Posted on 2021年2月25日 by つまみ

◆◇やっかみかもしれませんが…◆◇　第30回　花粉症の世迷言

花粉症の季節だ。本年も「今年こそはもしかして治っているのでは？と淡い期待を抱いたものの、やっぱり治ってなかった」という落胆の儀式は終了した。淡い期待と言いながら、なぜか懲りずに毎年本格的に期待しているので、その落胆も毎年本格的である。これぞ自作自演。

でも、去年の今頃は、コロナという得体の知れない怖ろしげな感染症（実際に怖ろしかったわけだが）にある意味、夢中だったので、例年より花粉症のことが気にならなかった‥というのは実は勘違いで、気にならなかった理由はコロナではなく、実際に２０２０年は飛散量がとても少なかったから、のようだ。

なんだ、そっちか。

今年は飛散量が非常に多いらしい。去年の分を取り戻そうと花粉たちがはりきっているかのようだが、そんな奮起は迷惑でしかない。

花粉症状は鬱陶しい。ピーク時は本当に辛く、自分のすべての能力が激落ちクンになる。花粉症仲間は周囲にも多く、
「始まったよね」「うん、始まった」
「辛いねえ」「うん、辛いよー」
「鼻や目を外してブラシでごしごし洗いたくなるね」「うん、なるなる」
という、生産性や、実行の可能性のかけらもない不毛な愚痴をだらだらとこぼし合っては、「こんな理不尽な不快感を強いられているのは自分だけではないのだ」と、あたかも理不尽さは分割されることによって薄まるかのように慰め合っている。残念ながら、とりたてて薄まらないけれど。

こうなると、花粉症患者も社会的弱者という括りに入れてほしいと思ったりもする。

それまでの「多少の体調の悪さは気力でカバーしろ」的風潮が変化したのは、唯一、コロナで歓迎すべきことだと思うが、コロナ禍以降も、花粉症持ちに対する概念は変わっていない気がする。

対症療法薬はあるにせよ、特効薬どころか、これといった治療薬もないわが花粉症も相当なクワセモノであることは間違いない。なのに、その時期が近づいてきたら自己責任で速やかに防御策をとり、自己責任で注意おさおさ怠りなく暮らし、自己責任で症状も封じ込めろと、毎年毎年性懲りもなく強いられるなんて、何度も言うけれど理不尽この上ない。

こんなことを書くと、もっと大変な病気で苦しんでいる人がたくさんいるのに、命に関わる病気でもないのに、不謹慎な！我慢しろ！と言われそうだが、言わせてもらう。

そんな「病気マウンティング」をしていては、未来は先細りの一途だ。

それでなくても、暗い気分になるばかりのご時世、幸い、花粉症は多くの人にとって季節性のモノで、時期が終われば症状はなくなる。それは確かに救いではある。であるならば、救いを効果的に利用し【花粉症ポイント制】を導入して一年を過ごすのはどうか。

症状に悩まされていない時期に、仕事なり、家事なり、勉強なりを、想定や予定より多くこなした場合、ポイントが付与されるというシステム。そして、いざ、花粉症の時期になったら、そのポイントを使って、その分は心おきなく怠けてもいいとする。

「怠ける」という言葉に語弊や抵抗があるなら、寝る、わが身の不幸を存分に憂う、やっかむ、のどれかに替えてもいい。

要するに、ネガティブな言動や行動に社会が優しくなろうよという制度。コロナで顕わになった「多少の体調不良で休むな」に疑問を呈する、その同じテンションで、「花粉症でもふつうに仕事（家事、勉強‥）をしろ」にも疑問を呈してほしい。

もっと言うなら、これを機に、花粉症と共に、妊娠中、育児中、介護中、失業中、喪中、コロナ後遺症発症中、大病・失恋・受験失敗の三大苦悩直後‥などなど、パッと見にはわからなかったりするが通常の生活が困難かもしれない人にこぞって優しい社会が来ることを願ってやまない。