第22回 彼方のアストラ
『彼方のアストラ』は、ただいま放映・配信中のSFアニメです。篠原健太原作、WEBサイトJUMP+で連載されたマンガ大賞2019受賞作品。
宇宙で遭難した高校生9人が、いわくありげな宇宙船で生還するお話です。
宇宙空間にひとり放り出されたり、いるはずのない人が混じっていたり、『十五少年漂流記』をベースに、映画『ゼロ・グラビティ』や漫画『11人いる!』へのオマージュたっぷりに展開されるお話で、既視感のある場面やセリフにノスタルジーを感じていると、イタタタタ…、しっぺ返しをくらいました。私の想像力は、貧困でした。大人であることが恥ずかしい…。
原作者のデビュー作『SKET DANCE(スケットダンス)』同様、総じて明るい作品です。ポジティブなリーダー、知的メガネ男子、屈託のある女子などなど、屈折していてもなぜか爽やかな登場人物たちと、分かりやすい明朗なギャグ。アニメでもそれらは守られており、絶望的な場面を音楽で追い打ちをかけることもない。
ネタバレになるので、筋は言えませんが、若者の勇気と機転で何度となく危機を乗り越え、毎度、次回が楽しみな週一アニメ。ぜひ第1話から順にごらんください。(実は明日か今日が最終回なのですが、本作を見てない人は絶対見ちゃだめですよ!)
フィクションとして楽しめ、なおかつ現代日本の社会情勢の隠喩もうかがえる。さすが、JUMP系作品。終末の先、絶望の先でも、若者は強く明るいのだ。
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終末の先も、若者も、いろいろ。
「大災禍」の後、管理された穏やかな世の中の絶望を描いた『<harmony/>(ハーモニー)』。伊藤計劃原作。ショッキングなシーンが重なるので、私は心身共に良好なときにしか見られませんが、この世界観は、他に類を見ないのでは?
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*アイキャッチ画像と動画は、当該作品の公式HPより