帰って来たゾロメ女の逆襲⑰ ~そろそろベスト本選定の季節です。とりあえず今回は前哨戦、の巻~
今年も残すところ50日足らずになりました。
前回から言っててしつこいですが、もうすぐ年末です。
年末恒例行事で私がまず念頭に浮かぶのは、クリスマスでも年賀状書きでも大掃除でもなく【今年のベスト本選定】です。
そもそもはお知り合いのブログの企画にお誘いいただいたのがきっかけで、2000年から発表していたのですが、ブログの更新がなくなったここ2~3年も、職場や個人レベルで1年を振り返りつつ選ぶことが極私的慣わしになっています。
順位などはつけず、印象的だった3冊程度をセレクト。
新刊旧刊は問わず、フィクションもノンフィクションもごちゃまぜ。
その年に読んだものであれば、こぞって候補(「自分がルールブックだ」by二出川延明審判員)ですが、自分なりに基準があるとしたら「読んだ前後で世界が変わった気がする本」でしょうか。
・・こんな風に書くと大げさですが、「変わった気がする」部分はほんの些細なことでもいいのです・・というか、些細なことばかりです。
たとえば
本を閉じて外を見たら景色がいつもより瑞々しく見えたとか
やみくもにドロドロの恋愛がしたくなったとか
猫を飼いたくなった
くっそー!刹那的に生きてやる!
また学生をやってみたくなった・・・etc。
実行しなくても、その変化が長続きしなくても、いいのです。
高尚でなく下世話でも、ネガティブな変化もそれはそれでヨシ。
とにかく、読む前とは違った世界に自分がいると感じられること、それが自分の「ベスト本」の基準みたいです。
今年は例年より読書量は少なめですが、2013年版も楽しんで選びますので、乞うご期待!・・なんちって。
そんなわけで、前哨戦として(?)今回は10年間に選んできたベスト本を発表させていただくことにしました。
◆2003
『ウランバーナの森』 奥田英朗
『PAY DAY!!!』 山田詠美
『燃えよ刑務所』 戸梶圭太 ※悪ふざけ小説を書かせたらこの人の右に出る者はいません
◆2004
『村田エフェンディ滞土録』 梨木香歩
『魔女は夜ささやく』 ロバート・R・マキャモン
『これを読んだら連絡をください』 前川麻子 ※ヒリヒリし過ぎる恋愛小説 いけ好かない登場人物ばかり 衝撃でした
◆2005
『肝、焼ける』 朝倉かすみ ※なんだろう、このショック、と思いつつページをめくりました
『はなうた日和』 山本幸久
『なんにもうまくいかないわ』 平安寿子
◆2006
『オリガ・モリソヴナの反語法』 米原万里 ※本当に惜しい人を亡くしたとしばらく米原喪失病に罹ってました
『私の10年日記』 清水ミチコ
『博士の異常な健康』 水道橋博士
◆2007
『イトウの恋』 中島京子 ※新しい風を起こす小説家が登場したなあとワクワクしつつ読みました
『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ
『憲法九条を世界遺産に』 太田光・中沢新一
◆2008
『ドキュメンタリーは嘘をつく』 森達也
『出星前夜』 飯嶋和一 ※好きな作家は?と聞かれると、飯嶋さんの名前を挙げます 骨太で大好き
『かもめの日』 黒川創
◆2009
『女中譚』 中島京子
『不細工な友情』 光浦靖子・大久保佳代子 ※これを読むと、現在の大久保ブレイクの違った側面が見える気がします
『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎
◆2010
『床屋さんへちょっと』 山本幸久
『チャイルド44』(上下) トム・ロブ・スミス ※キツかった!でもグイグイ読んでしまった 続編もオススメ
『小さいおうち』 中島京子
◆2011
『考えの整頓』 佐藤雅彦 ※この年は小説より生身の頼りがいのある言葉に反応してたんだなあ
『間違う力』 高野秀行
『小島慶子 キラ☆キラ』 小島慶子
◆2012
『母の遺産 新聞小説』 水村美苗
『飼い喰い』 内澤旬子 ※内澤さん、カッコよすぎる!食に対する概念が間違いなく変わりました
『本にだって雄と雌があります』 小田雅久仁
こうして並べてみると、今でも心に沁みる永遠の1冊的な本もあれば、「へえ~こんなの選んでたんだ!?」と全く覚えていないものもあります。
