◆◇やっかみかもしれませんが…◆◇ 番外編 「私家版・逃げ恥」
例年になくエキセントリックな夏も後半(と思いたい)ですが、いかがお過ごしですか。
暑いってことだけでこんなに疲れるとは!な夏ですが、人を死に至らしめるような暑さそのものと共に、今年は特に、自然災害の脅威を強く感じています。
こんなに「数十年に一度の災害が迫っている」「今まで経験したことがない量の雨」という言葉を聞いた夏はありません。映像で知るだけではありますが、その破壊力は本当にすさまじく、自分の住む場所も含めて、今まで数十年間、自然によって景観が変わらなかったことの方が奇跡のような気さえしてきます。
平穏とは奇跡の積み重ねなのだと思い知る平成最後の夏です。
実は、個人的にも平穏のかけがえのなさを思い知る夏となってしまいました。
わが家が、精神疾患に罹患していると思われる70代女性(独り暮らし)のターゲットになり、頻繁に襲来されるようになってから、もう2か月近くになります。
毎日来るわけではないし、ケガをさせられたり、家を壊されたわけではありません(そうなったら、とっとと警察に捕まえてもらえます)が、カメラに顔が映らない絶妙な場所からインターホンを続けて押されたり、ランダムな時間帯に外から大声で、時には30分も罵詈雑言を浴びせられたり、夜遅い時間、わが家の前に座られていたことが後日判明したり、その女性の被害妄想を鵜呑みにしたおせっかい(全て高齢男性)が我が家に次々とやって来たり…で、ぐったりしています。警察の警告などモノともしない女性が、毎日自由に自転車で町内を元気に走り回っていることに反吐が出ます。
その都度通報し、状況は克明に記録し、警察署の生活安全課に相談に行き、最寄りの交番にも足繁く通い、その女性の福祉担当者(生活指導員とケアマネージャー)にも複数回会っているのですが、いまだ解決にはいたっていません。今朝(8/23)も自転車で来て、暴言を吐き捨てて行きました。
暑さと、要介護3の義母がこのところ不安定なことも拍車をかけているのかもしれませんが、食欲も減退気味で、このままだと本格的に精神状態がヤラれてしまうような危機感があります。
で、ちょっくら避難することにしました。向こうが来ることを止めないのならこっちが逃げるしかないというシンプルな構図です。家そのものには愛着がありますが、住んでいる場所には執着心はありません。
うっかり今の家に長居して33年も住んでしまっているけれど、思えば18歳で上京するまで、私は合計8回の引っ越しをし、小学校も3回変わったのに、特にネガティブな思い出はないし、一時的な寮生活にもすんなり慣れ、夫の両親との同居もふわふわっと続いたのであった。ってことは、もしかしたら、めんどくさがりなだけで、適応能力はけっこうあるのではないか!?こうなったら、トシは食ったけれど、別荘感覚でしばらくマンション暮らしもいいんじゃないの?と。
とはいっても、義母の入居施設を探し、夫と自分と猫が安心して暮らせる場所を確保するのは、経済的にはもちろん、いろいろハードで、不測の事態も勃発し、Twitterで弱音を吐き、現在も奔走中という次第です。
でも、いつ収束するかわからない妄想オバサンの嫌がらせに付き合い続ける体力も気力もないし、もはや人生バリバリ後半の夫と自分には「平穏」こそが生活の最優先の金字塔(?)なのだと、今回の案件で痛感したので、中高年骨にムチ打って、らしくもないくらい頑張っています。
身体にしろ、心にしろ、世の中に障害を持つ人は少なくありません。そもそも、障害を持つ人と健常者の明確な線引きなど私にはよくわかりませんが、今まで「高齢であることや認知症も含めた多様な“ハンディキャップを持つ人”に優しい社会を作ろう」というスローガンにはもろ手を挙げて賛成してきました。が、はたして、自分を含めて、人は社会は、その意味を、コトの大きさを、きちんとわかっているのでしょうか。
これは、7月下旬に開催されたイベント「カイゴ・デトックス」でもひとつの大きなテーマになっていたことですが、認知症や寝たきりというハンディキャップは、持っている人にはもちろん、それをサポートする側にも本当に過酷で複雑でいろんな側面があるものなのに、ややもすると社会は、現実の厳しい部分には目を背け、単純化して、ただハンディキャッパーの味方をきどり、覚悟も知らないまま、キレイゴトにしようとしていないか。行政も、サポートを職業とする人も、実情は知っていても、心理的には案外、その域を出ていないんじゃないか。
人権や個人情報を守ることは大切です。でもそのことに躍起になるあまり、たとえば、そのハンディキャップによって、基本的人権をないがしろにされたり、日常生活に支障をきたしたり…要するに「平穏」な生活ができない人がいても、その人のことは「社会的弱者じゃないから」という理由だけで、これといったフォローをせず、ただただ我慢を強いていないか。自分でなんとかしろ、に終始してないか。
…申し訳ないけれど、今回、件の女性の福祉関係者と話して、そう思ってしまった自分がいます。被害者意識が言わせていることはわかっていますが、なににつけ、口だけなら、理念だけなら、いくらでもご立派なことが言えるんだよなあ。崇高な理念があるなら、実際に動けっつうんだ!
