カツカレーが食べたいのよ。
ときどき、どうしようもなくカレーが食べたくなる。カレーの匂いをかいだわけでも、目の前にカレー屋さんがあるわけでもないのに、本当に急に、不意に、唐突に、突然に、か、か、カレー、となる時がある。
同じように、け、け、ケンタッキー!ということもある。まあ、こういうのはだいたい味の濃い食べ物だ。僕の場合は。でも、もしかしたら、「ゆ、ゆ、湯葉!」という人もいるのかもしれないけれど、僕はない。「わ、わ、わらび餅!」とか言う人もいるのかもしれない。僕の場合はないけれど。
と、考えると、そうか、これはジャンクな濃い味を食いたいという発作なのか?
で、カツカレーである。これも、時々あるのだ。どのくらいの頻度だろう。月1というほど若くない。年に1回というほど老いてもいない。そうだなあ、3年に2回くらい? なんか中途半端だけど、そのくらい。
僕の場合、いきなり「か、か、カツカレー」とはならない。多くの場合、「か、か、カレー」気分が先で、「よーし、今日の昼はカレーを食べるぞ」と勢い込んで近場のカレー屋さんを探す。で、ドアを開けて、カレーの香りに包まれて、店員さんに「お決まりですか?」と聞かれた瞬間に、「か、か、カレー」の最後の部分が「レー」に行かずに「つ」に行ってしまい、結果「カツカレー」を頼んでしまうのだ。
心の奥底では、もうカレーでいいじゃない、と思っているのだ。カツカレーはちょっとお前の年齢では荷が重いぞ。特に、ここのカツはなかなかの大ぶりで分厚い。脂身もしっかりあって、だからこそ美味しいんだけども、だからこそ後が大変だってことはお前も知ってるだろうが。と、心の声みたいな奴が聞こえてくる。
それなのに、嗚呼それなのに「か、か、か、カツカレー」と注文してしまうのだ。いや、食べたいんだよ。食べたいのさ。だけど、正直、もうカツカレー一人前は多いのさ。多いんだけど、食べたいのね。うん。そうなの。だからって、メンチカツカレーとかさ、コロッケとかさ、違うんだよ。カツカレーはカツカレーじゃなきゃいけないんだよね。じゃあ、ミニサイズとか、カツカレーハーフとかがあれば、それでいいのか、と言われると、どうだろう。いや、あのドカンと目の前に来る感じがいいじゃないだろうか。
ということで、昨日、カツカレーを食べたのである。そして、胸焼けである。まったくもって、僕には学習機能が欠如している。
植松さんのウェブサイトはこちらです。
植松眞人事務所
こちらは映像作品です。
植松さんへのご依頼はこちらからどうぞ→植松眞人事務所
植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。現在はコピーライターと大阪ビジュアルアーツ専門学校の講師をしています。東京と大阪を行ったり来たりする生活を楽しんでいます。