最強というか、最凶というか。
正月から、ずっとおみくじが絶好調。どこで引いても大吉が出て、悪くても中吉だったりする。ここ数年、人に絡まれたりすることが多く、おみくじを引くのもおっかなびっくりだったので、去年の秋口から年明けにかけて、一人で「絶好調!」と叫びたくなるような日々を送っていたのである。
そんな今日、仕事で日本橋あたりに出かける用事があり、帰りに、そのまま浅草線に乗って浅草寺にやってきたのだ。何しろ、日本有数のパワースポットと言われている浅草寺。かつて、僕が大きな病気をしたとき、家族全員が『凶』を引き当て、僕に病気を教えてくれた浅草寺である。
これは、行かねば。そして、僕の絶好調をさらに確定的にしなければ。ということで、外国人観光客で混み合う境内を右へ左へと人を避けながら小走りに歩き、お参りを済ませたのである。
そして、いよいよである。いよいよおみくじである。
100円を放り込み、くじの入った筒をガチャガチャと振り、小さな穴から、細い棒を一本出す。そこに数字が書いてある。その数字の書いてある引き出しを引き、薄い紙を1枚取り出す…。
『凶!』
な、な、なんですと!
これは何かの間違いです。神様だって、あ、ここはお寺だから仏様か。仏様だって間違いはある。も、もう一回、もう一回やります!ちょっと場所を変えて。ほら、あの日の当たっている明るい、あそこで。ガチャガチャガチャガチャ。ほら!
『凶!』
う、う、嘘だ。いや、仏様を信じていないわけじゃない。で、でも、泣きの一回やらせてください。もう一度だけ。お願いです。お願いですから。や、やりますよ。やっていいですか。あのほら、あの優しそうな外人さんがやってる、あそこで引けばなんか良いことが起こりそうなんです。ね、ガチャガチャガチャガチャ。おお、良い数字だ。この数字の引き出しはここ。そっと引いて、ぱっと見たら、取る前から、見えとる!
『凶!』
はあ、はあ、はあ。
もう、仕方がない。じっくりと読んでみた。すると、「まるで荒れた流れの速い川のほとりに佇む乙女のようだ。助けようがない」と書いてある。
な、なんだって。というわけで、すっかり弱気になった僕はすぐにヨメにLINEをしたのである。3回も凶が出た。パワースポット浅草寺なのに。初詣の時に、出まくった大吉は何だったんだ、と。
すると、ヨメからすぐに返信が来た。
「浅草寺にこだわりすぎや。西日本の神様が怒ってるんや。わしらのことが信用できんのかと」
だからって、「川岸の乙女って」と返すと、またヨメから「あんた、乙女やないか。もう、しょうもないことで、めげて弱気にならんといて。こっちは忙しいねん」と返事が来た。
なるほど、西日本の神様、ごめんなさい。
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植松事務所
植松眞人(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。

















































































