ゆみるからカリーナさんへ。2023年10月5日
これは一昨年、カリーナとゆみるがメールで交わした往復書簡です。
カリーナ様
気が付くといつのまにか空も高くなって待望の秋がやってきました!頚椎症の具合はいかがですか?痛みがすっかり軽快されていると良いのですが。

歴史のある文学スクール!いつもカリーナさんの文章を、ペンで身を立てている(いや現代ではキーボード?)プロはさすがだなぁと思いながら読ませていただいているのですが、プロとは更なる高みを目指すものなのですね。
私は7月から居住区の区民後見人養成講座に参加しています。先日前期講習を終えての感想文提出とテストが終わり(その準備のために9月の黒ヤギは1回お休みさせていただきました)、現在後期の実習や講義に参加できるか結果待ちです。
区民後見人は社会福祉協議会の監督のもとに、認知症や精神障害、知的障害により判断能力が不十分な方のために、本人に代わって財産管理や契約手続きを行います。
きっかけは区報の区民後見人養成講座募集の記事を見たことでした。夫も亡くなり子供もいない私は将来後見人のお世話になると思い、少し前から後見人のことが気になっていました。そしてあと数年で迎える定年後の時間の過ごし方もちょっと視野に入れて。

応募にあたり400字以内で応募動機を書いた作文を提出し、参加を許可されて講習が始めました。受講生の年齢層はだいたい40代から70代で男女半々という感じ。友人のにゃんこ先輩に講習を受ける事を話したら、「あなたにピッタリ!これからはますます(後見人は)必要になるからね」と賛成してくれて心強かった。
少し前に「女性の人生後半のHAPPYな過ごし方」についての講演を聴く機会があり、その時の講師のお一人が「(中略)もし興味があるなら現在活動中のボランティアグループに参加することをお勧めします。すでに活動しているグループに参加することで活動のノウハウを学ぶことが出来る事。そして他人のために何かをしようと考える人は、体力的にも精神的にも余裕のある人達なので悪意のある人が少ないから。」と話していたことを、養成講座を受けながら本当だなと実感しています。

養成講座に参加して3か月。私はさておき参加者の皆さんは本当に善男善女。そして講習を主宰してくれている区の社会福祉協議会の職員さんも、仕事とはいえとても熱心に対応してくれています。
夫が亡くなってから夫が生きていたらと寂しくて悲しくて、夫婦で歩いている人たちを見る度にとてもうらやましかったのですが(今でも正直ちょっとうらやましい)、最近は今の私がいるのも一人になったからと少し思うことも。

な~んて真面目で前向きな人ぶってしまいましたが、夫が亡くなってやっと3年が経ち涙を流すことも少なくなったので、最近やっとアイラインを引けるようになりました。
去年8月の黒ヤギで執行猶予3年と書きましたが、友人の言っていたことは本当だったなと改めて実感しています。これからは猫たち3匹のために健康に気を付けて、いつまで続くかはわからない人生の後半を、少しでも楽しみながら過ごしていきたいと思います。

最後に一つだけ。子供のいないご夫婦は可能でしたらお互いに遺言状を書くことをお勧めします。日本の法律(民法?)は「家」を守ることに重きを置いているので、ご存じの方も多いと思いますが、子供がいない夫婦の場合は遺言書がないと配偶者が亡くなった場合、残された配偶者が全てを相続することは出来ません。私が相続の手続きに苦労している様子を見て、数組のご夫婦が遺言書を書いたと報告を受けています。頭の隅にでも置いていただけたら嬉しいです。

楽しくもhappyでもない私事を読んでいただき心から感謝いたします。
今回で「夫亡き日々を生きる」は最後となります。私カリーナの誘いに答えて、毎回丁寧なお返事をくださったゆみるさんに心から感謝します。そして、月に一度の連載を長きにわたって読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました。