白髪染めはいつやめる?その2
白髪染めはいつやめればいいのか、という話を前に書いたかもしれない。書いたような気もするし、ポッドキャストでしゃべっただけなのかもしれない。どちらにしても、ここ数年、つまり去年還暦を迎える2年ほど前から、「白髪染め、そろそろ恥ずかしくない?」と思っていたのだ。
だいたい2ヵ月に1回くらい美容室に行くのだけれど…。いやまあ、こんな僕でも美容室に行くのですよ。散髪屋じゃなくて。うん?そう言えば、僕はいつから散髪屋じゃなくて美容室に行っているんだろう。最初は美容室に行くだけでも恥ずかしかったのに。やっぱり、僕らの若い頃は女性は美容室、男は黙って散髪屋と決まっていたのだ。だから、もう中学生なのに前髪を真っ直ぐに揃えられても、全体にふんわりと言っただけで雨上がりのホトちゃんのような髪型にされても、YMOが散開して何年も経つのに、いきなりもみあげをテクノカットにされても、僕は散髪屋に通っていたのに…。いつから僕は美容院へ行くようになったのだろう。
あ、思い出した。やっぱり白髪である。僕は十代の頃から髪色が茶色っぽくて、高校受験の時、担任に「黒に染めるか?」と提案されるほどだった。(えっと、その時の担任の提案には「髪を染めているのかどうかも判断できないような高校は、こっちから願い下げです」とわかったようなわからないようなことを言って拒否)。で、茶色い髪だけではなく、そこそこ白髪もあったりしたのである。
そこで、「きれいに染めてくれるところがある」と彼女に連れて行かれたのが美容室だったのだ。一人じゃ恥ずかしくても、二人なら大丈夫。全部、希望を伝えてもらって、僕が寝ている間にきれいに濃いめの茶色に染めてもらったのだった。それが確か19歳のころ。以来、僕は髪を染め続けてきたので、自分の白髪がどこまで進んでいるのかを知らないまま、ずっと生きていたのである。しかし、去年還暦を迎えて、さすがに白髪がないっていうのも不自然だろうと思い始めたわけだ。
なんとなくだけど、ヅラを被っている気がずっとしていたのである。三十代、四十代は白髪がないという人もそこそこいるので、そんなに気にならないのだが、五十代、六十代になると自分自身でさえ、白髪がないわけないじゃない、と思うのだ。思った後で、「そうか、若く見せるために、もしくはオシャレに見せるために、白髪を隠しているのだ」という気持ちになってしまい、気持ちとしては、♪ヅラを被ってはや四十年〜♪と歌い出しそうになっていたのである。
ということで、染めるのをやめて約半年。真っ白じゃないけど、そこそこ白髪がある、という状態をカミングアウトしたつもりなのだが、周囲から何か言われたことはほとんどない。それはそれで、なんなんだ、ということになる。料金を倍にして白髪を染めていたのに、あれはいったいなんだったんだ、という絶叫である。
いやまあ、染めることで「きれいだなあ」と思える人もいるし、「あの髪色が似合うなあ」という人もいる。単純にこと自分のことで言えば、もしかしたら、ずっと染めなくてよかったんじゃないの?という結論に達しているのであります。
だって、二十代から三十代の真ん中くらいまでは、ほぼ茶髪でツンツン逆立たせていて、世間にケンカ売ってるつもりだったんだもん。まあ、それも周囲には全然伝わっていなかったけれど。
ということで、還暦を超えてやっと穏やかな毎日を迎えられそうなワタクシでございます。あ、そうだ。優先座席に座るときに、あんまり気をつかわなくなった。だって、白髪だし。
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植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。
okosama
uematsuさん こんにちは
分かります。
男性の白髪染めは傍目にもズラ感あります。
私の知る範囲では40代から白髪染めをやめた男性もいたし、60代で真っ黒に染めてらっしゃる人もいました。オシャレ坊主でいっきにイメチェンした人もいました。
ありのままの髪色で心穏やか…良かったですね!
uematsu Post author
okosamaさん
やっぱりありますよね。
不思議と女性にそれを感じることはないんです。
ほんと、心穏やかになりました。