四十路独女じじょうくみこの「崖っぷちほどいい天気」(17) 〜信長が踊ったら、モンスター独男があらわれた。
いきなりですが、みなさま「生涯未婚率」という言葉をご存じでしょうか。
少子高齢化の原因として必ず挙げられる晩婚化・未婚化ですが、「結婚して子供作らないから大変なんだよオイコラ」的な論調の根拠として紹介されるのが、この生涯未婚率です。総務省の国勢調査によって割り出される数値なのですが、先日も「生涯未婚率が男性20%、女性10%を突破した」という話題が報道されておりました。男の5人に1人、女の10人に1人は一生シングルってヤバいぞニッポン、みたいな。
至極ごもっとも、でございます。
でも婚活をして初めてわかったんですよ。生涯未婚率って聞くと、文字通り「一生死ぬまでいっぺんも結婚しない人」だと思うじゃないですか。でも実際は「45〜49歳」「50〜54歳」という2つの年齢層、いわゆるアラフィフ世代の未婚率の平均値をとって「50歳時に結婚してない人の割合」を算出しているんですね。
にんげん〜ごじゅうねんんん〜〜
下天の内を〜く〜ら〜ぶ〜れ〜ぶぁあ〜〜
織田信長かって話!!
こちらは村上弘明版信長。若い。
70歳、80歳生きるのが当たり前のこのご時世で、まさか50歳で生涯未婚率をカウントしているとは。ええ、ええ、もちろん承知しておりますよ。調査の本質は「将来を担う若い世代が結婚して子供を作っているかどうか」の推移を観察するためのものだってことは。それでもやっぱり当事者としては「50で未婚なら一生未婚でしょ?」とレッテル貼られるみたいでイラッとします。
何よりこれ見て「お仲間もいっぱいいるみたいだし、別にいっか」って結婚する気なくすメンズがいそう。いや絶対いるね、まちがいないね。ただでさえイバラの道の四十路婚活に、わざわざ水さすなんてどうしてくれよう総務省。私が結婚できなかったらアンタたちのせいだからねっ! と責任転嫁の魔術師じじょうくみこです。
(ハッ、よく見たら嫁の字が…)
というわけで婚活、であります。
「ネット婚活では早めに会って相手を見極めるのが一般的」という話を以前書きましたが、もうひとつ学んだのが「ネット婚活では同時進行が当たり前」ということです。
婚活は時間がかかるほど費用がかさみますし、特に40歳以降になるとターゲット人口が激減します。「1人つきあってダメならハイ次」なんてのんびりやってるうちに人間五十年〜つって信長みたいにオッ死んだらどうするよ? ノーダンナ・ノーライフ!ノーモア・ノブナガって話なので、四十路婚活はスピードが命。そうなると「この人!」という相手が見つかるまでは、複数の人と同時進行でやりとりするのが効率いいわけです。
ところが「同時進行」つうのがコレまた、性に合わないのですよ。郷に入ればの精神でやってはみるものの、ある人は連絡くれたりくれなかったり、ある人は「すぐ会いましょうや」的なノリだったり、ある人は挨拶程度のメールを毎日送ってきたりと十人十色。相手によってこちらの対応も変えていかなきゃいけないわけで、ちょうど仕事が忙しくなってきた時期だったこともあり「さすがにしんどいなあ」と思い始めた頃のことでした。
ナゴンさんからメッセージが届いたのは。
私が登録している婚活サイトはチャラいカジュアルな雰囲気のせいか、四十路の私でも交際の申し込みが日々それなりに届きます。ただ、交際相手とのやりとりや仕事に忙しすぎて、もっぱら放置の刑。ほとんどのメンズはそれであきらめるのですが、ナゴンさんだけは何度も交際の申し込みをしてくるのです。ナゴンさんは都内在住の2つ年上のサラリーマン。きまじめそうなお人柄が、メッセージから伝わってきました。
疲れていたのか何なのか、今でもよくわかりません。何度もメッセージを送ってくるナゴンさんを放置しておくのがしのびなく、でもこれ以上交際相手を増やす余力もなかった私は、なんとかして「交際はムリ、でもありがとう」の気持ちを伝えたいと思ってしまったのです。だって自分で書いてみるとわかるんですよ。相手にアプローチすメッセージって、ものすごく悩むし、書くのに時間がかかるんです。
そのサイトで相手とコンタクトを取れる唯一の方法は、相手からの交際申し込みメッセージに返事をすることだけでした。ただし私が返事をして、相手が手続きを取ってしまうと、交際が正式に成立して相手側に料金が発生してしまいます。なので心のこもったメッセージへの感謝と、他に相手もいるし仕事も忙しくて交際する気はないので、手続きしてもムダ金になるからしないでねスイマセン、というメッセージをナゴンさんに送ったのです。
今考えれば調子に乗っていたのかも、と思います。ネット上であれ、リアルライフではついぞ経験のない「いろんな男子から交際申し込まれてモテてる感」に舞い上がっていたのかもしれません。なんか長く続けると感覚おかしくなる気がするなあ、ネット婚活って。
そんな婚活サイトから数日後、お知らせメールが届きました。
「ナゴンさんとの交際が成立しました。」
ギャ!!!!