そして、読んでいたときや、選んだときの自分の状況、をうっすら思い出したりもします。
あのときは攻めてたんだなーとか、いろいろ迷ってたなとか、○○に心が向いていたのね、みたいな。
きちんと日記をしたためる習慣はありませんが、ベスト本は1年というスパンで日々を総括した・・そう「3行の年記」とも言えるかもしれません。
意外と、面白いですよ。
by月亭つまみ
こんなブログもやってます。ユルい気分のときにご覧下さい♪→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
爽子
つまみさんの紹介してくださる本を後追いして、図書館にリクエストしています。
とても楽しいです。^^
ずらずらーーっと並んでる中で、三冊読んでます。
中島京子さんが二回選ばれてますね。メモメモ。。。と。
悪ふざけ小説と、いけ好かない人が出てきて衝撃をうけた恋愛小説の赤字に目が吸い寄せられました。
読むのがほんとうに遅いので、ゆっくり楽しませていただきます。
本は好きです。本の中で遊覧飛行するのです、妄想全開にヒリヒリする恋がまだ出来そうな気がしてくるのです。
つまみ Post author
爽子さん、コメントありがとうございます。
爽子さんのゾロメ女度数は10%ですね(笑)。
「なんか、本を読みたいなあ」と思ったときに、ちょこっと参考にしていただければ、とてもうれしいです。
>本の中で遊覧飛行するのです。
ステキな表現ですね。
そうそう、妄想の中ではなんだって出来ますし、実際も出来そうと思うのが人生にうるおいを与えてくれると思います。
心は自由だヽ(´▽`)/
ちーこ
みごとに読んだことのない本ばかりでした!!
知らない作家の方もいらっしゃり、ゾクゾクします。
メモして、早速、ブックオフへGo!
以前から、この別冊で何度か紹介があり気になっていた「床屋さんへ」が¥105円で手に入りましたので、今から楽しみです。
山本幸久さんのお名前も恥ずかしながら、この別冊で初めて知ったのですが、ブックオフには「や」のコーナーじゃなくて、この方の独立したコーナーがあってビックリしました。
人生、日々勉強です。
水村美苗さんの他の本がありましたので、それも一緒に。
私の最近のベストは吉田修一さんの「悪人」です。何でも図書館で済ましてしまうのですが、これは自分で買い直しました。
気分転換は三浦しをんさんのエッセイがダントツです。
「3行の年記」いいですね。私もやってみよう!
つまみ Post author
ちーこさん、コメントありがとうございます!
山本幸久さん、独立したコーナーがありましたか。
なんだかちょっとうれしいです。
「床屋さんへ」、読み終わったらぜひ感想を聞かせて下さいまし。
「悪人」、一度読んだのですが、また読みたくなりました。
三浦しをんさんのエッセイはちゃんと読んだことがありません。
今度、読みます!
はしーば
つまみさん、こんにちは。
『チチカカ』と合わせて楽しませていただいております。
私のゾロメ女度は30%でございました。
『ウエランバーナ』・『オリガ・モリソヴナ』・『私を離さないで』の3冊です。
特に米原万理さんは、私も一昨年その喪失病に罹患しておりました。
友人の薦めで読んだ、『旅行者の朝食』をきっかけにエッセイを読み漁り、
『オリガ』にたどり着き、ついに滂沱の海に沈んだのでした。
もっと彼女の長編小説が読みたかった。
『私を離さないで』は、夫に薦められて読んだ最初の本です。
何とも言い現せない、不思議な非現実感の漂う物語に陶然となったのを
思い出しました。
他にもオモシロそうなタイトルがずらり。
早速、図書館の予約待ちが満杯になりそうです。
今年のベスト本選定、楽しみにしております。
つまみ Post author
はしーばさん、ありがとうございます!
米原さん、本当に「もっと読みたかった!」と思いますよね。
クールなコメンテイターとしても稀有な存在だったと思います。
『私を離さないで』の感想、わかりますわかります。
暗い井戸の底を覗いたような心持ちになったことを思い出しました。
本選びの参考にしていただけて、光栄です。
今年は、選ぶほど読んでいない感じなのですが、少数精鋭で(?)選定します!