第55回 ルパン三世 グッバイ・パートナー
50年間次元大介を演じてきた声優の小林清志さんが勇退する-そんなニュースが10日ほど前に流れた。「ルパン三世」PART6が10月から始まる(テレビ放送は深夜枠)が、その初回を最後に退くという。
寂しいけれど、そうだよなあ。3DCG映画「ルパン三世 THE FIRST」では、ビジュアルは最高だったけど、他のメンバーとの会話のテンポが気になったものなあ。(掲題の作品でも若干…。)今の石川五右衛門が浪川大輔さん(ギルベルト少佐:ヴァイオレット・エバーガーデンほか)だから、次元は津田健次郎さん(龍:極主夫道ほか)あたりかなと妄想していたけれど、大御所の大塚明夫さん(バトー:攻殻機動隊シリーズ他)に決まった。彼ならば誰もが納得するし、期待できる!(わからない…という皆さま、ごめんなさい。明夫さんのお父様は大塚周夫さんです。)
「ルパン三世 グッバイ・パートナー」(2019)では、次元は長年のパートナーであるルパンを裏切り、お宝を奪うのだ。日頃積極的に行動を起こさない次元が動いたそのわけは…?次元の過去に触れる、子供もOKなストーリー。ビジュアルも無理なく受け入れることができ、名前を冠した劇画タッチのスピンオフ作品「次元大介の墓標」よりも次元が主役になっている。(ちなみに「次元大介の墓標」はNetflixでPG12だが、説明に困るほどエロが過ぎる描写があるので、私はこどもと一緒に見ることは、ない。)
そもそも次元大介は、セリフが少ない。ルパンや不二子と違い、盗みのターゲットを決めたり、計画をたてたり、事件のからくりを説明したりしないので、出番が短いのだ。にもかかわらず私が長年次元のファンでいるのは、何故か。渋いキャラクター造形に小林さんの声がピタリとはまって、それがずーーーーっと変わらずにいたからかと、いま思い至る。キャラクターに命を吹き込むとはまさにこのこと。
小林清志さん、長い間次元大介でいてくださって、ありがとうございました。
===
次回は「ONA的、今期なに見る?」です。
あ!ひとつだけ!明日から大注目の作品がFODで独占配信されます。(テレビ放映は2022年1月から。)
その名も「平家物語」
監督:山田尚子、脚本:吉田玲子、キャラクター原案:高野文子。アニメーション制作はサイエンスSARU。スタッフもボイスキャストも豪華で、見る前からもう、外れようがない作品。原作は、池澤夏樹さんが選ぶ訳者に驚かされる、河出書房新社の日本文学全集09「平家物語」古川日出男訳。
山田尚子監督×吉田玲子さんでは、「リズと青い鳥」(京都アニメーション制作)が特に好きなのですが、彼女らの繊細さとアート系のサイエンスSARUがどうミックスされるのか、楽しみでならないです。
今月9日に「犬王」(湯浅政明監督/サイエンスSARU、2022年日本公開)が、ベネチア映画祭オリゾンティ部門で上映されたところです。古川日出男さんの「平家物語 犬王の巻」が原作です。