第52回 漁港の肉子ちゃん
インパクトのあるタイトルの「漁港の肉子ちゃん」は、西加奈子の同名小説が原作。原作にほれ込んだ明石家さんま氏が企画・プロデュース。ボイスキャストも話題十分で、タイトルに名のある「肉子」の声を大竹しのぶ、その子「キクコ」の声をCocomi。こちらもまたインパクトが強い!これは敬して遠ざけるか?と思ったけれど…。
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肉子ちゃんとその子キクコは漁港の船に住んでいる。キクコの日常生活を時間軸に、思春期に差し掛かったキクコが、ちょっと困った様子で自分の親、肉子ちゃんについて語る形で話が進む。
肉子ちゃんはまだ若いようだが、その半生はすでに波乱万丈だ。惚れっぽくて能天気。デフォルメされたキャラクターデザインで、動きもコミカル。イビキがすごくて、大竹しのぶはこんな音を出す(出せる)のか!?と驚く。とても個性的な肉子ちゃんは、アニメでしか現せないかも。
かたやキクコは、すらりとした美少女だ。誰もが不思議に思う、全然似ていない親子。学校や肉子との生活でのわだかまりを表に出さない、思春期にさしかかったキクコの役どころに、Cocomiの声がマッチしている。
終盤、スッキリ晴れ晴れとはいかないが、暖かな日差し・まなざしを感じる。今、そしてこれからを生きる11歳のキクコが、重くならないように描かれている。
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見て、良かったです。想像をくつがえす真面目な作品。原作未読ですが、この映画で全く過不足を感じない。アニメーション制作はスタジオ4°C。監督はドラえもん映画を多数手がけた渡辺歩。キャラクターデザインと総作画監督が、ジブリや今敏監督作品に参加した小西賢一。背景もアニメーションにも満足しかない。
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「映画大好きポンポさん」もワクワクして面白かったです。映画を作るひとたちのお話。今週コメンタリー上映が始まるので、も一回見るかな?
そして7月にはいよいよ細田守監督の新作「竜とそばかすの姫」が公開されます。夏が来ますね!