〈 晴れ 時々 やさぐれ日記 〉 「 ああ、ランジェリー。理想と現実のあいだ 」 その三
―――先週に続き、「ああ、ランジェリー」その三 ( なんと )。国産下着メーカーさん、わたしはこんなところが不満です!( by サヴァラン )―――
「わたし、ショーツはLサイズやで。」―――みんなが一瞬息をのんだ。
Lサイズ発言の主は、大阪出身の小柄なママ友だ。少年のようにきゅっとしまった体形の彼女は、たぶんこれからも一生太らない。その彼女のLサイズ発言は、それはもうわたしたちを元気づけた。
彼女はつづけた。「 あのSサイズなんて誰を想定してんねん。そりゃSサイズ、売れるだろうけど。でもそれは、Sサイズの人が買うてるんじゃなくて、Sサイズ願望の人が買うてると思うねん。マネキンやモデルみたいに着てる人なんておらんと思うで。最近の肩の小さい洋服もな。みんな窮屈そうやん。でも今あれが流行でな。だからみんながまんして着てるけど。要するに理想と現実やん。わたしたち、その理想と現実の間で右往左往させられてるとつくづく思うわ。」
銀色のカチカチやるカウンターを持って、町の中で「 窮屈な肩 」調査をしてみたくなった。駅とか通りで見かけるあの調査。狭い。狭い。だいじょぶ。だいじょぶ。。。「 窮屈な肩率 」は「窮屈なショーツ率」と同じような分布になる……はずだ。行儀が悪いが。うん。きっとそう。
世の中にあまたある洋服も下着も、ある種のコンパクトな理想や願望の中に、おさまりきらない現実をむりやり押し込んでいる感じがする。選んでいる、というより、選ばされている。望んでいるというより、あてがわれている?「既製品」というもののそれが宿命?
あの。国産下着メーカーさん。サイズ展開をですね、もう少しリアルな女性のサイズ分布から割り出していただくことはできないでしょうか。
下着ってなかなか買い換えられないのよね。
ママ友との下着談義はどんどん膨らんだ。見えないところだし。子どもみたいに「着られなくなる」わけじゃないし。捨てるのだって気をつかうし。ついつい、まだいっかってなるのよね。
そうそうそれから。前のがよかったからまた欲しいなと思っても、もう次には探せないじゃない。問題はブラよね。着け心地と洋服を着たときのシルエット。それからそれから価格とデザイン。すべてを満足させてくれるものってほんとに難しい。だから今使ってるこれで、と思ってももう次のときにはそれはない。メーカーごとのなんとかシリーズと言っても、結局また一から探さなきゃいけない。億劫。だから結局、ちょっとくたびれちゃってるけど、今のままでいいか、ってなっちゃうのよね。
わたしは母に親孝行ができない娘だ。それでもひとつだけ胸を張れることがある。母は着るものへのこだわりが強く、あれこれ細やかな目を持っているけれど、下着に関しては古いものを大事に大事に使っていた。
わたしは若い頃、少々の自分のお金と、デパートに並ぶたくさんの品をあれこれ試す時間があった。ある時期勇気を出して、自分のための下着革命を計画した。世の中にはほんとにたくさんのブラがある。いろいろ試してみると、洋服のシルエットの土台になるのが肩と胸らしいことがわかってきた。ブラ選びはダイエット効果にも匹敵するし、胸のかたちは年齢をかもしだす。年齢相応の胸のかたちというのもいろいろある。わたしの身長、わたしの顔、自分でイメージする自分なりの全身バランス。このメーカーは自分に合うけれど、あのメーカーは結局ダメ、という靴メーカーの木型との相性に似た法則?にも気が付いた。
母とわたしは体形が似ている。わたしの割り出した公式は母にもあてはまるはず。あの頃たしかディオールのライセンス下着が売られていて、やがてその商品はクロエの商標で売られるようになった。少しずつデザインやラインは変わるけれど、基本のパターンを残してくれるので助かった。長年の愛用者も多いとかで、仮にサイズの欠品があったとしても、必ず目当ての品が手に入るのもありがたかった。国産以上インポート未満。それをわたしは母にすすめた。
母は今もキレイな下着を使っている。わたしはあの価格帯のものは手が届かない。でもいい。わたしの自由研究は母の役には立っている。
