50代、男のメガネは近視と乱視とお手元用 ~ 新宿シティハーフマラソンをテケテケ走る。 ~
新宿シティハーフマラソンをテケテケ走る。
新宿区に住んでいると、新宿シティハーフマラソンに優先的にエントリーできるんです。地味な大会ですが、昨今のマラソンブームの中、意外にエントリーしにくい大会です。で、僕は新宿に住んでいるので何度か出場したことがあります。いちばん最近では2年前ですね。あ、その頃はまだ40代だったので「シニア」ではなく「一般」という枠での出場でした。
代々木の国立競技場からスタートして、新宿区内の公道を走って、また国立競技場に戻ってくるというシンプルなコース。交通の便もいいし、子ども向けのファンランもあるので、なんというかアットホームないい大会なんです。まあ、たまに「男らしく、必死で走れ!」と怒鳴るお父さんがいて、泣きながら子どもが走ってる、なんていう時代錯誤な一コマもあったりしますが、総じてアットホームです。
ハーフマラソンと言っても、やっぱり最後はヘロヘロになります。そんなときには前を走る女性ランナーをぼんやり眺めると、ちょっと元気になります。最近の女性ランナーは見目麗しいウェアで走ってますよ。ランニング用のスカート、略してランスカをヒラヒラさせながら、颯爽と走る姿を目で追うと、こちらのスピードも自然に上がってまいります。
それでもついて行けないときには、その横で走る、もう少し遅いランナーの後ろを。それも逃げ切られたときには、さらに遅いランナーを見つけて…。とまあ、そんな具合に走って行くわけです。
よくマラソンを走るコツとして「次の電柱まで、次の電柱まで」と目標を小さく持つと走りやすいなんていいますが、見目麗しい女性ランナーの後ろを追うのは、電柱の比じゃなく身体が軽くなります。
で、ランナーは走るときに、ゼッケンをつけているのですが、そこにもちゃんと例の「一般男子」だの「シニア男子」だの書いてあるわけですよ。だから、とても美しい後ろ姿の女性ランナーが「シニア女子」なんて書いてあると、「おお、本当に美しい体型を維持しているなあ」なんて感心して走る。「一般女子」と書いてあると、「おお、さすがに若いだけあって、汗まで宝石のように輝いているじゃないか」なんて思ったりしてさらに速く走る。
とまあ、そんな感じです。ええ、「おっさん、アホちゃうか」と笑ってやってください。自分でも「アホちゃうか」と思っているので、まったくもってこたえません。あ、そうそう。「アホちゃうか」と思われるのも笑われるのもこたえないのですが、ゴール近くで本当にへばりそうになりながら走っているときに、本当にきれいな後ろ姿の女性ランナーがまるで僕の最後のゴールインを牽引するように、すっと目の前に割り込んできたんです。
しばらく、僕はこの女性について走ることにしました。この大会でついて走った女性ランナーの誰よりも美しい体型で、誰よりも力強いフォームで走る女性。息も絶え絶えだった僕は、なんだかその後ろ姿を見ているだけで息を吹き返したのです!
……が、最後の最後、競技場に入る寸前で思いがけず失速してしまいました。
だって、そのランスカをヒラヒラさせている女性ランナーのゼッケンには「一般女子」でも「シニア女子」でもなく、「一般男子」って書いてあったんですから。
ああ、さすが新宿のハーフマラソン!
間もなく、シニアを迎えようとしていたオッサンランナーは「新宿ニューハーフマラソンか」と一人でボケて、一人で突っ込みながら、ヘロヘロとゴールしたのでありました。
植松眞人(うえまつまさと)
1962年生まれ。A型さそり座。
兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。
現在、オフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京神楽坂で暮らしてます。
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
はしーば
はじめまして。こんにちは。
「ニューハーフマラソン」のオチに大爆笑。
殺伐とした午前中のオフィスの雰囲気が、昼休みに読んだ植松さんの記事で
がらっと一変しました。
ありがとうございま~す。
uematsu Post author
はしーばさん、コメントありがとうございます。
なごんでいただけて、なによりです。
しかし、それよりも、殺伐としたオフィスとは、
どの程度、さつばつとしているのか?
ということに、とても興味を持ちました。
また、お知らせください(笑)
みきみき
ナイスです~~ぷぷぷ
都会はいいなぁ~面白い人が盛りだくさんで^^
やっぱり人間が一番面白いですね
光景が目に浮かんで(3D得意なんです~♪)
次のネタも楽しみにしています~~(^^)v
uematsu Post author
やっぱり、人間ですよねえ。
そう思うのは、やっぱり、人間だからですかね。
もしかしたら、ネコはネコで、
「やっぱり、一番面白いのは、ネコだねえ」、
とか、思ってるんですかね?