独女と村民。
さて、3回に分けてお送りしております結婚アジェンダ、今回は最後の3つめ。
「長年都会暮らししていた四十路独女が《全員みな知り合いな村社会》で大丈夫なのかどうか問題」について考えてみたいと思います。
よくテレビの『人生の楽園』なんかで見知らぬ土地に移住する熟年夫婦が出てきますが、よくやるなあ、田舎暮らしに憧れることができるのは都会人だなあ、などと思ったりしている僻地育ちのわたくし、じじょうくみこでございます。ですから結婚に際して夫婦問題、同居問題以上に最も恐れていたのが実はこの「村社会とけこみ問題」でありました。
「いいなあ島暮らし。ぜったい遊びに行きますからね! あっ、島民あげて盛大にお迎えとか、手を振りながら海に飛び込んで見送りとかそういうのいらないんで!」
「島の人はみんな飲みそうだよねえ。毎日大変そう。飲み会とかしょっちゅうあるんじゃない?」
「島での祝宴はどうするの? 人いっぱい来ちゃいそう。3日3晩とかやるのかな? 踊り出しちゃったり?歌い出しちゃったり?」
シマ島に引っ越すことを告げた折、こんなコメントをたくさんいただきました。ここから見えてくるのは、みなさん離島に対して大変よい印象があること、人懐っこくて情に熱い島民のイメージ、島民同士の密接な人間関係、何かにつけて陽気な宴会をしているイメージですね。おおかた沖縄の島をベースにイメージが構築されているような気がしますが、かくいうわたしも離島というと似たようなイメージが浮かびます。
ただ、なにしろ田舎育ちですので田舎の嫌なところはよーく知っています。特に島は人間関係が濃そうですから、「48にして離島に嫁ぐ物好きの女がいる」なんて噂話には格好のネタじゃないですか。おまけにザビ男がなぜか結婚することを一切隠していたようで、結婚披露パーティの写真がフェイスブックにアップされたのを見て大騒ぎになっているということでした(ザビ男め、よけいなことを…)。
パーティに参列してくれた島の方々にも「島の人はどんどん上がりこんでくるから」と言われていたので、まあこんな環境を面白がれるのもオバフォーの特権、よっしゃこうなったらぜんぶ受けとめてやるわいとファイティングポーズでシマ島に乗り込んだのでありました。
ドキドキ
ところがいざ島での生活が始まると、
シーーーーーーーーーン
あ、あれ……(´Д` )
まったくといって何も起こりません。誰も訪問してこないし、外を歩いても誰もいない。祝宴についても、どうも立ち消えになった気配。うちの田舎にはよくあった町内会の会合や回覧板の受け渡し、掃除や草刈りなどの地域活動、村祭りへの参加などといったものも、一切我が家には声がかからないのでありました。
あれれれ…………????(ー ー;)
その一方で。
婚姻届を村役場に出したとき、役場の職員さんたちからさんざんからかわれた話を以前したことがありますが、2日後、今度は住民票を取りにひとりで役場に出向くと、わたしの顔を見るなり何も言ってないのに職員さんから
「住民登録、準備できてますよ♩」
と言われました。
また、郵便物の転送届けはザビ家の住所で申請していたので、転送されてきた郵便は母屋にその都度取りに行っていたのですが、引っ越して1週間後からは郵便も今の借家に届くようになりました(申請してないのに!)。宅急便も知らない配達のおじさんに
「荷物、こっちでいいんだよね?」
と言われ、借家のほうに届けてくれるようになりました(お願いしてないのに!!)
他にも玄関先を掃除していると、どこからともなくおじいちゃんが現れて「この家、あと5年は借りられるんだってね」と言われたし、中華料理屋でごはんを食べていたら「軒先にシェードがあると日差し違いますか?」と店のお姉さんに設置したばかりのサンシェードについていきなり質問されました。
……なんだろうこの「知らない人だけど相手はわたしのことめっちゃ知ってる感」……
きわめつきは、ご祝儀、であります。
結婚披露パーティには島の方々はほとんど参加されなかったので、親戚の方からはあらかじめお祝いをいただいておりました。そこで内祝いを用意して島入りしたのですが、まあ来るわ来るわ、次々にご祝儀が。こんなにお祝いしていただけるとは思っておらず、ありがたいことだなあとしみじみ。多めに準備していた内祝いはあっという間に底をつき、そのたびに内祝いを追加注文しては、ザビ男と夜な夜な挨拶まわりをするハメになったのでありました。
これを機にソーシャルライフが広がるなら望むところなのですが、本当に挨拶するだけ。そこから何も始まることはありませんでした。けれど結婚して1ヶ月が過ぎてもご祝儀攻撃(!)はやまず、くれる人も親戚から近所の人、いとこ、いとこの友達とどんどん遠くなっていきました。しまいにはザビ男に「この人どんな関係の人?」と聞くと
「知らない」
って知らないのか!