追いかけるように、ナゴンさんからメッセージが届きました。
「あなたがくれたのはOKではなく、おわびのメールだったことはわかっています。なのに、交際の手続きをしてごめんなさい。ただ、あなたのメールを何度も読み返したのですが、すごく疲れているようで心配しています。あなたのために何ができるか、考えました。何日も考えました。
あなたはきっと、社会的に高い立場の女性なんですね。仕事へのプレッシャーも大きいことと思います。そんなあなたのことを、少しでも支えることができたら……そう思いました。どうか、お身体を大切にして仕事がんばってください。つらい時はいつでも僕に言ってください。あなたに見返りは期待しません。僕はただただ、あなたに優しくしたいのです」
HAAAA???
すいません、ビックリしすぎてローマ字になっちゃいました。
仕事が忙しいから交際NG返事をしてきた
↓
NGにするほど忙しいってことは社会的に高い立場の女に決まってる
↓
地位も名誉もお金もあって、愛だけ足りない女が自分に助けを求めている
↓
陰で支えてあげるのが僕の使命♪
ってなんだその妄想!
だいたい上のメッセージ、文字だけ読めばそれなりに感動的ですけども、
実際は 😆 😉 絵文字 😳 😀 だらけですからっ!!
これは面倒な男を引き寄せてしまった、と己の浅はかさを痛感しました。それでもまあネット上のつきあいだし、無視し続ければそのうちあきらめるだろうと思っていたのです。その時は、まだ…。
って長くなっちゃったので続きは次回(すいません)。
By じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎
*「崖っぷちほどいい天気」は毎週土曜日更新です。
バックナンバーはこちら。
はしーば
いあやぁぁぁ
来週まで待つの?待つんですね。
はい、待ちましょう。
魑魅魍魎な世界・・・
これが現在のリアル婚活ライフなんですね。
この5~6年で日本に一体何が??
どうか挫けないでください。
純粋にあなた様の幸せを祈るのみの私です。
あじゃうじゃ
いや~ん…気になる~。
爽子
ナゴンさん、ほんっとうに、勘違いしてますね。
なんか、自分の作り上げたストーリーに爆走してます。続きがこわいけど楽しみ。ごめん
わたしも、勘違いして突っ走ってることあるんじゃないか・・・と、なんだか足元がぐらぐらする不安が。
世の中には怖いひとがいっぱいいますね、くみこさん。
爽子
昨日携帯でコメントいれたようにおもうのですが。重複してたら、ごめんなさい。
自分で、ストーリー作ってはまりこんじゃう人いますよね。
私自身、よくやってる気がします。
勝手に思い込んで爆走。
でも、ナゴンさんみたいな人と「成立」させられちゃうのは、疲れます。
次が待ち遠しくも怖くもあります。
それにつけても、じじょくみさん、とても誠実ですばらしい。
若い時より、一番大切に思ってることは、誠実であること。
「ずる」して、うまくいっても、それがなんぼのもんじゃい!て、思います。ほんと。
サヴァラン
>「結婚して子供作らないから大変なんだよオイコラ」的な論調、
そういうとんでもな言説が蔓延する風潮こそオイコラだ!と
わたしは思います。
>「同時進行」つうのがコレまた、性に合わないのですよ。
激しく共感。
郷がどうあれ、朱が何色であれ、
そんなもん寝覚めが悪いッたらありゃしない。
さてさて、なぞの男、ナゴン氏の正体やいかに。
じじょくみさんにとって寝覚めのいい結末を
次回内容に切望するものであります。
じじょうくみ子 Post author
>>はしーばさま
いつもコメントありがとうございます♪
そして、す、すみませぬ……。
自分で自分のハードルを上げてしまったことに後で気づきました(^^;)
来週がっかりされる顔が目に浮かぶ・・・
たぶん私がおかしいんじゃないかと思うんですよねえ。私のまわりに同世代でネット婚活している人がいないのでわかりませんが、こんな次から次に奇妙な男子が出てくるなんて、聞いたことがありません。類友ってやつだったら人生に絶望してしまいそう(笑)
じじょうくみ子 Post author
>>あじゃうじゃさま
ひっぱっちゃってすいません…(^^;)
そんなひっぱるネタじゃないんですけど…力尽きましたm(_ _)m
来週さくっと完結しますので、もう少々お待ちを!
じじょうくみ子 Post author
>>爽子さま
いつもコメントいただけて嬉しいです♪2回もありがとうございましたm(_ _)m
噂には聞いておりましたが、まさか自分が「社会的に地位の高い女性」と誤解される日が来るとは夢にも思いませんでしたよ。「え?だれ?わたし?通りすがりの派遣ですけど?」ネットって不思議な世界ですねえー。
なかなか性に合わないことをするのはしんどいものですね。でも、性に合わないことをしなさすぎて今こうなってるわけで、モヤモヤしながら活動しております、ハイ。
じじょうくみ子 Post author
>>サヴァランさま
またまたコメントありがとうございます♪
そう言っていただけると嬉しゅうございます(*^_^*)
ナゴンさんは私が婚活中に出会った中で、いちばんキョーレツな男子でありました。といっても、あおるだけあおって大したオチじゃないので、今からゴメンナサイしておきます。。。