Posted on by SHOJI
第57回 アイの歌声を聴かせて
前回ちらりと書いた吉浦康裕監督の新作「アイの歌声を聴かせて」が、期待を超えていたので、早速ご紹介しますね!(詳細な設定やストーリーは公式HPにお任せする。)
AIの美少女シオンは実験機として高校に送り込まれるも、ごく一部の学生たちにAIだとばれてしまう。彼女はどういう状況にあるとその人が幸せなのかを考えて行動している。シオンが幸せにしたい主な対象はヒロインのサトミ。だが、人の気持ちを理解しているわけではないので、的外れなこともある。シオンの突飛な行動に驚いたり、笑ったり。学習中のAIなので、突然歌いだすなどエキセントリックな行動をとっても無理はない。
サトミの物語を軸に、正体を知る学生たちのいかにも高校生らしい物語も、シオンによって解かれていく。サトミを含めて、人当たりの良い学校の人気者や内向的なギークなど、生身の人間にあるネガティブさの描き分けが丁寧で、誇張が感じられず現実味がある。
スマートシティと人間型AI。この設定あっての素敵なファンタジーは、飛躍のない話の運びで、私は(たぶん作り手の意図通りに)喜怒哀楽を操られ、伏線回収につれて徐々に幸福感で満たされていった。
「竜とそばかすの姫」同様、「テクノロジーが介在することで、生身の自分や身近な他人への理解が深まることって、あるよね。」と思わせる作品。シオン役の土屋太鳳さんの歌声が、のびやかで美しい!
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