あと、今回のことで気づきました。身の回りが不穏だと、自分は、人としての正しさとか、ていねいな暮らしとか、政治のこととか、もうホントにどうでもいいと思ってしまいます。人間がちっちゃいぞ!
by月亭つまみ
◆木曜日のこの枠のラインナップ
第1木曜日 まゆぽさんの【あの頃アーカイブ】
第2木曜日 つまみの【帰って来たゾロメ女の逆襲 月刊 切実本屋】
第3木曜日 はらぷさんの【なんかすごい。】
第4木曜日 つまみの【帰って来たゾロメ女の逆襲 やっかみかもしれませんが…】
まゆぽさんとの掛け合いブログです。→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
匿名
平穏は実に大事なことです。
凜
つまみさんこんにちは。
とてもとてもたいへんな思いをなさいましたね。
以前、自治会の役員をしていた時にクレーマーに何度か押し掛けられ玄関先で怒鳴り散らされたことがありますが、それだけでも消耗しました。
つまみさんとご家族のご疲労はいかばかりかと思います。
新居さがし、たいへんですが、平穏な暮らしがいちばんですよね。以前大阪で夜間に見知らぬクレイジーが玄関わきの窓を壊して侵入し、就寝中をめった刺しにされたご家族がおられましたが、災難という言葉ではすまない事態ですよね。
不穏な生活だとほかのことはどうでもいいと思うのは当たり前です。当然の感情です。ぜんぜん人間ちっちゃくなんかないですよ!!
お引っ越しさきで、きっと今までの分を補って余るだけの良いこと・素敵なことがきっとありますよ!
ところで「さざなみのよる」やっと読みました。良かったー・・・。これはまた後日読み返すと思います。勝手な感想ですが、なすみとつまみさんがすごくだぶって感じました。(お人柄が)
はしーば
今朝、コメント欄に色々と書き連ねていたら、何だか全部がつまみさんにとっては気休めにしかならないんじゃないかと全部 消してしまいました。
でも、やっぱり思い直して書きます。
全然ちっちゃくなんてないです!
精神的圧迫ほど心身共に疲弊度が高いことありません。
ここから先、なるべく速やかに平穏な生活を取り戻せますようにお祈りしています。
つまみ Post author
匿名さん
そうですよね。
ちなみに、サイトのキーワード検索に「平穏」と入れたところ、ヒットの半分は私の記事でした。
つまみ Post author
凛さん、こんばんは。
怒鳴られるって、それがどんなに見当違いで間違ったことでも、消耗が激しいなあと思い知りました。
お優しい言葉、ありがとうございます。
うれしくて涙が出ました。
それにしても、なすみとだぶるなんて!!望外過ぎる!!!
光栄過ぎて、走り出したくなりましたが、わが家の部屋も廊下も短すぎました。
急いで『さざなみのよる』を読み返そうとするも、この前、友達に貸したというかあげてしまったのでした。
もう一回買うっきゃない!
つまみ Post author
わーん!はしーばさん!!
ありがとうございます。
そうですね。まさに疲弊しかけていました。
逃げる、と決めたら、決めただけでずいぶん精神的にラクになった気がします。
実務的ないろいろはめんどくさいですが、これも平穏のため。
うっす!!
ゆみる
つまみさん、暑いなか本当に大変ですね・・・。
20数年前に入居して1カ月でアパートから出た(逃げた)ことがあります。
下の部屋の住人が異常に音に過敏で、階段を駆け上がってきては
ドアを叩くは蹴るは怒鳴るはで、ちょっと命の危険を感じて。
部屋のポストに数名の他人の郵便物が届いていたので、
同じ部屋に入居しては皆すぐに逃げ出していたようです。
それからずっと賃貸暮らし、だってすぐに逃げられますから。
私は一番怖いのは一方的な被害者意識を持つ人だと思っています。
(つまみさんはご自分のことを「被害者意識をもっている・・」と
書かれていますが、意識じゃなくて実際に被害に遭われてますから!)
加えて病気で制御の利かない相手は本当に厄介ですね。
非常に不本意だと思われているでしょうが、
避難を決められたことは英断だと思います。
そんな相手にこれ以上エネルギーを割いてやる必要なんて・・・。
逃げるが勝ちです。
つまみ Post author
ゆみるさん、コメントありがとうございます!
おおっ。ゆみるさんの「ずっと賃貸暮らし、だってすぐ逃げられますから」って今の自分には沁みる!すごく沁みます!
今回、仮住まいを決めるにあたって、隣人や上下がまたおかしな人だったら…という心配は否めませんでした。
とんだトラウマ。
でも、賃貸であれば逃げられる。そうなんですよねえ。
逆に、今まで、そういう思いをしてこなかったのはなんてラッキーだったんだと。
自分が幸運か不運か、なんてあまり考えないようにしてきましたが、なにもないから幸運ってことがたくさんあるので、カウント数(?)では推し量れないなあとあらためて思いました。
昨日、ご近所に今回の避難を言いに言って、すごく驚かれたりはしたのですが、怒鳴られたり、自分の知り合いにないことないことを吹聴されるのがイヤというより(あ、もちろん、すっごくイヤですけれど)、その人がそんなことをしつつも自由に自転車で動き回って、うちの前をふつうに通っている、そしてその人の言うことを鵜呑みにするバカがあとを絶たない事実がたまらない、と話すと、妙に説得力があるらしいことが判明しました。
義母の急な入院で、明日の施設行きが無事遂行されるのか、非常に、非常に心配ですが、もう腹を括るしかないです。やれることはなにもないので。
逃げ勝ちの報告、したいです。