taketsumaさんがコメントに書いて下さった。今は「窮屈でない、洗いやすい、洋服にひびかないなど機能重視と価格重視」。「干していて嬉しかったり、引き出しに並べてきれいな下着」ではなくなっていると。爽子さんはおっしゃった。「ほどほどの着地が難しい」と。
ほんとにそう。いつの間にかそう。
なんでだろう。「私たち世代」のニーズで探すと、機能最優先のぐっと落ち着いた商品か、あるいはうんと贅沢なゴージャスすぎる商品になってしまう。あれとこれとのそのあいだ。そのあいだをぜひ、考えて欲しいのに。
下着をあれこれ求める層は、やはり若い人なんだと思うけれど、これから先もそうかしらん。人口ピラミッド、もうかたちが変わってるけど。。。
というわけで。下着メーカーの方にご一考願いたいことは、女性を無碍に卑屈な気分にさせないようなサイズ展開 。ブラの一部商品の定番化 。肝と要をおさえたほどほどの品質とほどほどの価格、そこへ女性の夢をほんのひとふり。
むかし、バーニーズでステキな下着を手に取ったことがあった 。素材はシルク。 砂糖菓子のような薄桃色にさらりとした控えめなレース。 キャミソールのストラップはサテンの幅広テープ。身につければきっと、ボディーと洋服の間にするりとしなやかに滑り込む落ち感。それはわたしにとって理想的な、うっとりするほどエレガントな大人の下着だった。いつかは……。
今はもうそこまでの贅沢をしようと思わない。お洗濯たいへんだし。ほどほどで十分。それでも、わたしが「やさぐれ」たときに下着を買うのは 、「新しいもの」には「新しいもの」だけが持つ「気」のようなものがあると思っているから。それから以前ある方から聞いたおはなしを、自分が今、肌で実感するようになったから。さらにときおり、聞こえてくる声がある。鴨居羊子。今のわたしたちをあなたはどう見てますか?
「 パーティーにお呼ばれするとするでしょ。でも洋服を新調するほどのお金はないの。パーティーにしか着られない洋服というのも負担よね。そのお金では靴やバッグも無理なの。だったらどうする?レンタルという手もあるけど。アクセサリーでも買い足す?わたしはね、下着を買うわ。古い洋服でもいいの。自分らしく胸を張れれば。もしパーティーなんてなくてもね。贅沢な下着なんか買えないとしても。今の自分にぴったりな、少しだけ素敵な下着を新調するってことは、わたしをこっそり後押ししてくれると、わたしは思ってるの」
「 この紙面(新聞の家庭欄)の、良識的思考が、戦後の日本の母親を教育ママにおとしこみ、あるいは有閑な手芸族に仕立てたのだと思う。そして奥様族は自分たちの努力のなさをタナにあげて、不都合、不自由、生活難は国家社会の責任と考え、そのくせ、すべての解決を国家に依存して恥じない。彼女は人間としての自立精神を失った。私の当面の課題は、こうした家庭欄的良識派、婦人雑誌的教養派の奥様族に対して、どう運動してゆくかであった。 ~ 鴨居羊子 『わたしは驢馬に乗って下着を売りにゆきたい』より ~ 」
taketsuma
改めて引き出しを開けてみても、やっぱり「茶色いお弁当」並みの彩り(–)
うーん、うーん、うーん・・・と思いつつも、
でも「着易いしな~」と終わってしまいます。
爽子
茶色いお弁当のような彩りの下着が結局は、一番出番が多いです。
それよりも、くたびれた状態を通り過ぎて、薄く薄く、ガーゼのようなジョーゼットのような生地になってしまってるおパンツを今日着用しております。
とても肌触りが良くて、快適です。
でも、これは、いくらなんでも、救急隊員の方に見られたら、違う意味で即死に値するかも。
ま、いいかー、いいことにしとこう。。。
ということがいかに多いか、私の生活。
下着のことに限らず、ごにょごにょ。。。。
ぶんぶん8
私もディオールのライセンスの下着、好きでした。
その頃私は東京に住んでいて、ディオールのファミリーセールに行っていたので、すごい安いお値段でいろいろ買っておりました。
洋服は趣味に合うものはありませんでしたが、下着はどれも可愛かった^^
あと、銀座のプランタンの輸入下着屋のセールのワゴンでフランス製のブラなんかも買っていました。
若い時はお金はなかったけど、歩き回ってほしいものを探す体力と時間と熱意はありました!