知らない人がご祝儀をくれるのか、この島はっ!!
最初こそ想定外のご祝儀にラッキー♩と喜んでいたザビ男とわたしでしたが、そのうち母屋で「もらったよ」とパパママからご祝儀袋をわたされるたびにゲッソリするように…。そんな日々は結局2ヶ月続き、内祝いは都合5回追加注文したのでありました。
ご祝儀が届くということはつまり、その人がザビ男とわたしの結婚を知ったということで、自分の知らないところでジワジワと噂が島内に広がっていくさまを想像しては「こわいよう、島こわいよう」と震え上がる今日このごろ。
それでもわたしのまわりは相変わらずシーーーンとしたまま。
さて、ここからどうやって島にとけこんでいけるかと、いまだ暗中模索のじじょうくみこでございます…。
それでは、また来週〜。
Text by じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎
*「じじょうくみこのオバサマー」は毎週火・木・土曜日更新です。
早く楽園にしたい。
takeume
あぁ、なんていうか、怖い。。。
いぇ、みんな家族のような温かさ・・・と言っておきます(--;)
そして、ふと、島民はエリコさん(あの派遣のエリコさん)
なんて言葉が頭をよぎりました。
いまねえ
おお。じじょくみさん。。
シマシマの皆さま一軒一軒が己の生活リズムを乱すことなく新たな村民(じじょくみさん)を自らの
生活ペースに取り込んでいく、まさに実況中継ですね、、それがあちら側からの一方通行ってとこが辛い、
なんにせよ多勢に無勢という。。しかしこれじゃいっそ派手に宴会やってくれたほうがなんぼか楽か?
・・とはいえ、そうか、シマシマではほぼ2ヶ月で新情報が島内一周するのか等々興味津々でもあります。
シマシマ最大のイベントってなんなのでしょうね??人が集まっていればなにがしかイベントありそうですもんね?
今朝は三時間半ほど畑の草取して腕がつらい、いまねえでした。。
じじょうくみこ Post author
>>takeumeさま
こんにちは!いつもコメントありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
ヒャダ!こんなところにエリコさま!!
でもあの諜報力・情報伝達力を考えると……秘密裏にシマ島上陸していた!?(゚o゚;;
じじょうくみこ Post author
>>いまねえさま
いまねえさま、ああいまねえさま!
北斗星はいってしまいましたが、中島慶子さんのワクワクで
思いがけずいまねえさまのお姿を拝見してわたくしウキウキでございます\(//∇//)\
本当にね、こちらとしては祝宴やってもらったほうが後が楽そうでしたけどねー。
高齢者の方が多いので、まあしかたないかなーと。
夏のお祭りも期待しましたが空振りしましたw
まああまり考えすぎずにまったり過ごして時を待ちたいと思いますー。
こうまさん
ご祝儀攻勢お疲れ様でした!
こっちは知らなくても、
あちら様は何でも知ってる、というのは田舎アルアルですかね?
筒抜け感は、まあ、仕方ないのでしょうね~
だって、みんな、この辺でうまれて、
この辺で育って、この辺で結婚してるんですもん。
初期の頃は、『顔知らない奴だ!』と認識されて
犬の散歩してたら「あんたどこのひと?」と尋ねられ、
家を教えたら、「あは~ん、○○さんね!」と納得されてしまうのです。
その人は名乗らず・・・・・(泣)
まあ、こっちが聞いたとしても、覚えられないんですけども。
(郵便は、番地がなくても町内で引っ越しても、ちゃんと届きます(^_^)v)
やがて、じわじわと、溶け込んで
混じり合っていくと思いますよ~
だって、一人っきりではないのですもの!
じじょうくみこ Post author
>>こうまさま
こんにちは!コメントありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
こうまさんも田舎暮らししておられるのでしょうかー?
描写がリアルで、ウンウンうなずいちゃいました(笑)
みんな同じだと思えば勇気がわきます、ありがとうございます!
相変わらずドギマギはしてますが、
これは思った以上に時間がかかりそうだと腹をくくって
時を待とうかという気分になってきました(^ ^)