それだけに、ふたりのことについてはいろいろと思うことがありました。そのうち気持ちの整理がついたら、ゆっくりお話しできたらと思っております。
次に、ザビ男の実家に引っ越して、ザビママと3人暮らしが始まったこと。
結婚するときの懸案事項だった「義理の両親との同居」がいよいよ現実となりました。東京で長年ひとりきりで暮らしていたわたしが、ザビ男という他人と暮らしはじめ、見たこともないペットが増え、義姉がパンチある感じで出入りし、島の人が何も言わずに出入りし、ついには90代の義母がワイワイ言いながら入ってきました。
5年かけてゆっくりたどったプロセスなので、特段つらくはなかったように思うのですが、こんなに生き物に囲まれているいまの自分に、ときどき自分でビックリすることがあります。
3つめは、仕事について。
シマ島へ引っ越すにあたって未練があったのは、長年続けていたライターの仕事でした。どうにか島でも続けられる仕事をいくつか持ってきたものの、結果的にいえば5年後のいま、継続している仕事は
でございます(泣)
ただ、かわりに「島民ライター」としての仕事がときどき来るようになり、シマ島内でも依頼が舞いこむようになってきました。収入はわずかですが、こうして仕事ができること、それだけでとてもうれしいです。
逆に大変なのが、島でのバイト。シマ島での初めて働いたスーパーでカマド一族に振り回されたことは以前お伝えしましたが、その後もいくつかの職場を転々としたものの、どこも待っていたのは制御不能なポケモンばかり。この世にこんな常識が通用しない異世界があるものかと、人生について思いをはせる日々。
特にここ数年は事件にまみれてまいりまして、筆が追いつきませんでした。まだまだポケモンスターが登場を待ち構えておりますので、おいおいご紹介したいと思います。
4つめは、シマ島に大切な人ができたこと。
それは、とあるイベントで知り合ったタオちゃんという女性であります。こちらでもちらっと書きましたが、ひとまわり以上年下の女子ながら、初めて会ったときから惹かれるものがあり、イベントのあともしょっちゅう会うようになりました。
もともと音楽家だったこともあるのか、タオちゃんは単なる友だちという枠にはおさまらない、何か特別なつながりのようなものを感じています。仲間のような、同士のような、戦友のような、家族のような。先生のようでいて、子どものような。これまで出会ったどんな人とも違う、わたしにとって人生に欠かせない存在になりつつあります。
島では相変わらず友だちができませんが(チッ)、タオちゃんがいるからどうにかなっているところもあります。そう思うと、出会ってほんとうに不思議。
そして何より大切で、ただひとつ変わっていないのは、ザビ男との関係が(たぶん)良好なまま続いていることです。
長年独身生活を続けてきた四十路独女と五十路男が、遠距離恋愛の末に結婚して離島に住む。われながらよくこんな恐ろしいことをしたよなって思いますし、「ぜったい続かないと思ってた」と友人にもさんざん言われたりもします。
確かに、環境が激変しすぎて心身に変調を来したりもしまして、ラクな道ではありませんでしたが、それでもやっぱりザビさんと家族になれてよかったなーと思っています。
ザビさんは、想像以上に変わったおじさんでした。想像していた夫婦生活ともぜんぜんちがっていました。それでも、そんなザビさんだからわたしを受け入れてくれたんだと思うし、これはこれでひとつの夫婦の形なんだなと、5年たって思えるようになりました。
ものすごーくめんどくさいおじさんではあるけれど、とりあえずザビさんとの毎日は面白い。5年たってもそう思えるので、ヨシじゃないのかなと思っておりますハイ。
おじさんといえば、最近シマ島にもコロナの影響が出てまいりまして、「支払いは現金、書類は紙、連絡は電話」という前時代的な環境だった離島にデジタルの波がやってまいりました。対面での会議がどんどんオンラインに切り替わり、アナログな御大たちもzoomに参加したりするようになってきたわけなんですが、そうするとどうなるかというと、
気づけば熟したオッサンの顔が画面いっぱいにドドーンと
…もうビデオつなぐのやめようかな、と思うくらいのゲンナリ感なわけなのですが、ふと急になつかしい既視感に襲われまして
ああ、そうだったそうだった、ネット婚活してたときも同じだった
と思い出し、いつの世もおじさんという生き物は厄介なのだな、という真実に到達した次第です。
それではまた7月にお会いしましょう。それまでいつもの崖のところでお待ちしています。ごきげんよう、じじょうくみこでした。
text by じじょうくみこ
illustration by カピバラ舎
*「崖のところで待ってます。」は毎月第1土曜日更新です。次回は7月4日の予定です。
*ステイホームがすぎるので、じじょくみnoteはじめました。しばらく毎日更新しておりますので、よろしかったら遊びにきてくださいませり〜 →⭐︎
okosama
じじょうくみこさん、こんにちは!
お母さま、お義父さまのこと、お悔やみ申し上げます。
お気持ちが静まっても、話したくないことはそのままに、お過ごし下さいね。
5年たってもザビさんとの生活は良好とのこと、そのお話を読んだだけで、婚活を見守った甲斐があるというものです。引き続き、三密ならぬ濃密なシマ島生活を見守りたいと思います。
伝説ポケモンの話、よろしく!
じじょうくみこ Post author
>>okosamaさま
こんにちはー。コメントありがとうございます^_^
お気遣いありがとうございます。しみわたります。
引き続き、どうぞよろしくお願いしますう〜〜❤︎