新宿の伊勢丹で、セールで3,000円のブラを一枚買うのに一時間も二時間もかけました。
サヴァランさんと同じように、その頃試行錯誤したおかげで、いまでは試着せずとも自分に合うか合わないかが判ります。
この間はネットショップで二千円台のブラを買いましたが、とっても優秀で一万円台の補正ブラにも遜色ない感じです。
大学生の娘がいるので、若い子向けの下着も良く見るんですが、大量に出回っているお安いモノは見た目には可愛くても、着心地は良くないし、体の線も綺麗にしてくれないものが多いです。
ただ胸が大きく盛れればいい、って感じ。
あれじゃあ、詐欺みたい。
バッチリメイクでしか人前に出られなくなるように、本当の体に自信が持てなくなりそう。
私は自分のもパッドは嫌いで、レースの生地一枚仕立てのブラとかが多いですが、しっかり作られているものは、カップが薄くても綺麗に形を整えてくれます。
もっと上質な下着(高い、というのではなくて)を若い子にも身につけて貰いたい。
自分の体を愛することを知って欲しい。
鴨居羊子さんの時代からずいぶん経つのに、この国の下着に関する意識はさほど変わっていない気がします。
茶色いお弁当のような彩りの下着、必要かなー?
この年になると、下着が透けて見えるような服はあまり着る機会がないような気がしますが。
それより、深い海のようなターコイズブルーとか宝石のような紫とか、肌が綺麗に見えますよ^^
Tomi*
う〜〜〜ん・・・ランジェリーの話に口をつぐんでしまうのは、自分の体(裸)に自信がないから。
大きなおっぱいとお尻は垂れ下がり、下っ腹も出ているメタボ体型では、「ランジェリー」と呼べるような、ツルツルスベスベした肌触りの、レースで飾られたおしゃれなものは似合いません。
ランジェリーのおしゃれを楽しむためには、まず自分の体が好きになれるように鍛えるところから始めなきゃならない気がして億劫です。
物心ついた頃からずっと太っていたので、私の歴史には可愛いランジェリーを身につける喜びというものはなかったです。
更年期に入ってから敏感肌になってしまい、補正下着や化学繊維がダメで、結局いつも綿100%でヘソの上まですっぽり隠れるおばさんショーツと、色気も何もないフルカップのブラジャーです。
色は黒と肌色しか持っていません。
胸元が開いているような女性っぽいお洋服や、フリフリひらひらのお洋服が苦手なのも、こんな色気のない下着を着けているせいかな〜??
女性らしいお洋服を好む人は、きっと素敵なランジェリーを着けているんじゃないかと思います。
ジンジャー
49歳です。
バブル時代、ブラにかぶれたのをきっかけに、下着に凝った時期がありました。
輸入物に綿100%のブラを見つけ、輸入下着の専門店に通って。
でも年を経て結局、着心地が良くないと続かないなあ、と。
ケミカルレースは痒くなるし、粗悪なポリエステルだと通気性が悪い。
レーヨンだと汗かきの私にはアウターでも、辛い。
縫い目のちくちくや、フィットしないストレスも耐え難い。
というわけで、今は質実剛健!
とにかく、現状のライフスタイルにフィットすることが一番!!でございます。
好きなのは、シンプルな絹のランニング型キャミソール。
愛用ショーツは化繊だけど、ユニクロの縫い目一切なし!のショーツ。
(サイズは大きめ設定にしてます。スーパーの類似品は、微妙にフィットしない。)
あ、当然お高い輸入下着はそりゃ高いだけあって良かったです。
ハンロのショーツなんて、うっとりするほど上質のコットンで、おなかが出てても段差ができないんですよ~。
手が届きそうなところではトラタニのショーツもすっごく良いという評判なんで、いつかトライしたい!
