YUKKEの今日もラテンステップで ~VOL.2
お屋敷街の一角。薄汚れたタクシーから降り立った中年太りの男性が、門にもたれていた。
これまた中年太りの女性の腰をぐっと引きよせて、がっしりとハグを15秒ほど。
それもギューギュって感じで、まるでゆるキャラのキグルミ激突という風景が決まって夕方5時ごろに毎日繰り広げられる。
実はこれ、お隣で働く妻を迎えに来たタクシー運転手のご主人とお手伝いさんによって毎日繰り広げられるシーン。彼女は、7時間ほど前に彼のタクシーでこのお屋敷にやってきて掃除や洗濯の仕事をすませたはずなので、7年ぶりの対面ではないはず。そしてハグをほどき互いの顔をながめ、軽くベシート(キッス)して車に乗り込む。ちょっとぉ、おうちに帰ってからにしたら…とは誰も言わない。
なにかと手順が大げさで、「ハーイ!お元気?調子はどう?ありがとう。おかげ様で。あなたは?」みたいな丁寧な挨拶のやりとりをしてから「卵1ダースちょうだい」と、礼儀正しく用件をきりださなくてはならないメキシコなので、日常の夫婦の挨拶も本当に手が込んでます。
先日NHKのTV海外放送で、難病の子どもを苦労しながら育てたお母さんへ家族がサプライズプレゼントを仕込むという番組を見ました。ラストシーンは家族中が号泣して感極まっているのに、妻と夫は1.5メートルほどの離れていて、距離がぜんぜん近づかないまま。きっとカメラマンは、はやくハグしてくれ!とずっと待っていたはずだ。強烈なハグを見慣れている私も、いつ距離が縮まるのかと期待して待っていたけど、最後まで夫婦は近づかず。ようやく「プレゼントありがとう」といいながら妻が夫に手を差し伸べて握手だけでした。
つまらない。とっても残念。感情を素直に表現したりするのが本当に下手な日本人。テレビカメラが回っていなくてもきっとあの夫婦の距離はそのままだったと思うわ。
挨拶同様、言葉にしないと解らないことがたくさんあるし、ギューっとハグするのは、なんとも女性ホルモンを活性化させる。
こういうふうに公然と愛情を表現するせいか、なぜか中年の小太りなおばさんでも妙に夫に対して自信にあふれている。どうですか?たまには、夫との距離を、ハグで埋めるっていうのは?ちょっと羨ましいぞ!
★メキシコって美しい国なんですねー。
今日は「和菓子のアン」という本が紹介されています。面白いですよ♪
YUKKEさんのブログはこちら →→→ ジェット妻ストリーム2
★コメントには、YUKKEさんが直接お返事します!質問や感想をお寄せ下さいね。
この「運転手さん夫婦」の自意識はどうなっているのか、とか。
メキシコに来て以来、YUKKEさんご夫妻もハグのベテランになっているのか、とか(笑)
あ き ら
こんにちはー! たのしみに拝読してます !!
初回の、国よって女の打ち出し方の基準が違うという、実感がこもったおはなしにふむふむ。
「まるでゆるキャラのキグルミ激突」に大笑いしながら、なるほどなるほど!! 興味深いです。
この頃アメリカのドラマなんか見ながら、身体的にも、ヒューマニスティックな共同作業をすべき
という意識。つまりたぶん日本人とは感覚が違って、共同作業として作り上げるメイクラヴという
イメージなんだろうかなぁ。。とか、そのことはあちらではパートナーとしての義務でもあるんだな、
とか。 キリスト教意識も関係するわなぁ、とかそんなことを思っていたところでした。
ラテンのお国ではそれとはまた違っていて面白そう♪♪ アドモドバル(スペイン)監督の映画なん
んかに通底してる感覚を思い出すような。
Tomi*
はじめまして。
アモーレの国の女性達のリアルな様子を知ることができて、とても楽しいです!
セクシーとかアモーレとか、私の最も苦手とするところなのですが
お腹の出た中年夫婦が公然とハグし合うなんて、とっても大らかでいいですね〜
日本でこれをやったら顰蹙を買いそうですが…
はい、質問で〜す。
「YUKKEさんご夫婦もハグのベテランになってらっしゃるのでしょうか?」
私のブログでもこの記事を紹介させていただきました。
これからも楽しみにしていますね♪
YUKKE Post author
あ き らさん、初コメありがとうございます。
ドキドキしながらスタートした連載、それもラテンからなので、みなさんどうかしら?って思っておりました。楽しんでくださると嬉しいです。
なんたって、人生を楽しむことの天才的なお国柄。夫婦の関係や恋人との関係も楽しい人生と直結ですものねぇ。
公共の目とか、アモーレ・コードなんて全く気にしないハグが、あちこちで展開中で、中年も大いに愛情表現を楽しむ姿勢見習いたいです。
スペインの影響まで考えが及びませんが、これからもご近所のアモーレを拝見して、楽しみたいです。ありがとうございます。
YUKKE Post author
Tomi*さま
私も公然な愛情表現は、いまだ苦手です。夫はもっと苦手なのできっと拒否されちゃうでしょう。
ただですねぇ、私も夫もメキシコ人との「ハグ」や「ベシート」(ほっぺにチュ)は、かなり洗練されてきましたよ。
メキシコ人男性とハグしてチュっとするときですが、このタイミングと、相手の様子(してもいいか、どうか?)の見計らいのタイミングがあります。
メキシコ男性(いちおう礼儀正しいジェントルマン)の場合、初対面では、自分から握手して引き寄せて、ハグしてチュはしません。でもこの挨拶の方法はとても大事なマナーなので、私はきちんと紹介されたり、親しい友人のご主人さまには、このベシートをします。
まずは、握手、そして相手をちょっとひっぱると、自然にハグ、そしてチュという流れまでをスムースにできるようになりました。いきなりハグじゃないのよね。
この相手の出方を待つころ合いって、愛情の駆け引きみたいでスリルあります!
ブログ拝見しました。大宣伝いただいて、とってもこそばゆいですが、今後もよろしくお願いします。
ニャンコちゃんのハグ、可愛いですねぇ~!