お色気ムンムン、アイシャドウや。

階段で足を踏み外した。実家の二階へ上がろうとしているときに、靴下が滑ってしまった。手にもっていた荷物を降ろせばよかったのに、なぜかそれを持ち上げたまま守ろうとして、顔から階段に落ちて、右の眉毛のあたりを強かに打った。その直後から右の眉のあたりが劇画の主人公のようにググッと盛り上がって、キリリとした顔になった。しかし、そのキリリとした顔も一時間ほどで終わり、痛みが走る。そして、その痛みが緩まると、今度は内出血がまぶたのあたりに集まり、真っ青なアイシャドウを塗ったようになってしまったのだ。
いやもう、格好悪い。誰も傷つけない漫才師のようなメイク顔だ。右だけ。そして、一晩寝ると、そのアイシャドウがよりクッキリとして、まるで歌舞伎役者のように。眼鏡をかけると、少し淵に隠れるのでマシなのだが、それでも人に会うと驚かれる。こっちは、鏡を見る時以外は意識していないので忘れてしまっている。だから、目の前の相手に驚かれると、こっちが驚いている間に驚いてしまうのだ。
そして、今日の朝、お色気ムンムンのアイシャドウは、少し下に降りてきて、目のまわりがうっすらとパンダ状態になっている。眼鏡の淵で隠れない範囲が多くなったことで、より派手に驚かれるようになった。しかし、こちらとしては時間も経っているし、直接打った部分の痛みもほとんどなくなっているので、さらに見る人との落差が激しくなっているのである。
劇画の主人公からお色気ムンムン、さらにパンダへと刻一刻と変わる内出血を気にしつつ、人体の不思議を思い知る今日この頃である。
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植松眞人事務所
植松眞人(うえまつまさと): 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。現在はコピーライターと大阪ビジュアルアーツ専門学校の講師をしています。東京と大阪を行ったり来たりする生活を楽しんでいます。