伏兎というツボ
伏兎(ふくと)というツボが太ももにあるそうです。
太もも前面まんなか辺で、正座をしたときに太ももの前に盛り上がる大きな大腿直筋という筋肉(大腿四頭筋のひとつ)の外縁で膝のお皿の上端から親指の幅6本分くらい上がったあたり。
大腿四頭筋のもりあがりを草むらなどで兎が伏せた様子に例えたことから伏兎というそうです。他に昔車輪を車軸に固定するのに使った伏兎という道具に似ているからという説も書いてありました。
私が正座してもあんまり筋肉は盛り上がりませんが、昔の人のたくさん使われて鍛え上げられた大腿四頭筋は兎の背中っぽく盛り上がったのでしょう。その兎もただのんびり伏せているわけではなく、いざとなったら草むらから飛び出して走り去る緊張感を持っていて、その張り詰めっぷりが大腿四頭筋の筋肉の張りに似ていたのでしょう。
伏兎のツボには飛び出す脚力が内包されているようです。

ツボが並んでいるルートを経絡といいますが、伏兎は陽明胃経という長い経絡上にあります。陽明胃経は鼻から始まって顔でちょっと上下に枝分かれして下に向かうものは体の正面をおりて脚の前外側、足の甲を通って足の人差し指で終わる経絡です。胴体の部分では体の内側と表面側に別れて、内側は胃などに連絡しながら脚の付け根で表面を降りてきた経絡と合わさると考えられているそうです。
そのこともあって伏兎のツボは脚の症状(痛みとか動かしにくさとか)に対応するほか、胃の症状にも対応するようです。太ももの外側には伏兎のほかにも陽明胃経のツボが縦に並んでいるので、さすったり押したりすると良い気持ち。
有名なツボの足三里(奥の細道で出てくるやつ、脛にある)も陽明胃経でした。
さてうさちゃん自身には伏兎のツボはあるのでしょうか。『うさぎと暮らす ホリスティックケア』という本にいくつかツボが書いてありました。伏兎は載っていませんでしたが、足三里のあたりには後三里というツボがかいてありました。
うさちゃんは怪我のため脚が若干弱く、年とともに不自由さが目立つようになってきています。ブラッシングの際に脚をマッサージしてやりますが、こんど伏兎を意識してみよう。マッサージしてやるとなんとなく動きやすそうなのです。
でもあまりしつこくすると「もういいよ-」と膝の上でホリホリを始めたり、下僕の腕をちょっと噛んだりしますのでやり過ぎ注意です。

お気に入りの場所で伏兎の姿勢で半眼になってうとうとしているうさちゃんにも下僕が「ブラッシングしようねー」と捕まえに来る事態に備えて若干の緊張感がありますよ。