11月21日はカレー記念日

カレー記念日

普段着と 仕事着 それしか ありません

11月21日はカレー記念日

月亭つまみ

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

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なんかすごい。

霹靂その後

 先月の青天の霹靂から一ヶ月。オットは一足先に旅立っていった。

この間、誰かに話をするたびに「なんか現実味がない」と言い続けて、いつ「現実味」がやってくるのだろうと思っていたが、その「いつ」が来ないまま今日を迎えている。
ただ、何をするにつけても、「ああ、このたわいのないことも、もうなくなるんだなあ」としょっちゅう思っては、それっきりという繰り返しだった。

 出発の当日、飛行機の便がその日の夜遅くだったので、午後まで家でのんびりしていられた(というのは比喩で、じっさいには直前までドタバタ片付けをしていた)。
お昼ご飯に、近くのパン屋にサンドイッチを買いにいって、作ってもらっているあいだ、外のベンチに座っていると、空は青く、ポカポカとあたたかくて、いかにも平和な日曜日だった。
「あー、ほんとうに今日なんかな」と思う。
そして、「まだいうかね!」と自分で自分につっこんだ。

 こんなに具体的な事態が迫っているのに、潮の流れのように「普段どおり」に心が引き戻されていく。
日常というルーティーンの、なんという力強さ。

 私には、なんだかんだいっても、明日からも馴染んだ場所で、今まで通りの仕事や生活がある。新しい場所で新しい仕事をはじめるあなたのほうがよっぽど大変だ、とオットに言ったら、

「でも、ぼくは集中しなきゃならない新しいことがたくさんあって気が紛れるけど、あなたのほうがこたえると思うよ。」と返ってきた。

たしかに、新しい場所には、不在を感じる習慣や思い出がない。

 考えてみたら、たかが単身赴任なのだけど、なんだかおおごとに感じるのはなぜなのだろう。
もし子どもがいたら違ったんだろうか、東京から遠く離れたって、もし国内だったらまた感じ方が違うんだろうか、などとシュミレーションしてみたが、よくわからなかった。

 でもやっぱり、しばしの別々暮らしだけが理由ではない。この町、この家で私たちがこうして暮らす日々は、終わりを告げるのだなあという寂寥がある。
猫は家につく、というが、人間もだ。
そして、この土地を去りゆくオットに気持ちが乗っているのに、じっさいのところ自分はまだこちらにいるのだから、余計混乱するのだった。

 これから得る新しい経験への期待より、残していくものに心がいくというのは、やはり年齢が関係していると思う。
あと10年、いや5年早かったらなあ、と思わないでもない。
だって、新しいところに飛び込むのって体力がいるではないか。最近、ご飯を食べると動悸がしちゃうようなお年頃だっていうのに。

が、思えばわたしのじんせい、常にひとより10年遅い星回りなのだった。
オットはさらに輪をかけてそうである。
ふたりして、いっかな大器が晩成しないのはなぜなのか。

 バスに乗って羽田空港に行く途中、みごとな夕暮れで、橙色から群青へのグラデーションの中に、富士山のシルエットが映えて、浮世絵さながらだった。
浮世絵の空の色は、見たままを描いていたんだねえ!と言い合う。ちょうど夜になりきるかなりきらないかのあわいに、バスは空港にすべりこみ、映画みたいにきれいだった。

 国際線のターミナルは、みたことがないくらいガラガラで、お店もほとんど時短営業か臨時休業。ひっそりとしたレストランエリアで、唯一空いていた吉野家で牛丼を食べた。

同じ便を待つ人たちの中に、「ジャパンボクシング」と書かれたスタジャンを着ている人たちが何人かいる。試合かな。この状況下で海外に行く人たちは、どんな理由で行くのだろう。

他にすることもないので、座って大きな梁と天井をながめて待った。
思えば、誰かを見送りに空港にくるのは、初めてかもしれない。

 翌日、無事に着いたと連絡があったので、いちおう実家の母に報告すると、
「よかった!ちょっとさびしいけど、R(←オットのこと)が夢をかなえられるように我慢だね!」と返事が来た。

「夢」…とは……!!!

母にとって私たちは、いつまでも可能性にあふれた若者なのだなあ。61歳と46歳だけどね。日本とイギリスどちらで人生を終えるか、という話すらしているというのに!
親ってほんとう気持ち悪いよね…と電話してきたオットに言ったらおこられた。

byはらぷ

※「なんかすごい。」は、毎月第3木曜の更新です。

※はらぷさんが、お祖父さんの作ったものをアップするTwitterのアカウントはこちら。


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コメント、ありがとー!

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    Jane

    はらぷさんどうしているかな~とここ数日気にかかっておりました。
    はらぷさんの書く、私にとっては前世の記憶のように遠く淡い幻のような、古き良き日本の香りの残るあれやこれや、とても羨ましかったです。90年代に、イギリスの田舎町に半年ほど住んでいましたが、物語の世界のようで(アメリカとは全然違う)時が昔のまま(不便さ加減を含め)止まっているという感じがしました。あれから30年、たぶん私はもう行くこともないかもしれませんが、きっとはらぷさんがイギリスの古き良きものを見つけて知らせてくれると期待しています。
    オットさんの言葉が、これまた優しく愛がありますね。

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    はらぷ Post author

    Janeさん

    こんにちは!
    ツイッターでメッセージいただいたことに嬉しくて、こちらにコメントいただいていたのをすっかり見落としておりました!
    今日記事を投稿して気がつきました。
    ほんとうにごめんなさい!

    ひと月経ってしまいましたが…気にかけてくださってありがとうございます。
    このひと月、頭の中だけでとても忙しかったので(笑)、すごく心強くて、お腹が温かくなりました。

    Janeさんはイギリスにもお住まいだったことがあるのですね!
    90年代、SNS が普及する前、インターネットもまだ必須でなかった時代のイギリスを想像すると、「昔のまま」というのがすごくわかる気がします。
    今90年代を振り返ると、感覚的にはついこのあいだのようなのに、まだまだこんなだったのか…という隔世の感があります。
    日本もそうですが、けっこう90年代までは、前時代のいろいろなものがそのまま残っていたんですよね…。
    そのころのイギリスは、私があこがれた『グリーン・ノウ』や『時の旅人』や『思い出のマーニー』の世界にもっと近かったのだろうなあ、と思うと、その空気を知っているJaneさんが羨ましいです!

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