ああ、秋の風。さわさわとぴーぷーのあいだ。
日曜の午後、シュジンが乗って出た車の警告ランプがついたらしい。
ディーラーから代車で帰宅したシュジンは、ことの次第を上気した顔で話し続けた。水温の警告ランプが…クーラントが…ドレンホースが…冷却ファンが…。
どうして男のひとは、車のはなしになるとこうも説明が長いのだろう。走行中のトラブルを未然に防げたことは不幸中の幸いとして、「予定外の出費」を伴うこのはなしをどうしてそうも嬉々として語るのか。
息子を塾へ送るだけだからとぼさぼさ頭とよれよれズボンで出て行ったシュジンが、ディーラーから持ち帰った見積金額は、わたしをダブルにブルーにさせた。
「せっかくだからちょっとそのへんを一回りしてくる」。塾帰りの息子とピカピカの代車で出かけて行くシュジンは、後頭部だけが秋めいている。
おしゃれの「お」の字も、音楽の「お」の字も、映画の「え」の字も全く関心のないこのひとと、ケッコンを決めたあのときのわたしは、ひょっとすると今より崇高な精神の持ち主だったのかも知れない。
「ちょっとそのへん」というのではなく、「ちょっとおしゃれしてお出掛け」をしたいのだ。わたしは。
でもその「ちょっとお出掛け」をする場所が、住まいの近くではなかなか見当たらない。
どんな格好でもどんな人とでもどんな場所へでも行けるシュジンとは、「おしゃれなお出掛け」はもう完全に諦めた。
たまにこんなサイトで、こんな「夫婦のおしゃれ」を見てしまうと、理想と現実の間に秋風がぴーぷーと吹きぬける。
小旅行、アウトドア、テーマパーク、コンサート、ディナー。。。
ああそういえば。そういう世界も世の中にはあるのだったな。。。
この季節、みなさんは、どんなおしゃれを楽しんでいるのかな? そう思って、over40のみなさんにメルマガでお尋ねしてみた。 (※ メルマガのお知らせが下にあります)
みなさんは、それぞれの場所でそれぞれのおしゃれをそれぞれの方法で楽しんでいる!(おうちではばっちりゆるんでもいる!)
あの方もこの方も、それぞれのイメージにピッタリだ!
リアルなおしゃれのはなしをワイワイ伺って、わたしの枯れた気分はすっかり満たされた。
だって、わたしが「お出掛け」で目にしたいのは、ひとそれぞれの時間を感じさせる「正直なおしゃれ」なのだから!
それじゃぁ、わたしも!エプロンで手を拭いて、手持ちのもので「お出掛け着」を急拵えした。
「今風」とか「流行」のというのはさておいて。「時間」なら、ある。何しろどれもこれも「年代もの」だ。
茶色のペーズリーのワンピースは……そうか、23年くらい前の名鉄百貨店のポール・スチュアートで。あのときの店員さんのお顔も覚えているなぁ。赤と緑と黒と紫のツギハギ風スカートは……、息子が生まれる3日前に松坂屋のシビラで買ったもの。「ご試着を」と言われて笑って断ったんだった。つまり……これは丸12年前のもの。深めのえんじ色のブーツは山形の七日町の靴屋さん。……ということは、これも15年くらいは経っている。
トッパー風のハーフコートは、3年くらい前に手に入れた「新参者」で、自分では「ちょっとだけ『ダウントン・アビー風』」ということにしている。
以前のように、「あれが欲しい!」「これが着たい!」とは不思議と思わなくなった。
その理由がどこにあるのかは………、この際うやむやのままにしておこう。
ただ、もし、誰かに「今」欲しいものは?と訊ねられたら、答えは既に用意している。
欲しいものは、お出掛けの場所!そこにいるリアルな人からの刺激と温度!
嗚呼、秋風が吹いている。
※ 本日、午前10時、メルマガ第23号が配信されています。
タイトルは「リアルクローズを探る!おでかけ、何着てる?おうちで、何着てる?」
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テレジア
どちらかというと、私は嬉々として 車の装置について聴きたいし、話したい 特異な人間かもしれません。
構造を知る ということ、どこが壊れているかわかる ということに 喜びを 感じるんですね。不思議と。
「おしゃれ」というものに対して、抵抗があるのでしょう。実体の掴みにくいものに関して私は非常に
苦手です。
”ひとそれぞれの時間を感じさせる”というものが 「おしゃれ」なのかと人生初 知りました。
脳に少々の障碍を抱えているのと、どうやら 私自身が男性脳らしいので、イメージしにくい
つかみどころのないものは、苦手なのだと わかりました。
そして、世の中の女性は こうやって コーディネイトをするんだな ということも。
サヴァランさん、素敵ですね。
tsukimachi
サヴァランさん こんにちはー!
座右の銘 「人生はセンス」 のtsukimachiでござります。
(着る・見る・食べる・遊ぶ・聴くなどなど、人生で選ぶ行為すべて、の意)
秋生まれのわたくしは、オシャレのたのしくなるこの時季以降が大好きで
この20年を思い返せば、感心するほどの物欲、ほんとうにあれやこれやと愉しんでいました。
が、現在。
ある程度のものは持ってもおり、惹かれるものに出逢うことも少なくなり
わたしバタバタしておりますもので!と横着になり(これが比率7割)
同じような装いばかりをチョイスしてしまう自分に「おい、コラコラ」な日々です。
欲しいものはおでかけの場所、これはほんとうにそう!