サヴァラン Post author
taketsuma さま。
「着易さ」が一番かと♪「まごはやさしい」というあれも、「茶色いお弁当」路線ですよね。わたしはむかし、靴を買うのに、ほんの少しのサイズ調整がしたくて、お店の方のすすめで中敷きを入れてもらったりしましたが、あれ、ダメだなと学びました。当座はいい。でも結局ムリがきました。「着易さ」「なじみのよさ」が結局一番!と思います。毎日の無理のない心地よさ、探していきたいです♪
サヴァラン Post author
爽子 さま。
ジョーゼット!ジョーゼット!!ああなんてすてきな表現でしょう♪わたしも自家製ジョーゼット愛好者です。「やさぐれ」もピークに達したとき、手に取るのはこの自家製ジョーゼット。だってもう、わたしの肌の一部ですもの!救急エマージェンシー問題は、わたしも考えます。「ダイジョーブです!帰ります!」って言いそうな予感。それでもって、そういう事態にならないように、「気を引き締めよう」と思ったりして。うわ、爽子さまも「ごにょごにょ」オゴジョですか。うれしーなー。おんなじです♪
サヴァラン Post author
ぶんぶん8さま。
ねー。ねー。ディオールの下着、よかったですよねー。なんであれ、続かなかったんでしょう?「若い時はお金はなかったけど、歩き回ってほしいものを探す体力と時間と熱意はありました!」←ああ本当に!まさにそう!体力と熱意、ありましたよねー。一枚に一時間も二時間もかけた熱意。それでもって、あの時代の熱意、無駄になっていませんよねー。コストパフォーマンスの判断基準、あの頃つくりましたよねー。若いひとにも、それ、やっておいて欲しいです。今は何かと、盛り盛りの傾向ですが、引き算もそろそろいいんじゃない?なんて。足したり引いたりするあいだにひとそれぞれの「自分らしさ」やフィット感がみえてくる。わたしも最期まで「足したり引いたり」微調整していきたい。ああそれにしても、ターコイズとか宝石のような紫とか、すてき~♪
サヴァラン Post author
Tomi*さま。
「ランジェリーのおしゃれを楽しむためには、まず自分の体が好きになれるように鍛えるところから始めなきゃならない気がして億劫です。」←同感です!わたしは友人から、トシ食ったペコちゃんと呼ばれてます。む。でもですね、わたしは図々しいのでこう考えることにしました。わたしの個人史上、「ベストプロポーション時代」は存在しなかった。これからもそれは到来しない。わたしはこれからもその「ベストプロポーション」幻想に縛られて、自分の体形を好きになれずに過ごすのか。それはもうイヤだ。うちの実母など酷いひとなので、顔を見れば「痩せろー痩せろー」と言いますけど。「そうねーたしかにねー」と聞き流すテクを身に着けつつあります。だって、わたしの「今」を損ないたくないですもの。Tomiさんの下着選びも やっぱり潔くてすてき♪自分らしく、自分にフィットすることが何よりと思います
サヴァラン Post author
ジンジャー さま。
ハンロ。ハンロ。ハンロの下着。あれはマジックですね。あれは文句なく自分をいとおしめますね♪わたしも好きでした。ショーツもそう、ちょっぴりだけレースが施されたシャツ型キャミソールもそう。世の中にはあんなものがあるんですよね。でも!ユニクロもいい!と思います。ジンジャーさま、さすが!サイズは大きめ設定ですか。自分のサイズやフィット感に忠実であっていいですよね♪誰のためでもない、自分のためですもの。シンプルな絹のランニング型キャミソール、素敵。肌触りも光沢も、言うことなし。万一ちらっと見えることがあったとしても、ケミカルレースよりうんと素敵。トラタニともども今度チェックしてみます♪
それにしてもわたしたち世代、ひとに歴史あり、ひとに下着ありで、みなさんいろんな下着への思いを大事にされてますね♪「とにかく、現状のライフスタイルにフィットすることが一番!!でございます。」←まさに同感!!ありがとうございます!