相手を慈しむセックスは、あんなふうにパンツを脱いでほしい。
カリーナが追記して送ったもの(2015.3.23)ですので、前メールとは直接はつながっていない部分があります。
1回めからご覧になる方はこちらからどうぞ。
【 カリーナ→ あきら 2015.3.23】
「ゆるんだ肉体」だけがもつことのできる
湿った性行へのいざない。
あきらさん
メールをいただいたとき、
わたし、ちょうど忙しくしていてざっくりとしか返事が書けなかったのだけど
公開にあたって読み返したら、いろいろ書きたくなりました。
あきらさんのブログの該当記事を改めてしっかり読んだせいもあります。
「紙の月」、原作も読んでいなければテレビも映画も見ていません。
原作も映画もよかったようですね。
でも、
なかでも
「横領などする機会も信用も持ち合わせていないにもかかわらず、
日常からふわりと離陸してゆく梨花を遠い存在には感じませんでした。
離陸してしまえば、そのことは期間限定の煉獄であるとしても、
静かにふわふわとした覚束ない日常に化けてしまう」
「ああ、恐い恐い。
紙の月は舞台装置の中だけでなく、
女の心のひとつひとつでペカペカと光っているのかもしれません」
あきらさんの表現が恐いよー。
その「ああ、恐い恐い」が恐いよー。
それにしても宮沢りえさん。
あきらさんも書いてらっしゃるように
とても痩せていますね。
「ヨルタモリ」を見ても
ほんとの意味で知的で思慮深く、魅力的な方だなあと思うのだけど、
バレエ団の禁欲的なプリマみたい。
ある種の「痩身芸術」と名づけたいくらいです。
実は、ようやくフランソワ・オゾン監督の「17歳」を見ました。
「まだ、見てなかったのーー!?」というあきらさんの声が聞こえる(笑)。
うん。見てなかったの。で、見たの。
おもしろかった!
ひとつにはフランスのバカンス風景は、いつ見ても美しくていい!
フランス映画の中年女性がバカンスで着用するワンピースも、
いつ見てもいい。日焼け、そばかすのある胸、シワ、そしてワンピース。
あと17歳の売春の動機が
わかるような、わからないようなで
あいまいなところがよかった。説明のなさがよかった。
その「あいまい」な「離陸」ゆえの日常の葛藤と苛立ちを
シャーロット・ランプリングが
何となく「着陸」させたのではないか、と思わせる
これもまた、わかるような、わからないような
しかしやっぱり納得してしまう説得力がよかった。
あの二人の女に通じ合ったものを
あきらさん、また恐い言葉にしてくれ。
それから「そこのみにて光輝く」も見たんですよ。
池脇千鶴の傷んだ茶髪と
わずかにゆるんだ肉体がすばらしかった。
「ゆるんだ肉体」だけがもつことのできる
湿った性行へのいざない。
肉体のゆるみは、湿り気を予感させますね。
エロスという蒸気がモワーッと立ち上る。
痩身芸術の対極、なんじゃないかな。
綾野剛がセックスするときの
パンツの脱ぎ方もよかったです。
美しかった。
相手を心の底から慈しむセックスは
あんなふうにパンツを脱いでほしいと思います。