中学生徒会に10万円を配布するという企画について。
滋賀県彦根市は、市内の中学校の生徒会に10万円を配布するらしい。生徒会が公約したことを実現するためにふるさと納税によるクラファンを実施。アッと言う間に目標額が集まったらしい。
彦根市としては、生徒たちが大人の顔色をうかがわないように、市は公約を事前承認ではなく後から評価することで、大人にうける公約を目指さないようにするということだ。
小学校くらいから議題を決めて、生徒同士でディベートをさせたり、プレゼンテーションの授業をしている学校が多いらしいので、その実践ということになると、このニュースは当然の成り行きということになるのだろう。
でもね、なんか引っかかるのよ。引っかかっちゃうのよ。ほらあのダンス部とか、パフォーマンス書道とか、ああいうのと同じ引っかかり方をするのよ。
なんとなく、大人の広告代理店的な手のひらの上で、なんかやらしとけばいいんじゃない的な感じがして、ものすごく嫌なんだよなあ。ほら、地域復興に代理店が暗躍して、結局はぺんぺん草も生えない荒れ地にしてしまっているように。
パフォーマンス書道を例に取るとわかりやすいかもしれないけれど、みんなで、半分踊りながらでっかい用紙に好き勝手な言葉を、えせアート気味に書かせて、競わせるなんて、書道本来の目指すところと対極にあるんじゃないか。そう思えて仕方がないんですよね。
結局、自由に!と言いながら、結局はレールを敷いてしまっている。そこがとても嫌なんだと思う。教えなきゃいけないのは、そこじゃないのよ。経験させなきゃいけないのは、絶対にそこじゃない気がするのよ。
例えば、大人たちがこの10万円を「大人たちの顔色を見ないで、本当に自分たちの決めた公約に使っていいんだよ」なんて満面の笑顔で言うなら、「馬鹿じゃないの。ここまでやっといて、大人の顔色見るなって言われても見ちゃうよ。ようし、それなら、適当な公約作って、逆に公約破ってみんなで飲み食いしようぜ」なんて言い出す奴が出てきたら、拍手しそうなんだけど、きっとそうはならず、なんか中途半端に成果が出ちゃうんじゃないかなあ。そして、成果が出ちゃうと、なんかこういうのがもっと増えちゃうんじゃないかと不安だ。
もうさ、こういう大人の方が、物わかりのよさそうな感じを醸し出して、子どもたちに何かさせるの、やめればいいのに。ああ、モヤモヤする。ものすごくモヤモヤする。
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植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。