Posted on 2026年3月18日 by uematsu
2026年の言葉の重み。またはAIとの協業。
僕の仕事はコピーライターです。と書いたらなんだか顔が赤くなってきた。英語の教科書かよ、と思うような文章だ。でも本当なんです。僕の仕事はコピーライターです。で、コピーライターとか、ライターとかいう仕事をしている人に聞きたいのだけれど、いまどきAIを使っていない人っているんだろうか、という話。
僕はもう毎日使っているし、なんならAIなしに仕事ができない身体になってしまったのである。おそろしいことじゃ。
僕の場合は、企業のコーポレートサイトやパンフレット、採用サイトのコピーを書いていくという仕事が多い。そういう仕事はまず事前に先方からもらったパンフレットや現在使用しているサイトを見ておくことから始める。
この時、まず最初にAIにサイトのURLを読み込ませ、同時にパンフレットのPDFも添付して「まとめて」もらう。いろいろやり方はあるけれど、慣れてくると嘘も吐かれず、サイトの下層ページにある見逃しそうなところまでしっかりと見て、わかりやすくまとめてくれる。
で、その情報を仕入れてから取材をする。最近の取材はZOOMなどのオンラインが多いので、だいたい代理店のディレクターがそれを録画している。そして、録画したものをAIで文字起こしして、それをさらにAIで議事録としてまとめたものをくれる。つい2年ほど前までは、文字起こしの業者さんに頼んだり、ディレクターが自分で文字起こししていたのに。
僕はディレクターからもらったAIの文字起こしを元に、記事をまとめていく。もう、ここまででどっぷりAIに浸かっているので、「AIなんて」とか言ってると仕事にならない。もう、使えるものは有り難く使わしていただく。僕の場合は、取材のときにメモった「この取材対象者のキモはここだ」と思ったところへ向けて、全体を頭のなかで構成を始める。これがかなり大切。この構成をするかしないかで、AIに操られるか、AIに手伝ってもらうかが決まる気がする。
僕の場合は、誤字脱字もなにも気にせず、とにかく頭からケツまでざっと原稿を書き上げる。ほぼ覚えている情報だけで書く。その後、書いた「粗い原稿」と「議事録」「文字起こし」をもう一度、AIにかけて、「議事録や文字起こしにあって、原稿にない情報を箇条書きにしてくれ」と頼む。つまり、僕が書き漏らしている情報を教えてもらうのだ。すると、AIは丁寧に僕が書いていなかった情報を箇条書きにしてくれる。
どうせ、忘れているくらいだから、書かなくてもいい情報もたくさんある。けれど、たまに、ものすごく大切なことなのに聞き漏らしていたり、書き漏れていることがある。僕は丁寧にそれを拾って自分の原稿に足していく。足しつつ、原稿をブラッシュアップする。そして、最後に、誤字脱字をAIにチェックしてもらい、自分でも読んで初稿をアップする。
もう、こうなると、AIがあるとないとでは、原稿のクオリティが変わってしまう。もちろん、アップまでの時間も驚くほど違う。
ただ、気を付けないとAIは嘘を吐く。僕も何度も嘘を吐かれて、あとで困ったことがある。まったく違う会社の情報を混ぜてきたり、勝手にニュアンスを変えてきたりする。それでも、実際に取材に立ち会っていれば防げることばかりなので、任せっぱなしにしていなければ、嘘を見破ることができる。
というわけで、AIって便利だな、という話で終わればいいのだけれど、僕は不安なのだ。なにがって、つまり、仕事の変わりようが怖いのだ。FAXがメールになったり、手書きがキーボードになったりというのは、まあ、変化といえば変化だけれど、わかりやすい変化だ。便利になったとか、合理的になったということだから。
でも、AIの導入は明らかに、つい2年前までは自分の頭がやっていたことを、AIという、よくわからないモニターの向こう側にいるHALみたいなものにやってもらっているわけで、楽にはなったけれど、今後、これがどこまでいくのかがわからない。個人的には、自分で初稿前の粗稿とでも言うべき原稿を書くかどうかが分かれ目のような気がしている。これを書かなくなったら、少なくとも自分はコピーライターではなくなる気がする。
でも、それは、AI導入前の原稿の書き方を知っているからこそのこだわり。これからライター業に就く人にはそんなこだわりはないだろう。もしかしたら、AIをうまく使って適当なコピーが書ける日はもうすぐそこにきている。というか、ネットで見る切り抜き記事なんかだと、もうAIが書いているのだろう。
となると、AIが書ける文章はAIに任すしかない。逆に僕らは人間にしか書けない文章を書くしかない。さて、僕は人間にしか書けない文章が書けているのだろうか。ここまで、書いてAIに聞いてみた。「ねえ、Gemini、僕はちゃんと人間らしく書けてるかい?」と。
答えは「安心してください。間違いなく人間らしい文章ですよ。そして、なによりも『人間らしく書けてるかい?』という問いかけそのものが人間らしいですよ」ときたもんだ。
へへ、こざかしい。まだまだこいつらには負ける気がしねえ。
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植松事務所
植松眞人(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。














































