よくぞ言ってくださいました!ぶらぼー!
わたしのお店、以前は郊外にありましたので、オシャレして行く場所が今のお店周辺でした。
その場所が日常化し、おでかけの場所から毎日の風景に変化
オシャレ脳が衰退しているようです。
(でもこれも自分次第なのはわかってはいるのです、はい。)
逆に夫は、お休みの度にとてもたのしそう!
今日はこれを着よう!これとこれを合わせたらどう?
ああ、あれが欲しい、あれを見に行こうとシャレ欲の塊です。
その姿、とってもうらやましい!
おでかけの場所だったこの街が日常化した今のわたしにも、1番欲しいものは
カムバックおでかけの場所!とカムバック新鮮だと感じる脳!です。
nao
おしゃれをして行きたくなるような場所、欲しいですね-。
美術館はどうですか?
あと、自分のセンスは迷子になっているので、おしゃれな友人に会って
褒めてもらったり、ダメだしされたりするのも楽しいかも。
夫はね、うちも全然どころか
何十年も前のヨレヨレを捨てたがらず、着て出かけようとします。
息子もそういう男に育ってしまい、
今時のおしゃれな若者を見かけると、ひそかにうらやましいです。
サヴァラン Post author
テレジアさん
そうそう。テレジアさんはメカニックにお強いんでしたね。工具なんかも上手にお使いになったはず。。。
わたしは上の文章で「どうして男のひとは…」などと、とてもステレオタイプな書き方をして、今それを反省しています。個人の特徴をその属性で語ろうとするのって、とても安直でいやらしさのある方法ですよね。ああ、いかん。いかん。
>”ひとそれぞれの時間を感じさせる”というものが 「おしゃれ」
すみません。これもとてもあやしいです。何しろわたしのとても恣意的な感想なので。。。
ひとの関心や感覚というものは、もともととても個人的なものなので、ひとどうしがそれらを語り合うときには共感~反感までのさまざまなグラデーションがたち現われるのが必然なのでしょうね。でも、そのグラデーションこそが、ひととひととのコミュニケーションの醍醐味だとわたしは思っています。
あ。手持ちの洋服の写真は、生まれて初めてやりました~^^
サヴァラン Post author
tsukimachi さん
ねーねー、あれは自分でも感心する物欲でしたよねーーー。
「ムラムラ」と言えば、「物欲でしょ!」という感じで^^
「秋」といえば物欲の豊年満作の季節でしょー!
みたいな。
わたしは今は山口というカントリーサイドのおばさんですが、
生まれてから長年過ごした名古屋という土地が、
カントリーともシティーともどちらとも言い切れない中途半端な土地柄だったせいか、
「洗練された都会的な」ものへの憧れが、
「ものごころがつく」のとほぼ同時に長~いこと続いておりました。
そう、あれは「生きる欲求」と同義だったかも知れない^^
ああ、それなのに。それなのに。。。
ここOVER40には「いつまでもあると思うなムラムラとヌレヌレ」という部長の名言がありますが、物欲方面のムラムラとヌレヌレの枯渇というものも、年頃のわたしたちを悩ますものですねぇ。。。
「欲しいモノはお出掛けの場所!」
一緒にこぶしを握っていただけますか?
ねぇ!ねぇ!これってカントリー組の悲願ですよねぇ!!
あ!わたしはtsukimachi さんのお店へ「欲求」を充足しに行きたいわ!
そしてわたしの眠りこけている「新鮮さを感知する脳」を喜ばせたいわ!
ついでに、tsukimachi さんのダンナさまの「おしゃれ心」を
ほん少しでもうちのシュジンに分けて欲しい!というのも正直なトコロ^^
ああ!tsukimachi さん!
おいでませ40’sへ!
枯渇と渇望
瞑目と瞠目
諦念と妄想のミラクルワールドへようこそ!
歓迎の言葉が遅くなってすみませんm(__)m
サヴァラン Post author
nao さま コメントありがとうございます!
美術館、行きました!
ああ、あと数館、近場で行ける美術館がほじいなぁ~~~。
わたしの周囲のママ友は
みな揃ってとっても若い&スマートなので
もうなんというか
「その手の話題はわたしがいるときはカンベンね」な感じです。
子どもが幼稚園の頃は彼女たちの間でナチュラル服が全盛で、
「ちょっと可愛いかも」ってまねっこをして見事にばばっちいおばちゃんになったとき…
そう、あれも秋だったなぁ。。。るるるるる~
あら?ご主人さまも「ヨレヨレ」がお好きですか?
「ヨレヨレ」の美学ってものがもしかしたらあるのかしら?
うちは里帰り出産した病院へ、
シュジンがヨレヨレ服にくたくた靴でにこにこやって来た時は
「山口へ帰って着替えてきなさい!!」ってあやうく言いそうになりました。
(あの時も 着るものの指示書まで残したのになぁ)